祝開通!大橋JCT-山手トンネルを走ってみた 車載動画で体験する大橋JCT |
工事着手から18年、2010年3月28日についに開通した首都高速 中央環状新宿線、通称「山手トンネル」。渋滞の名所、3号渋谷線からの脱出するルートがついにできたわけだが、3号渋谷線と山手トンネルを結ぶ大橋ジャンクション(JCT)の特殊な構造も気になるところだ。
山手トンネルは環状6号線(山手通り)の地下を走る自動車専用道路なので、高架の3号渋谷線とは約70mの高低差がある。通常なら長いスロープで結ばれるはずのこの2つの道路だが、都市部ゆえ国立競技場とほぼ同じ2万2750m2の敷地で、JCTを完結させる必要があった。
そのため、大橋JCTは山手トンネルから3号渋谷線へ、3号渋谷線から山手トンネルへの2つの車線を螺旋状に2周させるループ構造を採っている。さらに、周辺環境への配慮から地上部分もすべて壁と天井で覆われており、高速道路としては類を見ない、トンネル内で急カーブ、急勾配が続くJCTになったのだ。
こうした特殊な構造のため、JCT内は制限速度が40km/hに下がるほか、東名高速道路方面と都心環状線方面に分岐する山手トンネルからの車線には、行き先別に車線や標識の塗色を変えるといった工夫が凝らされている。
さまざまな安全策が用意されているとはいえ、閉鎖空間内の急勾配、急カーブの運転をやはり心配に思うドライバーも多いようだ。そこで28日の開通後、記者の運転で大橋JCTを体験してみた。
大橋JCTには山手トンネル、都心環状線、東名高速の3方向から入ることができ、またそれぞれの方向に出ることができる。東名高速~都心環状線の通行は大橋JCTを経由しない(3号渋谷線を直進するだけ)なので、大橋JCTを通過するパターンは、[1]山手トンネル→東名高速道路、[2]山手トンネル→都心環状線と、それぞれの逆方向の計4パターンとなる。
ここでは、東名高速から中央高速・東北道などに行く車両(あるいはその逆)が、都心環状線を回避して山手トンネルに入ることを想定して、[1]のパターンの両方向、つまり、「東名高速→山手トンネル」「山手トンネル→東名高速」の走行の様子を、車載動画で撮影した。
■東名高速→山手トンネル
東名高速 用賀IC(インターチェンジ)から3号渋谷線に入り、大橋JCT経由で中央道や東北道へ行くことを想定した走行。動画は池尻出口を過ぎ、大橋JCTへの分岐からスタートし、西新宿JCTで終わる。
3号渋谷線から大橋JCTへは右車線に分岐し、そのまま下りのループに進入する。大橋JCTは下り勾配で速度が出やすく、流れも速くなりがちだ。自分のペースをキープするよう、スピードコントロールが肝要になる。
途中、都心環状線方面からの車線が左側を並走する。右側(ループの中心側)には管理車両用車線などのスペースが広くとってあり、見通しはさほど悪くない。とはいえ右コーナーが続くわけで、前走車の挙動に気をつけ、渋滞や急ブレーキにそなえて車間を十分に取っておく必要はある。
並走する2本の車線は、山手トンネルに入る前に下り勾配の状態で1つに合流することになる。車線がなくなるのは右側、つまり東名から来た車線のほう。合流の案内は300m手前から。
大橋JCTを出て山手トンネルに入ると車線は右側に1本増え、また2車線になる。この先は山手トンネルのすでに開通している区間とほぼ同じ。大橋JCT内部より天井が高くなって圧迫感が減り、制限速度が60km/hに戻る。運転は快適だが、流れが速くなりがちだ。右側にある初台南の出口から出たいときは、早めに車線を移り、準備しておく必要があるだろう。
■山手トンネル→東名高速
東北道や中央道から、大橋JCT経由で東名高速を目指すのを想定した走行。動画は中野長者橋出口を過ぎたところで始まり、西新宿JCT、大橋JCTを経て3号渋谷線の東名高速方面(下り)に合流するところで終わる。
大橋JCTが近づくと、大橋JCTのループを図案化した、連続カーブの標識が2枚出てくる。富ヶ谷出口を過ぎ、大橋JCTに入る手前で車線は2本から1本に合流。大橋JCT内で再度2本に分岐するが、このとき、都心環状線(都環)方面が右車線、東名方面が左車線に誘導される。新宿から3号渋谷線に向かっていくとき、カーナビをヘディングアップで表示していると、都環が左、東名が右になるので、車線の振り分けは逆になっている。
しかし、分岐の手前で都環方面が赤、東名方面が青の標識が現れ、分岐に差し掛かると車線の塗装の色も都環方面が赤、東名方面が青になっていて、標識を見落としていなければ直感的にどちらに行くべきか理解できるようになっている。記者はここを3回ほど通ったが、どちらに行くか迷っている人は見かけなかった。
とはいえ、標識を見落としたり迷う人がゼロというわけではないだろう。山手トンネルから3号渋谷線へは上り勾配で、速度が上がるようなことはない。3号渋谷線から山手トンネルへ降りる道と同じく、ループの中心側(こちらの場合は左側)にスペースがとってあり、やはり見通しはわるくない。総じて3号渋谷線から降りてくるときよりも運転しやすいが、速度が落ちすぎるのに注意する必要がある。
3号渋谷線に合流すると、「東名方面のクルマは左車線をキープ」という標識がある。すぐ先の右側に池尻入口と三軒茶屋出口があるためだ。
(編集部:田中真一郎)
2010年 3月 29日