ルノー・日産、独ダイムラーと広範囲な提携、世界第3位の連合に
トゥインゴとスマートは共通プラットフォームに

ベルギーのブリュッセルで調印したゴーン会長(左)とツェッチェ会長
(ストリーミング中継より)

2010年4月7日発表



 ルノー・日産アライアンスと独ダイムラーAGは4月7日、資本提携を含む広範囲な提携を発表した。

 提携内容は、株の持ち合いのほか、プラットフォームやパワートレインの共用、車両の共同開発といった広範囲なもの。取り扱う車種も小型乗用車、高級車、商用車と幅広い。ダイムラーは高級車、ルノー・日産は小型車というそれぞれの得意分野のノウハウを交換して補完し、プラットフォームや部品、製品を供用することで、製品ラインアップの拡充、販売台数増、製造コスト削減、工場の稼働率向上を目指す。さらに、シナジー効果の最大化を目指し、協業分野の拡大も検討する。

 一方で3社は経営や製品においてそれぞれのアイデンティティを維持し、「合併の意図はない」(ルノー・日産のカルロス・ゴーン会長)としている。したがって部品の共有化も、ブランドの独自性を損なわない標準部品から行われる。

 2009年の両社の販売実績は、ルノー・日産が610万台、865億ユーロ、ダイムラーが160万台、789億ユーロ。合計で770万台、1654億ユーロとなる。トヨタ、フォルクスワーゲン・スズキに次ぐ、世界第3位のグループとなる

 ゴーン会長とダイムラーのディーター・ツェッチェ会長は4月7日、ベルギーのブリュッセルで契約に調印し、記者会見を行った。ゴーン会長はこの提携で「5年で20億ユーロ以上のシナジー効果を見込んでいる」ことを明らかにし、ツェッチェ会長は「提携の成功には戦略上の相性だけでなく、文化的な相性も必要。私たちにはオープン・マインドと困難を乗り越える意思がある」と述べた。

小規模な資本提携
 資本面での提携は、3.1%ずつの株の持ち合いのみ。具体的には、ダイムラーがルノーと日産の株を3.1%ずつ持ち、ルノーと日産はダイムラー株を1.55%ずつ持つ。4月6日時点のルノー、日産、ダイムラーの評価額は、それぞれ105億ユーロ、297億ユーロ、377億ユーロ。

 この持ち合いは、今回の提携が特定の製品開発などに限定されたものでなく、広範囲かつ長期にわたるものであることを象徴するために行われる。

 これにともない、ゴーン会長とツェッチェ会長が共同で議長を務め、3社の上級役員が構成するコーポレーション・コミッティが発足する。

「トゥインゴ」と「スマート」がプラットフォーム共有へ
 製品での提携ではまず、2013年以降に発売されるルノー「トゥインゴ」とダイムラー「スマート」の後継モデルが、兄弟車となる。スマートの4人乗りモデルはトゥインゴとともにスロベニアにあるルノーの工場で、2人乗りは現行と同じくフランスの工場で生産される。

 スマートは現行と同じく、2人乗りのクーペとコンバーチブル、4人乗りモデルを用意。2人乗りは「現行スマートのアイコニックなコンセプトを持つ」(ツェッチェ会長)としている。トゥインゴとスマートの外観は異なるが、現行スマートの後輪駆動方式を採用するほか、「発売当初から全モデルに電動車を用意する」(ツェッチェ会長)。

現行トゥインゴ(左)と現行スマート(2人乗り)

 パワートレインでは、ルノー・日産が3気筒と4気筒のエンジンをダイムラーに供給する一方、ダイムラーからはインフィニティ向けに4気筒、6気筒エンジンを供給する。

 ルノー・日産が供給する3気筒エンジンは次期スマート/トゥインゴに、4気筒はメルセデス・ベンツのエントリーモデルに搭載される。

 商用車では、ルノーの工場で生産される小型バンが、メルセデス・ベンツのエントリーモデルとして加わるほか、ルノー・日産の小型ディーゼルエンジンとトランスミッションがメルセデス・ベンツのバン「ヴィト」に供給される。

 これらの協業を進める一方で、さらなるシナジー効果の拡大も検討していく。

(編集部:田中真一郎)
2010年 4月 7日