乗用車の市場動向に「不況」と「環境意識」の影響大きく
ハイブリッド車に活路か。自工会調査より


 日本自動車工業会は4月8日、2009年度の「乗用車市場動向」と「軽自動車の使用実態」調査結果を発表した。どちらも隔年で行われている。

 乗用車の調査は3926の回答にもとづくもの。調査期間は2009年9月10日~10月5日。

 これによると全国の乗用車世帯保有率は75.8%(前年比3.4%減)。1999~2007年は79%前後で推移していたが、減少に転じた。複数保有率は36.1%(前年比4.9%)。2001~2007年は40%前後で推移していたものが、こちらも減少となった。

 また、保有率が減少しているエリアが、大都市から郡部へ拡大しているのも特徴。年収別では中~低所得世帯での保有率減が著しく、ライフステージ別では独身期が9.3%と大きく減少している。車の保有をやめた理由は、「経済的要因」が前回より33.5%増えて1位になった。

 車型では「大・中型」(クラウン、フーガなど)「小型」(マークX、ティアナ、プレミオ、ブルーバードなど)が減り、「軽」「大衆車」(カローラ、シビック、ヴィッツ、マーチなど)が増加。大衆車は前回調査まで減少傾向にあったが、エコカー減税などの影響で増加に転じた。

 1台の車を乗り続ける「保有期間」は、前保有者の保有期間(実態)、現保有車の保有予定期間(推計)ともに長期化傾向が続いており、7年以上保有したユーザーが45%を占めた。その理由は、「車の使用頻度が減った」「老後の不安から消費を控えたい」が増加傾向にある。

 なお車を買い替えた理由は、依然として「車体がいたんできた」「車検時期がきた」が上位を占めるが、「燃費が悪い」が増加傾向にあり、買い替え予定車として「ハイブリッド」を上げる世帯が大きく増えている。

 全般的に不況と、環境意識の高まりの影響が見て取れ、こうした中ではハイブリッド車に訴求力があり、市場を活性化する可能性があると、調査では分析している。

 軽自動車ユーザーは、女性比率が高く、高齢化傾向がある。また、登録車から軽自動車に乗り換えた世帯が増えて29%を占め、ダウンサイジング傾向も顕著だ。調査では、地方部で、あるいは女性、高齢者の通勤や日常の足となっている実態が明らかにされている。

(編集部:田中真一郎)
2010年 4月 8日