富士経済、エコカーの世界市場調査結果を発表 2020年には1800万台を超える急成長を予測 |
2010年4月12日発表
富士経済は4月12日、HEV(ハイブリッド車)、EV(電気自動車)、PHEV(プラグインハイブリッド車)を含むエコカー市場と、その関連部品やインフラ設備の世界市場の調査結果を発表した。
これによると、エコカーの世界市場規模は以下になると予測。
2009年 | 2010年見込み | 2015年度予測 | 2020年予測 |
76万3000台 | 104万4000台 | 511万5000台 | 1866万台 |
2009年は前年比44.2%増の76万3000台だったが、2010年には100万台を超えると予測。その内訳はHEVが98.8%と圧倒的なシェアで、EVは0.7%、PHEVは0.5%にとどまる。
また、2015年にはおよそ5倍の511万5000台になると予測し、依然HEVが88.2%と高いシェアを誇るものの、EVが7.1%、PHEVが4.7%に増加すると言う。さらに、エコカー市場は2020年に1800万台に達するとし、HEVが79.1%、EVが9.4%、PHEVが11.5%と、シェアが徐々に変動する。
■エコカーの普及はバッテリーが鍵を握る
HEV、EV、PHEVにおいてはバッテリーが重要な部品に位置づけられるが、同時に高価格の一要因にもなっている。
HEVは大半がニッケル水素バッテリーを採用するが、将来的にはリチウムイオンバッテリーが増加するとしながらも、安全面や価格面をはじめ解決すべき課題が多く、リチウムイオンバッテリーの本格的な採用は2015年、普及期は2020年以降になると予測。
また、ニッケル水素バッテリーは低密度、低出力であるためEVとPHEVには採用されていないため、リチウムイオンバッテリーの研究開発動向に左右されながら、2021年~2022年にPHEVが、2021年~2025年にEVが本格的な普及期に入ると想定している。
■HEV市場
ジャンル別に見ると、HEV市場は2010年にトヨタのリコール問題による減産の影響で北米市場が低迷するものの、日本、欧州、その他の国・地域の増加で、世界の合計出荷台数は前年比36.0%増の103万2000台を見込む。2015年には、各メーカーでハイブリッドシステムの開発が完了することや他メーカーから技術供与を受けることで、国内外の多くのメーカーがHEVへの参入を計画していると言う。このため、市場は2010年の4倍以上となる451万台を予測し、2015年~2020年には北米を筆頭に日本以外の各市場も急拡大し、2020年の市場は1476万台と予測する。
2009年 | 2010年見込み | 2015年予測 | 2020年予測 |
75万9000台 | 103万2000台 | 451万台 | 1476万台 |
■EV市場
EV市場は三菱「i-MiEV」、スバル「プラグイン ステラ」に加え、2010年は日産が「リーフ」を投入することから市場が本格的に立ち上がり、世界の合計出荷台数は前年の7倍となる7000台を見込む。日本メーカーが先行し、当面は日本がEV市場の牽引役となる見通しを立てている。
2015年においても、日本が1/3以上を占める最大市場であるとしながらも、他の国・地域でも市場が拡大し、とくに補助金制度が充実している北米が大幅に伸び、世界の合計出荷台数は36万5000台と予測。2020年には、充電インフラの積極的な整備を推進する欧州が他の国・地域を大きく引き離し4割を超える最大市場になり、世界の合計出荷台数は175万台に上ると言う。
2009年 | 2010年見込み | 2015年予測 | 2020年予測 |
1000台 | 7000台 | 36万5000台 | 175万台 |
■PHEV市場
PHEV市場はトヨタ「プリウス・プラグイン・ハイブリッド」のリースを日米欧で予定しており、2012年以降には量産化を計画しているが、リチウムイオンバッテリーの価格面、安全面が普及のネックになると言う。当面は国土が広く航続距離の長い北米、欧州市場が需要の中心となり、2015年には24万台になると予測。充電インフラの整備が進むことでEVと合わせて普及の相乗効果が期待されるものの、エコカーの最終形態はEVという見方が多く、PHEVはEV普及までのつなぎ的役割と捉えられていると言う。
2009年 | 2010年見込み | 2015年予測 | 2020年予測 |
3000台 | 5000台 | 24万台 | 215万台 |
(編集部:小林 隆)
2010年 4月 12日