光岡自動車、i-MiEVベースの電気自動車「雷駆」の発表会
全長を175mm延長して小型乗用登録に変更、5名乗車を可能に

雷駆と光岡自動車 代表取締役会長 光岡進氏

2010年4月22日開催
428万円



 光岡自動車は4月22日、同日に発表した電気自動車(EV)「雷駆」(ライク)の発表会を、都内で開催した。

 雷駆は三菱自動車工業の「i-MiEV」(アイ・ミーブ)をベースに、独自のテイストを盛り込んだ。最大の特徴はi-MiEVより175mm延長し、小型乗用登録(5ナンバー)としたこと、そして後席のシート幅を大きくすることで、乗車定員を従来の4名から5名に変更した点。これによりi-MiEVで1100kgだった重量が雷駆では20kg増加するが、10・15モード充電走行距離は160kmと変わらないとしている。

 エクステリアでは、i-MiEVと明確に異なるメッキ加工を施した前後バンパーを装着したほか、「Like」エンブレムを装着することでベース車との差別化を図るが、床下に駆動用バッテリーパック、リアラゲッジルーム下のエンジンルームにモーター、トランスミッション、インバーターなどを搭載し、駆動用バッテリーの種類や総電圧などを含め、そのほかに変更はない。搭載するモーターの出力は、最高出力が47kW(64PS)/3000~6000rpm、最大トルクが180Nm(18.4kgm)/0~2000rpm。

 ボディーサイズは3570×1475×1610mm(全長×全幅×全高)で、ボディーカラーはホワイトソリッド、クールシルバーメタリック、ブラックマイカ、ミスティックバイオレットパール、ラズベリーレッドパールの全5色を設定する。

 価格はi-MiEVの個人向け販売価格よりも30万円高の428万円。平成22年度クリーンエネルギー自動車等導入補助金によって114万円の補助を受けられる予定(金額は6月に確定)。5月下旬に予約受付を開始し、納車は8月以降を予定する。

 i-MiEVと同様に、車両本体価格と税金や整備費用の一部を料金に含んだメンテナンスリースを基本として販売。納車、アフターサービスは三菱自動車のディーラーが実施し、24時間365日対応のロードサービス「三菱アシスト24」が、3年間無償提供される。

雷駆のエクステリア。ボディーカラーはラズベリーレッドパール
ボンネット中央に配置されるエンブレムタイヤサイズはフロントが145/65 R15、リアが175/55 R15ボディー右側にある普通充電リッド。販売される際にはカバーがつくが、発表会ではむき出しの状態だった。満充電までの充電時間は、AC100Vで約14時間、AC200Vで約7時間
ボディー左側にある急速充電リッド。約30分で80%の充電が可能リアゲート右下には「Like」のロゴクリアレンズのリアテールランプはLEDを採用
インストルメントパネル。ステアリングに配備されるMITSUOKAのエンブレム以外は、i-MiEVと変わらないと言う
ゲート式のセレクターレバー。走行モードはDポジション、ECOポジション、Bポジションから選択できるメーターパネルでは回生時の充電量を表示するパワーメーター、バッテリー残量計、オドメーターなどを表示拡大した後席シートを収めるため、リアドアの内張の形状を変更
後席は3名乗車が可能リアラゲッジルーム下にモーター、トランスミッション、インバーターなどを搭載
「軽自動車でも5人乗りが欲しいという声が多かった」ことから雷駆を開発したと光岡代表取締役会長は語る

 発表会では、光岡自動車 代表取締役会長 光岡進氏が雷駆の概要を説明した。雷駆を作るきっかけとなったのは、光岡氏がi-MiEVを試乗した際に「その出来映えに感動したこと」、そして搭載するバッテリーが「世界でも優秀なバッテリーメーカーのジーエス・ユアサ製だから」と述べる。

 当初、約460万円(法人向けリース販売価格)という価格がネックで、採算が見込めないことから電気自動車を扱うことに対して社内では「大半が反対だった」(光岡氏)と言う。しかし、国からの補助金、さらに各自治体の補助金を活用すれば約半額で購入することもできることから、雷駆の開発に踏み切ったと言う。

 開発するにあたり、同社の調べによると「軽自動車でも5人乗りが欲しいという声が多かった」ため、後席のシート幅を大きくするとともに、ドア内張のデザインを変更することで、5名乗車を可能にした。

 雷駆の魅力については「全幅1475mmというコンパクトなサイズでも5人が乗れ、走りやすい」ことを前提に、「観光地などは道路が狭く、そのような場所では雷駆のようなコンパクトサイズの自動車が活躍する」「コンパクトなので女性のタクシードライバーでも扱いやすい」とし、今後レンタカーやタクシー会社への導入を目標としていることを明らかにした。

 雷駆は光岡自動車の販売拠点のほか、兼松、ユアサM&Bでも購入することが可能で、この2社は法人向け販売窓口としての役目を担う。光岡氏は「こうした他業種の方々と手を組んで自動車の販売をするのは初めてだが、今後バッテリーに携わる企業が電気自動車の販売を行っていくのではないか」とし、2社が雷駆を販売することがその第一歩だと述べた。

(編集部:小林 隆)
2010年 4月 22日