「富士通フォーラム 2010」でマルチアングルビジョンを展示
富士通グループの最先端技術を一堂に

「マルチアングルビジョン」画面

2010年5月13日、14日開催
入場無料



 富士通は「富士通フォーラム 2010」を東京国際フォーラム(東京都千代田区丸の内)で、5月13日、14日に開催する。11日に報道陣や一部招待客向けに展示内容の公開が行われたので、本記事では自動車関連に絞って紹介する。

 富士通は情報・通信機器関連の世界的なメーカーであり、コンピューターメーカーとしても知られている。富士通フォーラムは、その富士通およびグループ企業が持つ最先端技術の展示会。Webから事前申し込みを行えば無料で入場でき、展示会のほかセミナーなども同時開催されている。5月11日現在、Webでの申込みは締め切られているが、空きのあるセミナーや展示デモは、当日会場で受付を行えば見ることができる

 自動車関連の展示で多くの注目を集めていたのが、富士通テンの「マルチアングルビジョン」。これは自動車の前後左右に取り付けられた4つのカメラからの映像をリアルタイムに合成し、自動車周囲の見下ろし全周映像を表示できるもの。見下ろし角は直上(0度)のほか15度や30度に切り替えることができ、好みの角度で周囲の映像を見られる。

 カメラはフロントナンバープレート下、リアナンバープレート横、左右のドアミラー下にそれぞれ1個所設置され、ドアミラー下のカメラには車両ライトと連動する近赤外線LEDを内蔵するため、夜間でも表示可能。映像もコントロールボタンを押すだけで、フロントカメラのみ、リアカメラのみ、サイドカメラのみなどに切り替えることもできる。

マルチアングルビジョンの取り付けられた新型プリウス運転席からの死角には、3輪車を配置マルチビジョンの説明パネル。合成映像についての解説が記されている
マルチビジョンのオープニング画面。上方からの合成映像内で、自車を中心に視点が周囲を移動する。カメラに写らない自車はCGで描かれている
1回転すると、このメイン画面になるステアリング左側に付くマルチビジョンのコントローラー。参考展示のためこの位置に配置。本来はシステムスタートボタン近辺に配置される
ステアリングの「VIEW」ボタンを押すと画面が変わる。上画面はフロントカメラの映像、下画面は斜めからの見下ろし映像ドアミラー下のカメラの映像リアカメラの映像を表示。残念ながらステアリングガイド線は表示されない
フロントカメラはナンバープレート下にドアミラー下のカメラリアカメラはこの位置に付いていた

 このマルチアングルビジョンは、トヨタ自動車の「プリウス」「アルファード」「ヴェルファイア」のディーラーオプションとして5月6日より10万5000円で発売されている。ディーラーオプションのため、すでに対象となる車種を所有している人も取り付け可能とのこと。

 そのほかの自動車関連製品としては、同じく富士通テンのドライブレコーダーや、トランストロン(富士通といすゞ自動車の合弁によるカーエレクトロニクスメーカー)のモバイルトレーサーが展示されている。ドライブレコーダーは、一般向け、業務向けともに展示されており、業務向けでは運行管理ソフトも展示。一方モバイルトレーサーは通信タイプの運行管理機器で、携帯電話回線を使ってモバイルトレーサー搭載車の運行状態が事務所でリアルタイムに把握できる。

富士通テンは、マルチビジョンのほかに、ミリ波レーダーや、ドライブレコーダーを展示していた前方用ミリ波レーダーユニット後方用ミリ波レーダーユニット
一般販売用ドライブレコーダー業務向けドライブレコーダー業務向けドライブレコーダーでは、GPSユニットなどを使い、加速度や速度を計測でき運行管理が行える
トランストロンのモバイルトレーサー。ユニットをトラックに積むことでリアルタイムに車の状態(運転内容)を把握する左がモバイルトレーサー本体。右のユニットは、自動車の車速信号などを作り出すシミュレーターリアルタイムに運行管理ができるため、どのトラック(乗務員)がどこにいるのかが把握できる

 富士通フォーラム 2010の展示の中心は、コンピューターのハードウェア技術や、SaaS(Software as a Service)などのソフトウェア技術、さまざまな通信システムになる。ただ、自動車関連機器も興味深いものが展示されているので、立ち寄ってみてはいかがだろうか。

富士通フォーラムに展示されていた次世代スーパーコンピューターのユニット。このラック1つにCPUを4基搭載したシステムボードが24枚セットされている。ラック3つで、初代地球シミュレーターと同性能とのこと左がCPUが露光されたウェハー。このウェハーからCPUが切り出される。右がシステムボード。銅の配管は純水による水冷システムスーパーコンピューターの活用例。自動車の衝突シミュレーションなど、膨大な計算量を要するものに用いられていく

(編集部:谷川 潔)
2010年 5月 11日