ルノー、「コレオス エディション リミテ ブランシュ」のオーディオを解説 ボーズのエンジニアが車両開発にも関与 |
ルノー・ジャポンは7月2日、限定車「コレオス エディション リミテ ブランシュ」の報道関係者向け説明会を、ルノー世田谷ショールームで開催、同社の特別装備であるボーズのサウンドシステムについて解説した。
■ルノー・ジャポンのフラッグシップモデル
コレオスは2009年5月に国内発売されたルノーのSUV。日産「デュアリス」とプラットフォームを同じくするモデルだが、乗り心地を重視したルノー独自のサスペンションチューン、明るい色遣いの内装、上下分割式のテールゲートなどで、ルノーらしいクロスオーバーカーに仕上げている。
エディション リミテ ブランシュは、6月24日に20台限定で発売された特別仕様車。電動パノラミックグラスルーフを持つ「プレミアム グラスルーフ」モデルをベースとし、仏語で「白限定」を意味するモデル名のとおり、「ブラン ベルレ メタリック」(白)のボディーカラーと、ベージュとダークグレーのツートンカラーのレザーシート、カーボン調のインストルメントパネルとシフトノブトップ、17インチアルミホイール、大型リアスポイラーなどを備える。
エディション リミテ ブランシュの内装 |
コレオスはデュアリスベースのクロスオーバーモデルとはいえ、ルノー・ジャポンにとっては最高価格のフラッグシップモデルだ。その“プレミアム感”をより強調したのが、エディション リミテ ブランシュと言える。
さらに、エディション リミテ ブランシュのハイライトが、ボーズのサウンドシステムだ。このシステムの構成は、前後ドアの16.5cmのスピーカー、ダッシュボード中央の8cmセンタースピーカー、ダッシュボード左右の3.5cmツイーター、そしてラゲッジルーム床下にある7リッターのエンクロージャー付き13cmウーファーの計8スピーカーと、8chのデジタルアンプ。ヘッドユニットは純正オーディオだが、BluetoothやUSBに対応する。
前後ドアのスピーカー | センタースピーカー | |
ダッシュボード左右のツイーター | リアのウーファーはスペアタイヤの中に。向こう側にアンプが見える | ヘッドユニットは純正 |
ボーズ・オートモーティブの崔宗桓氏 |
■ボーズのエンジニアがコレオス開発チームと共同作業
しかしこのシステムの最大のウリは、このようなハードウェア構成ではない。ボーズ・オートモーティブの崔宗桓氏によれば、崔氏を含めたボーズのエンジニアが、コレオスの開発チームに当初から加わり、このシステムのチューニングを手がけているのだと言う。そして2年半をかけ、プロトタイプごとにシステムを組み込み、チューニング続け、完成したのがエディション リミテ ブランシュに搭載されているシステムだ。
その過程では、車体や内装に起因するビビリ音など、サウンドに悪影響を及ぼす要素をコレオス開発チームとともに排除する作業が行われているし、ラゲッジルームの大容量ウーファーも、ラゲッジルームとパッセンジャールームの間に隔壁がないボディ形状を考慮して、搭載された。
それでは、エディション リミテ ブランシュのシステムは、どんんあ方向性でチューニングされたのだろうか。
「ボーズが目指すサウンドは、“ライブ演奏の再現”です」と崔氏は語る。これを実現するために重要なのは、「反射音」だと言う。「実際のコンサート会場でのサウンドを分析してみると、ステージの音源からの音は全体の11%で、残りの89%は反射音なのです」。広い会場ですらそうなのだから、狭い車内ではなおさら反射音に気を遣う必要がある。
このシステムが搭載されているのは日本ではエディション リミテ ブランシュだけだが、日本以外の地域ではファブリック内装やMT、グラスルーフ非装着といった様々な仕様に搭載されている。こうした内装の材質の違いが反射音に与える影響は大きく、各仕様毎に異なるチューニングを施さざるを得ない。このあたりも、車両の開発段階からオーディオのチームが関与すべき理由と言えるだろう。
また、男性ボーカルは低い位置、女性ボーカルは高い位置から聴こえてしまう、大音量時にベース音が割れるといった現象を排除し、多種の楽器の音が混ざらずに1つ1つ聞こえるようにもチューニングしていると言う。
実際にショールームのエディション リミテ ブランシュで試聴したが、なるほど、狭い車内にも関わらずコンサートホールのように広いところで、ステージの演奏を聴いているように感じられたし、ベース音の割れもなかった。ボーズのチームの関与は、まさにプレミアムカーにふさわしい結果を実現したと言える。
(編集部:田中真一郎)
2010年 7月 5日