前原国土交通大臣を小林可夢偉選手が表敬訪問 観光庁からは、日本をアピールする観光マイスターに任命される |
先日のF1ハンガリーグランプリにおいて23位スタートから見事9位入賞を果たしたBMWザウバーF1チームのドライバー小林可夢偉選手が、1カ月の夏休みに入ったF1のスケジュールを利用して帰国。8月4日、国土交通省を訪れ、前原誠司国土交通大臣と溝畑宏観光庁長官を表敬訪問した。
小林可夢偉選手の表敬訪問は、国土交通省や観光庁などにも協力してもらうことで、10月に行われるF1日本グランプリの注目度を上げようというもの。
最初に観光庁を訪問。左から溝畑宏観光庁長官、小林可夢偉選手、高橋千秋経済産業大臣政務官 |
●小林選手が観光庁の日本をアピールする観光マイスターに任命される
小林選手は、まず観光庁の溝畑宏長官の元を訪れ、歓談した。溝畑長官は「今年は韓国でもF1が開催(F1日本グランプリの翌々週に開催)されると聞いている。ヨーロッパの方に、日本と韓国に連続して来ていただき、日本をよりアピールしたい」と述べ、その観光大使的役割として、最近ヨーロッパでもファンが増えている小林選手に観光庁の観光マイスターになってほしいと要請した。それを受けて小林選手は、「問題ないです、喜んで協力させていただきます」と、溝畑長官のいきなりの要請を快諾した。
F1日本グランプリへの決意を語る小林可夢偉選手 |
溝畑長官は「先週のハンガリーGPでも9位に入賞するなど若い力が頑張ってくれているのは嬉しい」と、小林選手へのお祝いを述べると、小林選手は「子供の頃から先輩の日本人ドライバーが頑張ってきたのをテレビで見て、僕も将来F1ドライバーになりたいと思ってきた。今ここでその歴史が途切れてしまえば、テレビ放送だってなくなる。そうならないように、火を消さないようにの心意気で頑張っていきたい」と述べるとともに、F1日本グランプリでの表彰台を目指していきたいと語った。
また会見には、F1日本グランプリが開催される鈴鹿サーキットのある三重県選出参議院議員 高橋千秋経済産業大臣政務官も同席し「三重県にとっても、鈴鹿サーキットでのF1グランプリは最大のスポーツイベントであり、地元としても最大限協力していきたい」と述べた。
前原国土交通大臣を表敬訪問 |
●10月の時点でも大臣だったらぜひF1日本グランプリに
続いて小林選手は、臨時国会で答弁を終えたばかりの前原国土交通大臣を表敬訪問した。前原大臣は「最近は若者の車に対する興味が薄れている。そうした中で小林選手のような若い方が頑張ってくれているのは大変心強い」と述べ、トヨタやホンダといった自動車メーカーが撤退してしまうような厳しい経済情勢の中、文字どおり孤軍奮闘している小林選手を激励した。
小林選手はそれに答えて「皆さんの応援のおかげでなんとか頑張れている。ぜひF1日本グランプリではよい成績を残して期待に応えたい」と語り、日本グランプリでの奮闘を誓っていた。
なお、F1日本グランプリでは表彰台のプレゼンターとして国土交通大臣によるトロフィーの授与が行われる予定になっている。前原大臣は「その時に私が大臣をやっているかは分かりませんが、そうであるようならぜひ行きたい」と言い、9月に予定されている民主党代表選挙前後の政局で、内閣の先行きが分かりづらい現状をジョークにして笑い飛ばしていた。
最後に、小林選手から「実際にレースで使用した」というヘルメットが前原大臣に贈呈された。まわりから「かぶってみては?」と言われた前原大臣はヘルメットの装着にチャレンジ。頭の小ぶりな小林選手用に内部がカスタマイズされたヘルメットはさすがにきつかったようで、入らないというちょっとしたアクシデントも発生するなど、和やかなまま会談は終了した。
小林選手からF1で実際に使用したヘルメットがプレゼントされた | 試しにかぶってみるc。きつくてかぶれなかったようだ | 最後に記念写真。前原国土交通大臣は、10月の時点で大臣であるようなら鈴鹿に訪れると言う |
●ワールドカップと同様にF1日本グランプリも盛り上がってほしい
会談後行われた囲み取材では、小林選手のF1日本グランプリに向けた抱負などが語られた。鈴鹿に向けては「ワールドカップも非常に盛り上がったが、同じようにF1も盛り上がってほしい。そのためにも鈴鹿では、表彰台などよい成績を残していきたい」と述べ、その目標を語ってくれた。
また、シーズンのスタート時には厳しい状態だった車も、「信頼性、速さともに向上している。鈴鹿に向けてもっとよくしていきたい」と言い、車の改善に伴って成績が残せるようになってきたと説明した。
来シーズンに関しては、「まだ決定していない。もちろん現時点ではザウバー残留が最大の可能性であることは間違いない。逆にこれだけの成績を残して残留できないってことはないと思う」と、ザウバー残留の可能性を含め、来年もF1のシートを確保できることに自信を示していた。
(笠原一輝)
2010年 8月 4日