キャディラック、「SRXクロスオーバー」と「CTS/CTS-Vクーペ」を日本に導入

GMAPJの石井澄人社長

2010年12月から順次発売
SRXクロスオーバー:549万円、599万円
CTSクーペ:668万5000円
CTS-Vクーペ:899万円、984万円



 ゼネラルモーターズ・アジア・パシフィック・ジャパン(GMAPJ)は8月26日、キャディラック「SRXクロスオーバー」「CTSクーペ」「CTS-V」の2011年モデルを日本に導入すると発表した。SRXは12月、CTSクーペとCTS-Vクーペは2011年1月に発売される。

高級クロスオーバーカー「SRXクロスオーバー」
 キャディラック「SRXクロスオーバー」は2003年に初代が登場したミッドサイズの高級SUVで、2009年に2代目にフルモデルチェンジした。導入されるのはその2代目。ハンドル位置は左のみ。

 2グレード構成となり、価格は「ラグジュアリー」が549万円、「プレミアム」が599万円。競合するBMW X3やアウディQ5などと装備を揃えた価格で比較すれば買い得感が高く、レクサスRXにも競争力のある価格とした。

 4855×1910×1690mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2810mmのボディーのフロントに、V型6気筒3リッター直噴エンジンを横置きに搭載、6速ATで4輪を駆動する。レギュラーガソリン仕様ながら、エンジンの最高出力は198kW(269PS)/6950rpm、最大トルクは302Nm(30.8kgm)/5100rpm、JC08モード燃費は6.7km/L。

 4WDシステムには電子制御LSDが付き、走行状況に応じてトルク配分を、前後で100%、後輪左右で85%の範囲で変える。またプレミアムは1/500秒に1回、減衰力を調整する電子制御リアルタイムダンピングショックアブソーバーとスポーツサスペンションを備える。

展示された車両はSRXクロスオーバーの上級版「プレミアム」。20インチのクロームアルミホイールを履く

 インテリアは本革にサペリのリアルウッドのトリムを組み合わせたもの。インストゥルメントパネルのセンター部は、キャディラックの5角形グリルの意匠を引用したデザインになっており、上部にはHDDカーナビやオーディオコントロールのための8インチポップアップスクリーンが備わる。

 オーディオはボーズの5.1chサラウンド(10スピーカー)を標準で装備し、USBコネクターを備える。またプレミアムはリアシートエンターテイメントシステムを搭載しており、デュアルディスプレイとDVDプレーヤー、ワイヤレスヘッドホン、リモコンを備える。

 このほか、プレミアムはHIDヘッドライト、コーナーリング時にヘッドライトの照射方向を変えるアダプティブ・フォワード・ライティングシステム(AFL)、パッシブ・エントリー・システム、フロント・シートベンチレーション、リア・シートヒーター、トライゾーン・オートエアコン、20インチクロームアルミホイールを備える。

本革とウッドの内装メーターパネル中央にはフルカラー液晶のドライバーインフォメーションセンターがあるCTSスポーツワゴンにもある、リアハッチの開度調整ダイヤル
五角形のセンタースタック上部にポップアップスクリーンを装備
後席にはリアエンターテインメントシステムを装備前席左右と後席で独立して調整できるトライゾーン・オートエアコン
ルーフレールを備えるラゲッジルーム床にはレールを備え、タイダウンフックを好きな位置に置ける

 

ミドルサイズの高級クーペ「CTSクーペ」
 CTSクーペは、ミドルサイズセダン「CTS」のクーペモデル。4800×1900×1420mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2880mmのボディーサイズは、セダンより70mm短く、50mm広く、同じく50mm低くなっている。SRXクロスオーバーと同じく「アート&サイエンス」コンセプトに則ったスタイリングで、同社は「往年のエルドラドを彷彿とさせるエレガントなクーペ」と言う。

 シングルグレード構成で、価格は668万5000円。競合するEクラスクーペなどと装備を揃えた状態で比較すると5~9%程度、安くなる価格が設定されている。ステアリング位置は左のみ。

 エンジンはV型6気筒3.5リッター直噴で、6速ATとLSDを介して後輪を駆動する。エンジンの最高出力は229kW(311PS)/6400rpm、最大トルクは374Nm(38.1kgm)/5200rpm。JC08モード燃費は8.1km/L。レギュラーガソリン仕様で、実用燃費でも8~9km/Lをマークすると言う経済性もCTSクーペのアピールポイントの1つだ。

 インテリアもSRXと同じく本革とサペリのリアルウッドトリム。ボーズの5.1chサラウンド(10スピーカー)、8インチのポップアップスクリーン付きHDDカーナビ、シートヒーター&ベンチレーション、パッシブ・エントリー・システム、ステアリング・タップシフトのほか、HIDヘッドライト、コーナーリング時にヘッドライトの照射方向を変えるアダプティブ・フォワード・ライティングシステム(AFL)、セルフレベリング・ショックアブソーバーなどを備える。

立体的に造形されたリアフラットな側面を作るために、ドアハンドルはなくタッチパネルで開閉
ウッドとレザーの内装。メーターは3眼
ポップアップスクリーンを備える

ZR1ゆずりの強心臓「CTS-Vクーペ」
 またCTSクーペには、V型8気筒6.2リッター スーパーチャージャーエンジンを搭載し、キャディラック史上最強最速を謳うハイパフォーマンスモデル「CTS-Vクーペ」もラインアップされる。

 こちらはCTS-Vクーペと、CST-Vクーペ プレミアムの2グレード構成を採る。ベースモデルが899万円、プレミアムモデルが984万円で、BMW M5などの欧州車よりも買い得感があり、日産GT-RやレクサスIS-Fなどの日本車とも競争力のある価格設定とした。

 パワーユニットは、コルベットのハイエンドモデル「ZR1」のそれをデチューンしたもの。最高出力は415kW(564PS)/6100rpm、最大トルクは747Nm(76.1kgm)/3800rpmで、こちらはハイオク仕様となる。

 このハイパワーに対応して足まわりにはマグネティック・ライドコントロール・システム(磁性流体減衰力調整システム)と、ブレンボによる前6ピストン、後4ピストンのブレーキシステムを奢る。

 装備はCTSクーペにほぼ準じるが、内装はレザー/スウェード調シートと黒曜石調トリムの組み合わせになる。またプレミアムにはスウェード調のステアリングホイール、シフトノブ、ドアトリムと、14ウェイ電動調整可能なレカロシートとシートベンチレーションが備わる。

CTS-Vクーペは実車がなく、画像のみ。エキゾーストエンドが丸型になるCTSクーペから一転、2トーンのスポーティーな内装になる

経済性をアピールして、新規顧客を獲得
 同社は8月26日、都内で発表会を開催した。石井澄人代表取締役社長は、CTSとCTSスポーツワゴンにより国内事業が順調に推移していることをアピール。その半数以上が、キャディラック以外からの代替えで、国産車からの乗り換えも15%を占めていると言う。

 またCTS-Vをはじめとするハイパフォーマンスカーの「Vシリーズ」は、米国ではBMW M5やメルセデスベンツ E 63 AMGを足した数の2倍近い売れ行きを記録しているとした。

 同社がラインアップを展開する400万~600万円台の輸入車はいまだ経済環境悪化の影響を抜け出せず、対前年比-15~20%を記録しているが、その中でのこうした実績は「がんばったと言っていただけるのではないか」とした。

 石井社長が掲げるキャディラック・ブランドの戦略は「キャディラック・リボーン・プロジェクト」。リボーンは「再生」でなく、「今まで我々がコミュニケートできていなかったことを訴える」(山守道宏マーケティング&コミュニケーションズディレクター)こと。400万円台からの価格や、8~9km/Lの実用燃費、レギュラーガソリン仕様といった経済性を告知し、「キャディラックは大きいんじゃないの、ガス食うんじゃないの、という意識を克服して、新規のお客様を獲得していく」と言う。

石井社長GMAPJを牽引するCTSシリーズ。奥からCTSスポーツワゴン、CTS-V、CTS
日中米で好調キャディラック・リボーン・プロジェクトで新規顧客を取り込む

(編集部:田中真一郎)
2010年 8月 27日