観光庁、F1ドライバー小林可夢偉選手をスポーツ観光マイスターに任命 10月10日のF1日本GPをアピール |
BMWザウバーF1チームからF1世界選手権に参戦中の小林可夢偉選手が9月29日、国土交通省内にある観光庁の長官室において、同庁のスポーツ観光マイスターに任命され、溝畑宏観光庁長官より任命書が手渡された。
溝畑長官は「F1は日本において経済効果が300億円あると言われており、アジア各国のようにF1というツールをうまく活用していきたい。アジアの中での顔として日本をアピールしてほしい」とF1の経済効果に言及し、地域振興や観光ビジネスにつなげていきたいと述べ、小林選手のF1選手権での活躍に期待感を表明した。
これを受けて小林選手は「日本は20年以上もF1を開催しており歴史がある。それをうまく活用して欲しいと思っている」と返答し、10月8日~10日に鈴鹿サーキットで開催されるF1日本グランプリでの活躍を溝畑長官に約束した。
■F1日本GPには馬渕澄夫国交大臣が出席予定
今回小林選手が観光庁のスポーツ観光マイスターに任命されたのは、前回、前原国土交通大臣(当時)を表敬訪問したときに、溝畑長官からのオファーがあったためだ。今回、10月10日に決勝を迎えるF1日本GPに備えて帰国した小林選手が、再度国土交通省内にある観光庁長官室を訪れ、晴れて任命されることになった。
溝畑長官は「先日APECの会議に出席したときに、シンガポールの担当者がF1があるからと欠席した。それほどアジア各国にとってF1のステータスは高いと実感した」と述べると、小林選手も「シンガポールには多数の日本人ファンが来てくれていて、各コーナーで日の丸を見ることができ心強かった」と応じるなど、F1談義が盛り上がった。
なお、溝畑長官は「現在、国土交通大臣がF1日本GPを訪れる方向で検討している」と言い、9月17日の内閣改造で新しく国土交通大臣に就任した馬渕澄夫大臣が訪問する可能性を明らかにした。
観光庁の長官室でF1について熱く語り合う、溝畑観光庁長官と小林可夢偉選手 | スポーツ観光マイスターの任命状を渡される小林可夢偉選手 | スポーツ観光マイスターの任命状 |
スポーツ観光マイスターの名刺も渡された |
■シンガポールGPで決勝のレースペースのよさを確認
任命式後に行われた取材で小林選手は、「マレーシアやシンガポールでは国家を挙げてF1を推進している。日本でもそうなるように貢献したいと思っている。また、スポーツ観光マイスターに任命されたので、海外の方にアピールして日本に来ていただくことなどで貢献していきたい」と、抱負などを語ってくれた。
さらに、直近のシンガポールGPの結果について聞かれると「確かにレース展開が悪いほうに転んでしまい、レースでは残念な結果になった。しかし、レースペースはかなりよかったと思っているし、日本GPに向けて期待が持てる内容だったと考えている」と述べ、単独クラッシュによるリタイヤという結果に終わってしまったシンガポールGPながら、日本GPではよいほうにつながるとポジティブに考えていると話してくれた。
さらにレース中、ミハエル・シューマッハーに押さえられていたことについては「かなり遅かった。あの人にずっと押さえられてしまったので僕のレースは台無しになった」と述べ、笑いを誘っていた。
なお、来シーズンもザウバーチームと契約したことについての感想を聞かれると「基本的には既定路線。もちろん、F1で勝ちたいと思っているので、常にトップチームに行きたいと思っているが、来年は空きがない。そう考えれば今のチームがベストの選択だと思っている」と述べ、来年以降チャンスがあればより上位のチームへの移籍を目指したい意向であることを明らかにした。
(笠原一輝)
2010年 9月 30日