メルセデス・ベンツ日本、「スマート電気自動車」の実証実験を日本で開始
燃費改善した新型「スマート フォーツー mhd」もお披露目

メルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼最高経営役員(CEO) ニコラス・スピークス氏(右)と代表取締役副社長 上野金太郎氏(左)、スマート電気自動車 プロダクトマネジメント責任者 ピーター・ムース氏(中央)とスマート電気自動車(車両左)

2010年10月12日開催



スマート電気自動車(左)と燃費改善などが図られた新型スマート フォーツー mhd(右)

 メルセデス・ベンツ日本は10月12日、マイクロコンパクトカー「スマート フォーツー」の電気自動車「smart fortwo electric drive(スマート電気自動車)」の実証実験を日本で開始することを、表参道ヒルズ(東京都渋谷区神宮前)で行った発表会で明らかにした。

 スマート電気自動車の実証実験は、2009年からドイツ、イギリス、イタリア、フランス、スペイン、スイスで順次行われており、一般ユーザーにスマート電気自動車を貸し出し、さまざまなデータを取得していると言う。日本には3台のスマート電気自動車が導入され、日本特有の気候や道路条件下で走行データを4年にわたって収集・検証し、2014年を目処にスマート電気自動車をリースという形で導入する。

 スマート電気自動車はスマート フォーツーをベース車とし、米テスラモーターズ製のリチウムイオンバッテリー(出力16.5kWh)を床下に配置するほか、最高出力30kW、最大トルク120Nmのモーターをラゲッジルーム下に搭載することで、室内の居住性をガソリンエンジンのモデルと同等とした。車両重量はベース車は830kgだが、スマート電気自動車の数値は明らかになっていない。

スマート電気自動車
ボンネットフードを開けたところラゲッジルーム下に最高出力30kW、最大トルク120Nmのモーターを搭載する
スマート電気自動車はリチウムイオンバッテリーを床下に、モーターをリアに搭載。ガソリン車のフューエルフィラー部に充電用コンセントが用意され、家庭用電源(AC100V/200V)で充電可能
スマート電気自動車の室内スピードメーターは160km/hまで刻まれるが、最高速度は100km/hバッテリーの状態はアナログメーターに表示される
エアコン、オーディオも装備している「P(パーキング)」「R(リバース)」「N(ニュートラル)」「D(ドライブ)」をセレクトできる2名乗車なのでシートは2つ

 発表会には、メルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼最高経営役員(CEO) ニコラス・スピークス氏、代表取締役副社長 営業/マーケティング部門担当 上野金太郎氏のほか、ダイムラーAG スマート電気自動車 プロダクトマネジメント責任者 ピーター・ムース氏の3名が参加した。

自転車に乗って登場したメルセデス・ベンツ日本 代表取締役社長兼最高経営役員(CEO) ニコラス・スピークス氏
ダイムラーAG スマート電気自動車 プロダクトマネジメント責任者 ピーター・ムース氏メルセデス・ベンツ日本 代表取締役副社長 営業/マーケティング部門担当 上野金太郎氏

 「スマート電気自動車のライバルは自転車」と言うニコラス・スピークス氏は、「次世代のスマート電気自動車はシティーカーとして洗練されたもの」「CO2排出量は99g/km」と、スマート電気自動車を紹介。

 ピーター・ムース氏はスマート電気自動車のコアは“アーバン”とし、街乗りに最適であること、環境に優しいことといった特徴を述べたほか、航続距離の135km(欧州測定値)について「これはモナコで行ったプレス向けの実験での数値であり、控えめに発表している」と紹介するとともに、最高速度が100km/hであることから街中での使用には十分満足できる仕様に仕上がったとした。ちなみに0-60km/h加速は6.5秒で、充電時間は200V電源で8時間、100V電源で16時間。

 上野氏は、今後スマートブランドで展開する「スマート サプライズ」と称したさまざまなキャンペーンについて紹介。

 直近では3つの“サプライズ”を用意していると言い、1つ目は新型スマートを限定1名にプレゼントするキャンペーン(詳細は10月13日にスマートサプライズキャンペーンサイトで発表)、2つ目はスマートを今後同社のWebサイト上でも販売していくこと。3つ目はスマート電気自動車を3カ月間無料レンタルする「スマート電気自動車体験リポーター」の募集であることを明らかにするとともに、「今日の発表は一部。サプライズがやってくる」と述べ、随時スマートをアピールするキャンペーンを実施していくことを紹介した。

スマート電気自動車の実証実験は、ドイツを皮切りに計18カ国で行われる予定スマート電気自動車の概要
「スマート サプライズ」と称したさまざまなキャンペーンを今後展開スマート電気自動車を3カ月間無料レンタルする「スマート電気自動車体験リポーター」を今後募集すると言う

 また、スマート電気自動車の発表にあわせて、仕様変更された「スマート フォーツー mhd」のお披露目も行われた。納車は11月中旬ごろを予定している。

 今回の仕様変更では、エンジンマネジメントの最適化などにより燃費を約2%改善。10・15モード燃費は従来の23km/Lから23.5km/Lに向上するとともに、輸入車として初めてCO2排出量を99g/kmとした。

 エクステリアデザインでは、ボディーカラーに新色のライトブルーメタリックとマットライトグリーンの2色を追加するとともに、フロントバンパー、サイド、リアスカート、給油フラップをボディー同色に変更。アルミホイールのデザインも一新された。

 インテリアでは、ダッシュボード、エアアウトレット、センターコンソール、メーターパネルのデザインを変更したほか、シートサイドポケットに折り畳み傘や携帯電話などを収納できるシートサイドポケットを追加。さらにクーペはテールゲートの操作方法の変更を行い、カブリオはパドルシフト付きステアリングがオプションで設定されている。

仕様変更されたスマート フォーツー mhd。内外装のデザインを変更したほか、エンジンマネジメントの最適化などにより燃費も0.5km/L向上した

(編集部:小林 隆)
2010年 10月 12日