マツダ、エンジンやトランスミッションなどの次世代技術「SKYACTIV」
来年前半発売の「デミオ」に搭載し30km/Lを実現

次世代高効率直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」

2010年10月20日発表



 マツダは10月20日、2011年から発売する商品ラインアップに搭載する次世代技術の総称である「SKYACTIV(スカイアクティブ)」と、その中核となるエンジン、トランスミッション、ボディ、シャシー技術の概要を発表した。

 搭載商品の第1弾は、次世代直噴ガソリンエンジン「SKYACTIV-G」を搭載した「デミオ」で、日本では2011年前半に発売する。このデミオは、電気モーターによるアシストなどなしに、10・15モード燃費で30km/Lを実現する予定だと言う。

SKYACTIV-G
 SKYACTIV-G(スカイアクティブ ジー)は、量産エンジンとして初めて14.0の高圧縮比を実現した直噴ガソリンエンジン。一般的な自然吸気エンジンの圧縮比はノッキング(異常燃焼)などの発生を抑えるため10~12程度になっているとことが多く、圧縮比を10から15まで高めると約9%の熱効率改善が期待できると言う。

 SKYACTIV-Gでは、ノッキング対策のため「4-2-1排気システム」を採用。効率よく排気することで残留燃焼ガスを低減するとともに、ピストン上面中央にキャビティーを設けることで、安定な燃焼を実現している。また、エンジンの新規設計に伴い、ピストン&ピストンピンの軽量化(20%軽減)、コンロッド軽量化(15%軽減)など各部の軽量化と抵抗低減を図っている。

 これらの技術改善によりSKYACTIV-Gは、高圧縮比で現行比約15%の燃費改善、低中速トルクを現行比約15%改善したと言う。

SKYACTIV-Gの透視図動弁系ではフリクションの低減や軽量化が図られているピストン上面中央部にキャビティーが設けられている

SKYACTIV-D
 SKYACTIV-D(スカイアクティブ ディー)は、世界一低い圧縮比を実現したディーゼルターボエンジン。14.0の低圧縮比実現により、現行比約20%の燃費改善を行っている。また、2ステージターボチャーヤーの採用により、低回転域での高トルク、高レスポンスと、高回転域での高出力を実現し、大量EGR下でも十分な量の空気(酸素)を確保することで、NOxと煤の排出を抑えながらの燃焼を可能にしている言う。

 また、低圧縮比を実現することで、従来のディーゼルエンジンより最大筒内燃焼圧力が下がり、軽量化を図ることができたとする。シリンダーブロックはアルミ化により25kg、シリンダーヘッドは肉厚低減などで3kg軽量化しており、往復回転系ではピストン単体重量を25%低減している。

 排出ガス規制に関しては、高価なNOx後処理なしで日本のポスト新長期規制、欧州のEuro6、北米のTier2Bin5をクリアする。

SKYACTIV-Dとその透視図

SKYACTIV-Drive

SKYACTIV-Drive
 SKYACTIV-Drive(スカイアクティブ ドライブ)は、DCT、CVT、従来型のATなど、すべてのトランスミッションの利点を集約したと言う、次世代高効率AT。基本構造はトルクコンバーターと遊星歯車を用いる従来型のATと同様だが、ロックアップ領域を大幅に拡大したことで伝達効率を向上し、MTのようなダイレクト感を持つと言う。従来比4~7%の燃費向上を実現している。


SKYACTIV-MT

SKYACTIV-MT
 SKYACTIV-MT(スカイアクティブ エムティー)は、スポーツカーのような軽快で節度感のあるシフトフィールを軽量・コンパクトなFF用MTで実現したと言う、次世代MT。軽量化とコンパクト化を実現するとともに、ショートストロークと軽い操作性を両立。内部損失も低減し、ユニット単体で現行比約1%の車両燃費改善を実現している。

 グローバルニーズに応えるため、高トルクに対応するMT(Large)と、中トルクに対応するMT(Mid)の2タイプを新規に開発している。


SKYACTIV-Body

SKYACTIV-Body
 SKYACTIV-Body(スカイアクティブ ボディー)は、高い剛性と、最高レベルの衝突安全性を実現すると言う次世代軽量高剛性ボディー。従来比8%の軽量化、30%の剛性アップを図り、基本骨格を可能な限り直線で構成する「ストレート化」と、各部の骨格を協調して機能させる「連続フレームワーク」をコンセプトとしている。

SKYACTIV-Chassis
 SKYACTIV-Chassis(スカイアクティブ シャシー)は、新開発のフロントストラット&リアマルチリンクサスペンションにより高い剛性と、従来比14%の軽量化を両立。リンク類の配置を最適化することで、中低速域の軽快感を向上し、キャスター角とトレール量の拡大、電動パワーステアリングにより高速域の安定性を両立させたと言う。

(編集部:谷川 潔)
2010年 10月 20日