日産、「セレナ」をフルモデルチェンジ 直噴エンジン+「ECOモーター式」アイドリングストップ搭載 |
日産自動車は、ミドルサイズミニバン「セレナ」をフルモデルチェンジし、11月29日に発売する。価格は次のとおり。
モデル名 | 価格 | |
2WD(FF) | 20G | 258万3000円 |
Highway STAR | 249万9000円 | |
20X | 233万1000円 | |
20S | 216万3000円 | |
4WD | 20G | 285万6000円 |
Highway STAR | 276万1500円 | |
20X | 260万4000円 | |
20S | 243万6000円 |
1991年に発売された「バネット セレナ」(C23)から数えて4代目となる、セミキャブオーバータイプのハイトミニバン。2005年に発売された先代(3代目、C25)は、日本自動車販売協会連合会の車名別販売ランキングにおいて、2007年~2009年の3年連続ミニバン販売台数第1位となり、2010年2月には国内販売累計100万台を突破している。
20G(ナチュラルハーブ) | |
Highway STAR(オーロラモーブ) |
ブリリアントホワイトパール | ブレードシルバー | スーパーブラック |
ブリリアントシルバー | スチールブルー | ソリッドホワイト(受注生産) |
■直噴エンジン+アイドリングストップ=PURE DRIVE
4代目セレナは直噴ガソリンエンジン「MR20DD」とアイドリングストップ機構を新たに採用し、環境性能の向上を図った。エクストレイルのクリーンディーゼル車、マーチ、フーガ・ハイブリッドに続く内燃機関搭載エコカーとして「PURE DRIVE」を名乗る。
なおアイドリングストップは、4WDを含む20X以上のモデルに標準で装備される。また、横滑り防止装置「VDC」も20X以上のモデルに装備する。
MR20DDは、直列4気筒2リッターDOHCのガソリンエンジンでフロントに横置きされる。吸排気に可変バルブタイミング機構と直噴システムを採用。さらにエンジン各部のフリクションを低減した。
最高出力は2WDモデルが108kW(147PS)/5600rpm、4WDモデルが106kW(144PS)/5600rpm、最大トルクが2WDモデルが210Nm(21.4kgm)/4400rpm、4WDモデルが207Nm(21.1kgm)/4400rpm。
エンジンは直噴化された | MR20DDの性能曲線 |
トランスミッションはCVTのみ。エンジンとの協調制御を行うほか、700パターン以上の仮想変速線を生成し、最適な変速を行う「アダプティブシフトコントロール」を備え、ナビ協調変速なども行う。
エクストロニックCVT | オイルウォーマー、ニュートラルアイドル制御などで燃費を向上させている |
ECOモーターによるアイドリングストップ再始動機構 |
アイドリングストップ機構には新開発の「ECOモーター式」を採用。再始動時に通常のセルモーターを使わず、専用のECO(エネルギー・コントロール)モーターからベルト駆動でエンジンのクランクを回す。これにより静かで高速な再始動が可能としている。再始動に要する時間は約0.3秒としている。
ECOモーターは回生発電機能を備え、オルタネーターの役目も果たす。搭載される場所も、通常ならオルタネーターがある位置となる。なお冷間始動用に、通常のセルモーターも搭載する。
これらにより、2WDのアイドリングストップ機構搭載車の燃費は、10・15モードで15.4km/L、JC08モードで14.6km/Lを実現。アイドリングストップ非搭載車を含め、新型セレナ全車が平成27年度燃費基準を+25%と平成17年基準排出ガス75%低減レベルを達成、エコカー減税対象車(自動車取得税・重量税-75%、自動車税-50%)となっている。
車体は、ルーフ部の構造合理化などにより、ねじり剛性を先代より13.5%向上。これにより乗り心地と静粛性を向上させ、セカンドシートでの振動を2.1dB改善した。
また、足まわりにはハイスピードダンピングコントロールショックアブソーバーを採用。操安性と乗り心地を両立した。
■キープコンセプトのスタイル、だがより立派に
スタイリングは3代目からのキープコンセプトで、直線を基調としたスクウェアなボディーに、大きなグラスエリアを乗せたもの。フロントドアのウインドー下端を大きく下げたウインドーグラフィック、ボディー後端のスライドドアレール部をくぼませたアクセントなどを継承する。
一方でノーズの傾斜角を起こしたりグリルやガーニッシュを大型化したりすることでフロント部分のボリュームを大きくし、バンパーやボディーサイドのプレスラインを増やし、Aピラー直後の“三角窓”を大きくするなどの変更が加えられている。
さらにフロントバンパーやリアのランプクラスターの形状を工夫して、約8%空気抵抗を軽減した。
3代目と4代目のサイズ比較は次のとおり。
4代目(C26) | 3代目(C25) | |
全長(mm) | 4685(標準車) 4770(ハイウエイスター) | 4680(標準車) 4740(ハイウエイスター) |
全幅(mm) | 1695(標準車) 1735(ハイウエイスター) | 1695(標準車) 1725(ハイウエイスター) |
全高(mm) | 1865(2WD) 1875(4WD) | 1840(2WD) 1850(4WD) |
ホイールベース(mm) | 2860 | ← |
また室内寸法は次のとおり。
4代目(C26) | 3代目(C25) | |
長さ(mm) | 3060 | 2760 |
幅(mm) | 1480 | 1470 |
高さ(mm) | 1380 | 1355 |
室内有効長(mm) ※アクセルペダルからバックドアトリムまでの長さ | 3281 | 3279 |
4代目(C26) | 3代目(C25) | ||
ヘッドルーム | 1列目 | 185 | 175 |
2列目 | 165 | 143 | |
3列目 | 106 | 97 | |
合計 | 456 | 415 | |
ニールーム | 1列目 | 655 | 655 |
2列目 | 712 | 712 | |
3列目 | 508 | 508 | |
合計 | 1875 | 1875 |
インテリアでは、運転席前のメーターパネルの位置を、ステアリングホイール正面から、上部に移した。これまではステアリングホイールの内側を覗き込むようなレイアウトだったが、ステアリングホイール上縁のさらに上にあるメーターパネルを見るようになる。
「マルチグラフィック アッパーメーター」と呼ばれるこのパネルは、液晶パネルのみの薄型メーターで、速度はデジタル表示、エンジン回転数は左側にグラフィック表示される。また右側には大型の「ECOメーター」が表示され、瞬間燃費計(平均燃費表示機能付き)とアイドルストップ停止時間タイマー、アクセル開度と車速に応じて運転の“エコ度”を可視化する「エコドライブナビゲーター」を切り替えることができる。
マルチグラフィック アッパーメーター | アイドリングストップタイマー | 瞬間燃費計 |
エコドライブナビゲーター |
また、3列目シートの格納方法を変更。従来はリアサイドウインドーが隠れる位置までシートをフリップアップしていたが、リンク機構を変更してフリップアップ位置を下げた「スマートアップサードシート」に変更。これによりウインドーが隠れず車内が明るくなるほか、高い位置にハンドルがある自転車などの積み下ろしがしやすくなった。
2列目シート中央には、引き続き1列目までスライドしてアームレストやテーブルとして使える「マルチセンターシート」を採用。2列目両側のウインドーにはロールサンシェードを標準装備する。
20Gには、高濃度プラズマクラスターイオン発生器とビタミンフィルターを作用したインテリジェントエアコンシステムを標準装備した。ビタミンフィルターは、空気清浄のほかに、ビタミンCを放出して肌や髪の保水を行う。
このほか、20GとHighway STARには、11型モニターの後席エンターテイメントシステム、駐車ガイド機能付きアラウンドビューモニターをオプションで用意。また、地デジチューナー付きのHDDカーウイングスナビゲーションシステムがメーカーオプションとなる。
Highway STAR専用ブラックインテリア | |
20G専用フェザーインテリア | |
後席用11型モニター | オプションのイルミネーション付きパノラミックルーフ |
(編集部:田中真一郎)
2010年 11月 8日