FIA、2011年のFIA F1世界選手権のエントリーリストを公開 小林可夢偉選手は#16に |
FIA(国際自動車連盟、Federation Internationale de l'Automobile)は、11月30日(現地時間)にプレスリリースを発行し、2011年のFIA F1世界選手権のエントリーリストを公開した。エントリーリストは、パストール・マルドナード選手のウィリアムズ加入発表により12月2日に修正されたため、本記事では12月2日時点のエントリーリストを掲載する。
カーナンバー | ドライバー(国籍) | チーム名(チームライセンス国籍) | コンストラクター名 |
1 | セバスチャン・ベッテル(ドイツ) | レッドブルレーシング(オーストリア) | レッドブルレーシング・ルノー |
2 | マーク・ウェバー(オーストラリア) | ||
3 | ルイス・ハミルトン(イギリス) | ボーダフォン・マクラーレン・メルセデス(イギリス) | マクラーレン・メルセデス |
4 | ジェンソン・バトン(イギリス) | ||
5 | フェルナンド・アロンソ(スペイン) | スクーデリア・フェラーリ・マールボロ(イタリア) | フェラーリ |
6 | フィリペ・マッサ(ブラジル) | ||
7 | ミハエル・シューマッハー(ドイツ) | メルセデスグランプリペトロナスF1チーム(ドイツ) | メルセデス |
8 | ニコ・ロズベルグ(ドイツ) | ||
9 | ロバート・クビサ(ポーランド) | ルノーF1チーム(フランス) | ルノー |
10 | TBA | ||
11 | ルーベンス・バリチェロ(ブラジル) | AT&Tウィリアムズ(イギリス) | ウィリアムズ・コスワース |
12 | パストール・マルドナード | ||
14 | TBA | フォースインディアF1チーム(インド) | フォースインディア・メルセデス |
15 | TBA | ||
16 | 小林可夢偉(日本) | ザウバーF1チーム(スイス) | ザウバー・フェラーリ |
17 | セルジオ・ペレス(メキシコ) | ||
18 | TBA | スクーデリア・トロロッソ(イタリア) | STR・フェラーリ |
19 | TBA | ||
20 | ヤルノ・トゥルーリ(イタリア) | チーム・ロータス(マレーシア) | ロータス・ルノー |
21 | ヘイキ・コバライネン(フィンランド) | ||
22 | TBA | HRT F1チーム(スペイン) | HRT・コスワース |
23 | TBA | ||
24 | TBA | マルシャ・バージン・レーシング(イギリス) | バージン・コスワース |
25 | TBA |
※TBA(To Be Announced:後日発表)
例年、カーナンバーは前年のドライバー選手権のチャンピオンが#1になり、以下はコンストラクターズ選手権のポイント順に並べられ、欧米では不吉な数字とされている#13は欠番となる。チーム内でどちらが若い番号になるかは、ドライバーズチャンピオンを意味する1以外はチームの裁量で決められる仕組みとなっている。
カーナンバーが前年の順位順であることから、基本的には若い番号をつける方が“エース格”と見られるため、多くのチームでは前年の結果で順位がよいほうが若い番号になっているのだが、メルセデスグランプリがそうなっていないのは興味深い。
このチームでは昨年多くポイントを獲得したニコ・ロズベルグ選手が#8、ミハエル・シューマッハ選手が#7となっており、欧米に先輩後輩の関係があるかどうかは知らないが、このあたりは“大人の事情”なのだろうか。
■晴れてザウバーF1チームに変更されたザウバーの小林可夢偉選手は#16
チーム名が変更されたものある。日本人ファンにとって気になるのは、小林可夢偉選手が所属するザウバーF1チームだろう。今年はBMWザウバーF1チームと、昨年までのオーナーだったBMWの名前が残っていたが、これが外されザウバーF1チームとなった。
なお、ザウバーはセカンドドライバーにメキシコの通信会社であるTelmexが支援するセルジオ・ペレス選手を指名したため、Telmexがメインスポンサーになると見られていたのだが、このエントリーリストにはTelmexの名前は加えられていない。なお、小林可夢偉選手のカーナンバーは#16、ペレス選手が#17となる。
このほか、今年ロータス・レーシングの名称で走ったチームは、チーム・ロータスへと変更になった。ややこしい話なのだが、ロータス・レーシングはマレーシアのプロトンが所有する市販車メーカー“グループ・ロータス”(エキシージやエリーゼなどの自動車メーカーである)のブランドであり、1960~1990年代前半までF1を走っていたチーム・ロータスとは別のブランドなのだ。
このチーム・ロータスのブランドは、1976年のF1チャンピオンであるジェームズ・ハント氏の兄であるデビット・ハント氏が所有していたのだが、それをチーム代表のトニー・フェルナンデス氏(エアアジアの創始者で、現在のチーム・ロータスのオーナー)が購入して、チーム・ロータスへと変更されたのだ。しかしグループ・ロータスはこれを認めず、現在両社は法廷闘争を行っている最中で、FIAからはチーム・ロータスの名称が認められた形だ。
もう1つバージン・レーシングは、ロシアの自動車メーカーであるマルシャ(MARUSSIA)が株式の一部を購入し、メインスポンサーにもなったため、マルシャ・バージンレーシングというチーム名に変更されている。
■TBAになっているウィリアムズの2人目は、ベネズエラのマルドナード選手に決定
なお、まだシーズンが終わったばかりなので、チームによっては体制が完全に決まっていないところもある。ルノーの2人目、ウィリアムズの2人目、フォースインディアとトロロッソ、HRT、バージンの4チームは2人ともTBA(To Be Announced:後日発表)となっている。
ルノーの2人目は、最終戦でフェルナンド・アロンソ選手を押さえ込む大活躍を見せたヴィタリー・ペトロフ選手で決まりと言われているのだが、まだ正式な契約は結ばれていないからかTBAのままだ。このルノーの2人目のシートが決まらないため、そこを狙っているエイドリアン・スーティル選手のフォースインディア残留も、ティモ・グロック選手のバージン残留も決定せず、両チームともエースの動向待ちで2つのシートともにTBAであると考えることができる。
ウィリアムズの2人目は、11月30日のFIA発表時点ではTBAだったのだが、翌日の12月1日にウィリアムズはプレスリリースを発表し、かねてより噂になっていた今年のGP2チャンピンであるパストール・マルドナード選手(ベネズエラ)の加入を発表した。ウィリアムズは今年のブラジルグランプリでポールポジションを獲得したニコ・ヒュルケンベルグ選手を放出してマルドナード選手を獲得することになるが、その背景にはマルドナード選手の持つベネズエラのスポンサーが魅力だったのだと言われている。ウィリアムズといえども経済状況はかなり厳しいということなのだろうか。
トロロッソのシートは、現在の2人(セバスチャン・ブエミ選手とハイメ・アルグエルスアリ選手)で決まりとチーム側も公言しているが、なぜか2人ともTBAだ。ただ、ここのチームは例年エントリーリストはTBAのままにしておくことが多いので、特に大きな情勢の変化がなければ、今年の2人が継続ということになるのではないだろうか。
■来年のF1世界選手権は全20戦で、新たにインドが追加される
なお、やや旧聞に属するが、2011年のF1世界選手権のカレンダーもすでに発表になっている。
日付 | グランプリ名 | サーキット名 | |
第1戦 | 3月11日~13日 | バーレーングランプリ | サクヒール |
第2戦 | 3月25日~27日 | オーストラリアグランプリ | メルボルン |
第3戦 | 4月8日~10日 | マレーシアグランプリ | クアラルンプール |
第4戦 | 4月15日~17日 | 中国グランプリ | 上海 |
第5戦 | 5月6日~8日 | トルコグランプリ | イスタンブール |
第6戦 | 5月20日~22日 | スペイングランプリ | カタロニア |
第7戦 | 5月26日~29日 | モナコグランプリ | モンテカルロ |
第8戦 | 6月10日~12日 | カナダグランプリ | モントリオール |
第9戦 | 6月24日~26日 | ヨーロッパグランプリ | バレンシア |
第10戦 | 7月8日~10日 | イギリスグランプリ | シルバーストーン |
第11戦 | 7月22日~24日 | ドイツグランプリ | ニュルブルクリンク |
第12戦 | 7月29日~31日 | ハンガリーグランプリ | ブダペスト |
第13戦 | 8月26日~28日 | ベルギーグランプリ | スパ・フランコルシャン |
第14戦 | 9月9日~11日 | イタリアグランプリ | モンツァ |
第15戦 | 9月23日~25日 | シンガポールグランプリ | シンガポール |
第16戦 | 10月7日~9日 | 日本グランプリ | 鈴鹿 |
第17戦 | 10月14日~16日 | 韓国グランプリ | ヨンナム |
第18戦 | 10月28日~30日 | インドグランプリ | ニューデリー |
第19戦 | 11月11日~13日 | アブダビグランプリ | ヤスマリーナ |
第20戦 | 11月25日~27日 | ブラジルグランプリ | サンパウロ |
来年の開幕戦は、今年と同じく3月上旬のバーレーングランプリ。最終戦は今年のラスト2戦が入れ替わって11月末のブラジルグランプリとなる。3月から11月まで長い期間にわたり全20戦が行われることになる。
なお、年間20戦はこれまでで最も多いシーズンとなる。来年新しく加わるのは、第18戦のインドグランプリで、インドの首都であるニューデリーの郊外で建設されているサーキットで開催されることになる。なお、日本グランプリは今年と同じ10月上旬に鈴鹿サーキットで予定されており、第16戦となる。
(笠原一輝)
2010年 12月 3日