富士通研究所、運転体験が可能な広域道路交通シミュレーターを開発

計算イメージ図

2010年12月6日発表



 富士通研究所は12月6日、広域道路上の数万台の車両それぞれの挙動をリアルタイムで再現し、その中の1台に仮想的に乗車して運転体験することができる、広域道路交通シミュレーターを開発したと発表した。

 このシミュレーター開発は、道路渋滞や交通事故の防止、CO2排出の低減など道路交通の円滑化が課題となっていることが背景にある。これらの問題を解決するための新たな交通施策の導入には、ドライバーに与える影響の検証が必要になるが、膨大な量の計算が必要となるため、従来の交通シミュレーターではリアルタイムに計算ができず、運転体験の実現は困難であったと言う。

 新たに開発された広域道路交通シミュレーターでは、広域の道路上にある数万台の車両の詳細な挙動をリアルタイムにシミュレーションでき、60フレーム/秒のドライバー視覚映像を生成するほか、その中の車両1台に仮想的に乗車して運転することを可能にしている。

 富士通では、交通施策の例として、CO2排出量削減のため、なるべく加速や減速をせずに信号を通過できる推奨速度をドライバーに通知するサービスを、東京都の銀座中央通り約2km区間についてシミュレーションし、運転体験による評価を行ったところ、通知方法や通知タイミングによって運転のしやすさや CO2削減効果が変わることが分かったと言う。その結果、通知方法を改善することにより、運転しやすく効果の高いサービスを短時間で検証することができるとしている。

 富士通のWebサイトには、開発者インタビューおよびデモンストレーション映像が掲載されており、ドライバー視覚映像を確認できる。

(編集部:谷川 潔)
2010年 12月 6日