鈴鹿サーキットで「可夢偉キッズミーティング」を開催
「子供たちに夢を与えたい」と小林可夢偉選手

「可夢偉キッズミーティング」に登場したF1ドライバー小林可夢偉選手

2011年1月15日開催



 1月15日、鈴鹿サーキット(三重県鈴鹿市)で、ザウバーF1チームに所属する小林可夢偉選手が、と子供たちとの交流を主眼にしたイベント「可夢偉キッズミーティング」を開催した。

 小林可夢偉選手は2009年にトヨタF1チームからF1にスポット参戦。2010年はザウバーF1チームからフル参戦を果たし、10月に行われたF1日本グランプリでは5回のオーバーテイクを見せ観客を魅了した。シーズン終了後の英国AUTOSPORT Awardsではニコ・ヒュルケンベルグ選手、ヴィタリー・ペトロフ選手、WRC参戦のキミ・ライコネン選手を抑えルーキー・オブ・ザ・イヤーを日本人として初めて受賞した。

 2011年もザウバーF1チームに所属し、飛躍が期待される小林可夢偉選手の「子供たちに夢を与えたい。子供たちが未来に夢を持てるように、大人が努力しなければならない」との思いにより実現した「可夢偉キッズミーティング」の各イベントの様子を紹介しよう。

小林可夢偉選手 握手会&記念撮影会
 この日最初のイベントはピットビル2階のラウンジで行われた握手会&記念撮影会だ。参加資格は鈴鹿サーキットで入会できる「コチラちゃんファンくらぶ」「コチラレーシングファンクラブ」会員限定で先着50名。

 可夢偉選手はサーキットマスコットのチララと一緒にポラロイド撮影、続いてお父さんがデジカメで撮影、サインをして握手をしてと大忙しだ。最後に集まったキッズと集合写真を撮るころには40分が過ぎていた。

 ちなみに「コチラちゃんファンくらぶ」は小学生未満が対象で無料で入会可能。「コチラレーシングファンクラブ」は小学生が対象で入会金2000円、年会費無料。入会すると遊園地入場無料、レース観戦無料などの特典がある。鈴鹿サーキットに家族で行かれる方は一度チェックされたい。

最初にキッズのみんなに挨拶早速チララも一緒に記念撮影。ポラロイドの提供もあるが、お父さんはデジカメで撮影一人一人にサイン
記念撮影に並ぶ参加者の列。参加者全員と40分かけて記念撮影を行った最後は子供達と集合写真

可夢偉と一緒にバス走行
 次は可夢偉選手同乗で鈴鹿サーキットのフルコースをバスで1周する「可夢偉と一緒にバス走行」だ。このイベント以降は小学生以下なら誰でも参加できる。イベント案内には「可夢偉選手が参加のお友だちに詳しく、国際レーシングコースを解説してくれるぞ」と書かれていたが、バスが走り出すと「コース解説せぇへんで~」と気さくな可夢偉選手らしいトークが始まった。

 可夢偉選手の「みんなどこ行きたい?」に「コンビニ~」、「お兄ちゃん、いくつに見える?」と聞くと「40歳~」といった感じだ。バス走行は2回行われ、走行後は全員にサインをしていた。

バスに乗り込む子供たちバスはストレートエンドからコースイン立体交差を抜け、可夢偉選手のオーバーテイクが印象的だったヘアピンへ
バックストレッチを疾走130R手前バスを降りる前に全員がサインをもらう
そのまま運転席に座り2回目に乗車する子供たちを出迎えた「どこ行きたい? コース解説せぇへんで~」2回目も全員にサイン

可夢偉トークショー
 可夢偉選手はサーキットから遊園地に移動、正面ゲート近くのウエルカム広場でトークショーが行われた。卒業文集に「F1ドライバーになる」と書いたことなどを紹介、集まった子供たちに「英語は勉強せぇ、F1に乗らなくても世界を旅して楽しい」。初めて乗ったレーシングカートについて聞かれ「最初のコーナーで飛び出した。マリオカートですべてのコーナーは全開で行けると思っとった」と会場を笑わせた。

ウエルカムひろばで行われたトークショー

可夢偉の豚汁ふるまい
 次は遊園地内のジョイフル広場に用意された大型テントに移動し、可夢偉選手が豚汁をふるまうイベントだ。これも小学生以下なら誰でも参加可能。列を作る子供たちに「熱いから気をつけぇ」と豚汁を手渡していた。

 今でこそレースファンにはお馴染みの可夢偉選手だが、数年前ならコンビニの普通のアルバイト店員にも見えそうだ。可夢偉選手はまだ24歳、10年以上活躍できるはずだ。

豚汁ふるまい。普通の学生アルバイトにも見える?

可夢偉と一緒にカートを組み立てよう
 鈴鹿サーキットには、「モビリティ」の原点である「つくる喜び」を体感できる「のりもの研究所」が設置されている。「のりもの研究所」のメカニック室ではスナップオン製などの工具を使って電気カートの組み立てに挑戦できる。通常は1000円で参加できるが、人気が高く予約が必要な場合もある。

 今回は小学生以下の子供を対象に先着5家族が、可夢偉選手と一緒にこのカート組立に参加した。電動カートはフレームにモーター部が取り付けられた状態から、ステアリングまわり、サスペンション、タイヤ、シートなどを取付て完成させ、完成後は建物横のスペースで試走を行うことができる。

 5台のカートを参加した子供たちがそれぞれ組立を進め、可夢偉選手が順番にそれを手伝う流れだが、部屋の隅に置かれたデフギヤの構造模型を見つけると興味津々、しばらくその動きを堪能したりしていた。作業中も各家族からサインや記念撮影の要望に応え、約1時間でカートは完成した。

 完成後は屋外の試走スペースに移動。ペダルに足の届かない2歳の女の子と一緒に楽しそうに試走を行った。子供も楽しそうな表情を見せていたが、それ以上に両親が興奮状態になっていたのが印象的だった。

子供と一緒に組立に参加。サスペンションを取り付ける可夢偉選手デフの構造模型で遊ぶ可夢偉選手タイヤを装着
完成後は記念撮影隣接するテストコースで子供と一緒に試走

可夢偉&コチラに挑戦!プッチグランプリ
 「プッチグランプリ」は昨年春にオープンした施設で、鈴鹿サーキットのレーシングコースを模したミニコースをゴーカートで走り、タイムを競うことができる。

 午前中から休みなく続いたイベントの最後を飾るのがプッチグランプリで、小学生と可夢偉選手がレースを行うというイベントだ。このイベントも小学生なら無料で参加可能だ。参加した子供達は、3回行われる予選で1位になると可夢偉選手も参加する決勝に進むことができる。

 可夢偉選手の挨拶が終わり、予選1組目がスタート……というときに、可夢偉選手は最後尾を走るマーシャルカーの助手席に同乗。プチサプライズで会場を笑わせた。

 予選2組目は可夢偉選手が1人でマーシャルカーに乗り込みステアリングを握った。最後尾の9番手ポジションからスタートした可夢偉選手だが次々と小学生をオーバーテイク、4位まで順位を上げて戻ってきた。そのままピットレーンを逆走して最後尾に付くかと思ったら、「もう1周してきます……練習やぁ」と1人で周回。子供相手にも大人げなく勝ちに行きたいというレーサーの本能を垣間見せた。

 予選3組目はムービーのカメラマンを助手席に乗せて最後尾からスタート。「重い、加速せえへん」とマイクで解説しながら後方集団と一緒に戻ってきた。

 いよいよ決勝。予選を1位通過した3台に可夢偉&コチラの4台で決勝が行われるはずだったが、コチラの着ぐるみが大きすぎて2人ではシートに入らなかったため、可夢偉選手は単独で4番グリッドからスタートすることになった。マスコットのコチラも単独で5番グリッドから参戦だ。

 決勝スタート。勝つ気満々でスタートした可夢偉選手だが、各組を1位通過した子供達は手強いようで東コースを4位キープで通過。立体交差、ヘアピンと差を詰めるが、バックストレッチで離されスタート順位そのままの4位でゴールした。優勝タイムは1分14秒、可夢偉選手は1分24秒、10秒の大差で敗退した。

 レース後には1位の兄弟に記念品を贈呈、タイムボードの前で記念撮影、さらに参加者全員と集合写真を撮り、最後は「今年も応援よろしくお願いいたします」と挨拶して、午前中から始まった長いイベントを終了した。

 この日、可夢偉選手と写真を撮った子供達は数百人、いつかその子供達が「F1チャンピオンの可夢偉選手と一緒に撮った写真」と自慢できる日が来ることを期待したい。

予選前に挨拶突如、最後尾のマーシャルカーに乗車予選2組目では、1人でマーシャルカーをドライビング
予選2組目をゴールしてさらに1人で1周。真剣にマシンを観察中予選3組目はカメラスタッフを乗せてスタート最後尾から参加者をプッシュ
予選3組目が終了コチラは太すぎて同乗できず、単独で決勝レースに。コチラも単独で参戦決勝レース。4番手グリッドからスタート
コチラを引き離しアウトから1コーナーへ立体交差でも4番手ポジションは変わらずスプーンでもポジションアップできず
そのまま4位でゴール「トップから10秒遅れですが?」と質問され、笑顔で悔しいとコメント優勝した兄弟に記念品を贈呈
タイムボードの前で記念撮影。10秒遅れの4位が可夢偉選手のタイム参加者全員と記念撮影「今年も応援してください」

(奥川浩彦)
2011年 1月 17日