アイシンAW、iPhone用カーナビアプリ「ナビエリート」
スマートフォン向けブランド「ドライブレイン」立ち上げ、Android版なども予定

ナビエリートの画面

2011年1月17日発売
3800円/年



 アイシン・エィ・ダブリュは1月17日、iPhone用カーナビアプリ「NAVIelite」(ナビエリート)を発売、同日、都内で発表会を開催した。

 ナビエリートの価格は年額3800円だが、2月16日までは2600円で購入できる。対応機種はiPhone 3GS/4、対応OSはiOS 4.1~。

会場にはMINI、フィアット500といったスモールカーに、ナビエリートをインストールしたiPhoneを装着し展示していた

車載カーナビそのままの画面
 同社初のiPhone用カーナビアプリとなるナビエリートだが、その特長は、車載カーナビなみの機能を持っていること。オートリルート、3D表示、市街地表示、電話番号やマップコードなどさまざまな目的地検索手段はもちろん、3D交差点拡大図や車線のリスト表示機能、VICSによる渋滞表示を備えるほか、タウンページのデータを検索することもできる。

 また、従来のカーナビアプリが目的地の手前で案内をやめてしまうのに対し、ナビエリートは目的地の30m手前まで確実に案内する「Door to Doorダイレクトガイド」を実現してる。

 ナビエリートを起動すると、トヨタ車の車載カーナビなどとほぼ同じ画面が表示されることに驚く。目的地設定や各種機能設定の画面も、同社製車載カーナビと同様だ。

 トヨタ自動車、フォルクスワーゲン、アルパイン、富士通テンなど、自動車メーカー9社、カーエレクトロニクスメーカー5社にカーナビを供給するアイシン・エィ・ダブリュだが、ナビエリートは車載ナビのコードをiPhone用に移植したもの。iPhone用に若干のモディファイはされているものの、インターフェイスのデザインはほぼ同じ。

 車載カーナビはGPS信号だけでなく、車速パルスやジャイロセンサーによる自律航法により、精度を高めているが、iPhone用ではGPS信号のみ。しかし、ナビエリートでは位置検出やルート探索などのロジックも車載用と全く同じ。iPhone 4では内蔵ジャイロセンサーも精度向上に利用しているが、その精度は「(ジャイロセンサーが)無いよりはいい」(関係者)という程度のものだと言う。

ナビエリートの画面。ナビゲーション画面から設定画面まで、トヨタ車などのアイシン・エィ・ダブリュ製カーナビと同じ。上部のアンテナやバッテリーのアイコンを見て、スマートフォンだと分かる
交差点拡大図、車線案内、Door to Doorダイレクトなど車載カーナビなみの機能を備える

Android版も予定
 地図とタウンページ、交差点イラスト、Door to Doorダイレクトガイドのデータはすべてアプリに内蔵しており、携帯電話が圏外でも使用できる。このためアプリのサイズは1.8GBあり、無線LAN環境でのみダウンロード可能となっている。

 また、1.8GBのアプリには詳細地図が含まれていない。詳細地図はインストールしたアプリ内から、さらにダウンロードすることになる。無料でインストールできるが、サイズは2GBあり、合計で3.8GBのスペースが必要になる。さらに、地図データはアプリと一体になっているため、地図の更新はアプリ全体をアップデートする形で行う。

 地図更新は年6回。最初の更新は3月を予定しており、メジャーな道路は少しでも早く配信できるよう工夫するとしている。

 また同社は、ナビエリートに続き、簡易版の「ナビエリートミニ」も計画している。料金や発売日は明らかにされていない。また、Android版の開発も視野に入れているが、iPadを始めとするタブレット型端末への対応は「(スマートフォン版で)もう少しユーザーの声や要望を取り入れてから、考える」としている。

通信圏内ではVICSによる交通情報を利用できる詳細地図はアプリ内からダウンロードする
ナビエリートミニを開発中インターネットコンテンツとの連携、Android対応、グローバル対応、歩行者ナビなども予定されている

 

廣瀬プロジェクトリーダー

「ウェアラブルナビゲーション」を目指して
 アイシン・エィ・ダブリュの廣瀬功司 プロジェクトリーダーは、「20年間車載カーナビで培った技術や使いやすさ、エッセンスを詰め込んだ自信作」「コンパクトでスタイリッシュ、そして自由な搭載スタイルが楽しめる。新しい搭載スタイルにも注目してほしい」とナビエリートを紹介した。

 ナビエリートの発売に当たって、同車はスマートフォン向けブランド「dribrain」(ドライブレイン)を立ち上げた。ナビエリートはドライブレイン製品の第1弾という位置づけになる。

 廣瀬プロジェクトリーダーは「もっとたくさんのお客様に本物のナビを届けたいという思いから、スマートフォン向けに商品を販売する。クラウドなど、新しい世界とつながった魅力的な商品の開発と販売に力を入れていきたい」と、ドライブレイン・ブランドの目的を説明した。

同社は1986年にカーナビの研究を開始、音声案内や交差点拡大、電話番号検索、リルートは同社が開発し、世界標準になった機能だ14社にカーナビを提供2010年には累計100万台を突破した
加地プロジェクトチーフエンジニア

 また加地プロジェクトチーフエンジニアは「ウェアラブルナビゲーション」というコンセプトを提示。「カーナビは単なる道案内だけでなく、ドライバーをサポートする重要な位置づけに進化してきている。クルマだけでなく、個人に密着したカーナビが必要」という考えから、「ウェアラブルナビゲーション=身に着けられるナビゲーション」のアイデアが生まれ、その媒体の1つとしてスマートフォンに着目したと言う。

 「ウェアラブルナビゲーション」をもう少し具体的にイメージすると、個人個人が持つスマートフォンをクルマに装着すると、スマートフォンのナビ機能に加え、「AT協調制御」のような車両からの情報を応用したナビゲーションが可能になる、といったものになるようだ。

 スマートフォンナビの開発は車載製品の開発よりもスピードが速く、こうしたスマートフォンの世界の製品開発ノウハウを得るのも、今回の参入の目的の1つと言う。ドライブトレインブランドは、車載カーナビよりも安価な市場をカバーする一方で、カーナビの進化の一翼も担う、将来へ向けたプロジェクトでもあるのだ。

 ナビエリートの今後の展開としては、インターネットコンテンツとの連動を考えていると言う。同社の加地孝典 プロジェクトチーフエンジニアは「旬な情報をお届けできるような仕組みを作る」としているが、具体的な方法は明らかにされなかった。

ウェアラブルナビゲーションのコンセプトナビエリートの5つの特長販売目標は3年で30万本

(編集部:田中真一郎)
2011年 1月 17日