フォルクスワーゲン、新春記者会見で2代目「トゥアレグ」を発表
スーパーチャージャーとモーターのツインアシストハイブリッドを追加

新型トゥアレグと並ぶドリザス社長(写真左)とDr.ヨーヘン・ボーレ(写真右)

2011年1月19日開催



 フォルクスワーゲン グループ ジャパン(VWJ)は1月19日に、都内のホテルで恒例となっている新春記者会見を開催。この席で、同社のプレミアムSUV「トゥアレグ/トゥアレグハイブリッド」をフルモデルチェンジさせ、2月17日から全国のフォルクスワーゲン正規ディーラーで発売することを発表した。

トゥアレグハイブリッド
トゥアレグV6

ついにハイブリッドモデルがデビュー
 今回のモデルチェンジで2代目となるトゥアレグだが、最大の注目点は、フォルクスワーゲン初のハイブリッドモデルとなる「トゥアレグハイブリッド」のラインアップ追加になる。記者会見では、VWJのゲラシモス・ドリザス社長から年始の挨拶や昨年度の販売傾向、これからの活動計画などについて語られたあと、この記者会見に合わせてドイツから来日した2代目トゥアレグ開発責任者のDr.ヨーヘン・ボーレが登壇。新しいトゥアレグについての解説を実施した。

「2010年の純輸入乗用車の市場で25.9%のシェアを確保し、輸入車のうち4台に1台がVW車という状況」とコメントするドリザス社長
身振り手振りを交えながら解説するDr.ヨーヘン・ボーレ

 初代モデルのハイスペック版として設定されていたV8エンジン車と入れ替わりで用意されたトゥアレグハイブリッドは、インタークーラー付き3リッター直噴V型6気筒スーパーチャージャーエンジンとアイシン製8速ATの間に、電気モーターと乾式油圧クラッチで構成されるハイブリッドモジュールを設置する、パラレル式ハイブリッドを採用。バッテリーモジュールは車両後方のラゲッジルームフロア下に配置し、同社独自の4MOTIONによるフルタイム4WDで4輪を駆動させる。

 ハイブリッドシステムの採用によって、システム合計279kW/580Nmの高出力と13.8km/Lという飛躍的な燃費向上を果たしたほか、センターコンソールに設置された「E-MODE」スイッチを押すことで、最長2km、50km/hまでモーターのみで疑似EV走行が可能になり、プレミアムモデルとしての新しい付加価値を手に入れることになった。

 パラレル式を選択した理由について、Dr.ボーレは「トゥアレグの魅力である3.5tのトレーラーをトーイングするような牽引力やラフロードの走破性、高い最高速度などを維持するため」と説明した。

ハイブリッド駆動システムの透視図ハイブリッドモジュールの構成パーツ
スーパーチャージャーとモーターのアシストで、V8エンジンに迫るパワーを獲得トゥアレグハイブリッドに搭載するCGE型エンジンは、単体でも245kW/440Nmを発生

 2代目トゥアレグのラインアップは、ハイブリッドに加え、ブルーモーションテクノロジーを採用した「トゥアレグV6」の2本立て。新しい3.6リッター直噴V型6気筒 FSIエンジンは、従来型同様の出力をキープしつつ、Start/Stopシステム(アイドリングストップ)、回生ブレーキ制御、排気ガスコントロールシステム、8速AT、エンジン内部のフリクションロス低減などの相乗効果によって、燃料消費量を38%も低減させていると言う。

「コンセプト以外は新開発」と解説する意欲的なV型6気筒エンジントゥアレグV6のCGR型エンジンは、206kW/360Nmの出力と9.5km/Lの10・15モード燃費を両立

 また、パワートレーンでは、ミッションがハイブリッドと同じ8速ATながら、4WDはよりヘビーなオフロード走行に対応する4XMOTION(フォーエックスモーション)を採用。これにより、最大登坂角度45度(ハイブリッドは31度)を実現し、センター&リアデフの電気的ロック、ESP OFFなども可能となっている。

ハイブリッドとV6に別々の4WDシステムを用意積極的なオフロード走行をアシストする4XMOTION

 今回のモデルチェンジでは、全長+45mm、全幅+15mm、全高+10mmというサイズ拡大を行い、室内空間の快適性を向上させているが、その半面で細部にわたる見直しによって最大70kgの軽量化を図っていると言う。また、一般的にハイブリッドカーはバッテリーの影響で車重が重いイメージがあるが、トゥアレグでは従来のV8モデル・エアサス仕様車と比較して、今回のハイブリッドモデルのほうが軽いクルマに仕上がっているとのこと。

パーツ1つにまでこだわった軽量化について語るDr.ボーレ

 Dr.ボーレは「もともと600以上あった軽量化のアイディアの中から270の技術をこのクルマに投入することで、ホワイトボディー重量は400kg以下の数値を実現した。それでいながら、ボディーのダイナミック剛性は5%改善している」と解説。また、細かい部分におよぶ軽量化の一例として、ドイツから持参した1つのパーツを紹介。「これは新型トゥアレグのタンクシステムのバルブですが、50g軽くしました。わずかな数値ですが、軽量化に向けた取り組みの1つです」とコメントした。

「電子の目」が安全、安心をサポート
 このほかに2代目トゥアレグでは、車両の各所に配置したカメラやレーダーセンサーなどを活用した安全装備の充実も特筆すべき点となっている。全車標準装備の「エリアビュー(アラウンドビューカメラ)」では、フロントグリル、左右ドアミラー、テールゲートの4カ所に配置したカメラから得られた映像を合成処理し、同じく全車標準装備のHDDカーナビのディスプレイを使って、車両を上空から見下ろしたような周辺画像を表示する。

タッチパネル液晶の画面を使って、車両周辺の安全確認、ハイブリッドではアシスト状況の表示などが可能
エリアビューのイメージ図フロントモニタリングシステムのイメージ図

 また、トゥアレグハイブリッドにはアダプティブクルーズコントロール、レーンキープアシスト、フロントモニタリングシステムに加えて、自車の死角や、急に追いついてきた後続車などを検知して、サイドミラー内側に備えたLEDを点灯させてドライバーに知らせる「サイドアシスト」も標準装備している。

レーダーの感知範囲は200m、スキャン角度は40度LEDの光で後続車を知らせてくれる

 さらにインパネのスピード・タコメーターの間に、フルカラーマルチファンクションインジケーターを全車標準装備。ステアリングに用意されたスイッチの操作で、カーナビの経路ガイドやタイヤ空気圧モニタリングシステムの現在値、瞬間燃費やハイブリッドシステムの活動状況、オーディオ情報などを自在に表示できるようになっている。

ハイブリッドのインパネハイブリッドのステアリングフルカラーマルチファンクションインジケーター
タイヤ空気圧の現在値ハイブリッド関連の情報選択画面フロントレーダー情報
ステアリング右側のスイッチで表示を選択車両ステータス表示の選択画面左側はオーディオや携帯電話などの操作スイッチ

 車両価格は、トゥアレグV6が623万円、トゥアレグハイブリッドが898万円となっている。

ハイブリッドのフロントマスクトゥアレグハイブリッド
トゥアレグV6V6のサイドビューV6のリアビュー

 ボディカラーは全6色。以下のカラーのほか、カンパネーラホワイト、ディープブラックパールエフェクトがある。

クールシルバーメタリックタングステンシルバーメタリック
グラシオーサブラウンメタリックナイトブルーメタリック

 内装色は、チタンブラック、フューリオーソブラウン、コーンシルクベージュの3色。ハイブリッドは全車レザーシート、V6はファブリックが標準装備で、レザーシートがオプション設定されている。

チタンブラック内装フューリオーソブラウン内装コーンシルクベージュ内装
V6のフロントドアV6のリアドアリアドアにはサンブラインドを装備
オフロードスイッチのダイヤルを備えるV6のセンターコンソールハイブリッドのセンターコンソールE-MODEのスイッチ
ハイブリッドの後席電動パノラマスライディングルーフは全車にオプションV6のラゲッジルーム
6:4分割可倒状態フルラゲッジモードラゲッジの左脇には、電動バックレストリリースなどのスイッチを配置
V6に標準装備のラゲージマネジメントシステムラゲッジフロア下にバッテリーモジュールを設置V6ではスペアタイヤが置かれる
バイキセノンヘッドライトを全車標準装備265/50 R19タイヤを装着するハイブリッド255/55 R18タイヤを装着するV6
トゥアレグハイブリッドのロゴマーク
トゥアレグハイブリッドエキゾースト形状

(佐久間 秀)
2011年 1月 20日