シムドライブ、EV開発プロジェクト1号車「SIM-LEI」が完成 4人乗りの中型車。EVは電力不足に貢献とアピール |
シムドライブは3月29日、同社が主催する電気自動車(EV)開発プロジェクトの1号車「SIM-LEI」(シム・レイ)が完成し、航続距離333kmを達成したと発表した。
同社は、イン・ホイール・モーターとコンポーネント・ビルトイン・フレームによる実用EVの開発と、2013年の量産を目指し、複数の企業、機関によるEV開発プロジェクトを取りまとめている。参加した企業、機関は、プロジェクトで得られた知見を自らの事業で自由に活用できる。
その開発プロジェクトの第1弾が、2010年1月~2011年3月31日まで行われた「先行開発車事業第1号」で、34の企業、機関が参加した。
車名の「LEI」は「Leading Efficiency In-wheel motor」から来ており、その名のとおりそれぞれのホイールにアウターローター式モーターを組み込むイン・ホイール・モーターと、車体床下に走行コンポーネントを収めるコンポーネント・ビルト・イン・フレームを採用する。
車体サイズは4700×1600×1550mm(全長×全幅×全高)で、トヨタ「マークXジオ」より15mm短く、185mm狭いが、高さは同じ。重量は1650kgで、これもマークXジオ(1570~1660kg)と同レベルだ。同社は「全長は中型車、全幅は小型車並とし、足元を広く、かつトランクルームの空間を広く取る構造」で「車体サイズに比べて極めて広いインテリア」と説明している。
SIM-LEI | SIM-LEIのインテリア |
ボディーは鋼鉄製のモノコックで、軽量化と空気抵抗軽減を図っており、さらに超低転がり摩擦抗タイヤで効率を高めている。定員は4名。
搭載する電池の容量は24.9kWhで、交流電力消費率は77Wh/km。これはガソリン消費率では70km/Lに匹敵する効率と言う。一方で0-100km/h加速は4.8秒、最高速度は150km/hに達する。
この結果、1充電あたりの航続距離は、JC08モードで333km、100km定速走行で305kmを達成した。
同社は、SIM-LEIの良好なエネルギー効率を以て、夜間充電を前提とすれば、日本のすべての車がEVになっても、「発電所の増設は不要で、かつ、内燃機関自動車に使われてきた石油の一部を発電にまわすことで、すべての電気自動車の充電を行うことが可能」としている。さらに、夜間に充電した電力の一部を昼間の家庭用電力として使用すれば、現在問題になっている電力不足に貢献できるとしている。
なお同社は、先行開発車事業第2号を、1年間の予定で2011年1月にスタートしている。
(編集部:田中真一郎)
2011年 3月 29日