ピレリ、フラッグシップタイヤ「P ZERO シルバー」
F1から生まれた初の乗用車用タイヤ

P ZEROシルバー

2011年10月5日発表



 ピレリ ジャパンは10月5日、乗用車用タイヤとしてフラッグシップ製品となる「P ZERO シルバー」を発表した。2012年春の限定発売を予定しており、サイズラインアップ、価格とも未発表。

 同社では今年からF1のタイヤサプライヤーとなっており、F1日本グランプリを週末に控えることもあって、本社からモータースポーツ・ダイレクターのポール・ヘンベリー氏が来日。ヘンベリー氏、ピレリ ジャパン 代表取締役社長 マルコ・エッリ氏らによる製品発表会が都内のイタリア大使館で開催された。


 発表会の冒頭、駐日イタリア大使 ヴィンチェンツォ・ペトローネ氏が挨拶。ペトローネ氏は、ピレリがイタリアにとって大切な企業であり、今年のF1ではどんなマシンが優勝しても必ずピレリのタイヤを履いているのが楽しいと言う。週末に行われる日本グランプリもそれは同様だが、「できれば赤い色のマシンが勝利してほしい」と、自国チームとなるフェラーリチームの応援を忘れなかった。

 製品については、ピレリ ジャパン代表取締役社長 マルコ・エッリ氏が解説。P ZERO シルバーは、同社ハイパフォーマンスタイヤ「P ZERO」シリーズの最上位に位置するモデルであり、F1タイヤの開発・製造で得られた革新技術が投入されているとする。

駐日イタリア大使 ヴィンチェンツォ・ペトローネ氏ピレリ ジャパン代表取締役社長 マルコ・エッリ氏
会場で流されたビデオ。P ZERO シルバーのCMとして放映される

 F1のドライタイヤでは、そのコンパウンドの種類によって、固いほうから、シルバー(ハード)、ホワイト(ミディアム)、イエロー(ソフト)、レッド(スーパーソフト)の色で「PIRELLI」および「P ZERO」ロゴが描かれている。F1タイヤの製品名もP ZEROであり、F1用のハードタイヤはP ZEROシルバーとなり、市販タイヤの製品名もそこから与えられている。

 同社モータースポーツ・ダイレクターのポール・ヘンベリー氏によれば、F1用レーシングタイヤの開発は半年程度。そのF1用タイヤと同様の開発プロセスが取り入れられているのがP ZERO シルバーの特徴となる。

モータースポーツ・ダイレクター ポール・ヘンベリー氏通訳や代表質問を行ったのは、モータースポーツ・ジャーナリスト 小倉茂徳氏F1タイヤロゴの色分け。F1の観客に分かりやすいよう、工夫されている

 なお、今年のF1については、昨年のF1タイヤと比べとくにソフト側での寿命が短くなっている。この点について、通訳として登場した、本誌でもおなじみのモータースポーツ・ジャーナリスト 小倉茂徳氏が代表して質問。小倉氏からは、タイヤ交換の多いエキサイティングなレース展開を希望するF1開催側からの要望により「あえて短くした」開発の難易度についての質問がなされ、ヘンベリー氏は「開発期間も短かったので大変だった」と答えていた。すでにF1シリーズも後半戦となっているが、これまでタイヤに起因する大きな事故もなく、想定どおりのハイグリップかつ短いタイヤライフを実現できていることからも、同社の技術力が分かる部分だ。

 また、ヘンベリー氏からは、F1日本グランプリに投入するタイヤのコンパウンドが、ミディアムとソフトの2種類であることも発表された。F1用タイヤ関連については、別途ヘンベリー氏のインタビュー記事をお届けする予定だ。

 従来からスポーツカーを中心に装着されてきたP ZEROシリーズの上位製品となるため、どれだけのパフォーマンスアップができているのかが気になるところ。来春の発売が楽しみな製品といえる。

P ZERO シルバーの発表会には、同社のスタッドレスタイヤのイメージキャラクターともなっているフィギュア・スケーターの安藤美姫選手が登場氷路面でのスピードやパワー、ブレーキのコントロールに通ずるものがあると言う
会場に1本だけ展示されていたP ZEROシルバー。サイズは255/35 ZR19P ZEROの文字が銀色で描かれる
P ZEROシルバーのトレッドパターン

(編集部:谷川 潔)
2011年 10月 6日