スズキ、インドの四輪車が28年間で初めての不振
12月に国内生産にタイ洪水の影響が及ぶ可能性

鈴木修会長

2011年11月7日発表



 スズキは11月7日、2011年度第2四半期(2011年7月~9月)決算を発表した。これによると、売上高は1兆2262億円で、前年同期比926億円減(7%減)。営業利益は647億円で、前年同期比41億円減(5.9%減)。純利益は320億円で、前年同期比16億円増(5.3%増)。

 売上高の減少の主な原因は日本とインドでの四輪車の不振。四輪車販売は、登録車は「ソリオ」の好調で15.1%増となったものの、軽自動車が18.4%減となり、四輪車全体で15%減となった。要因はエコカー補助金終了と東日本大震災の影響としている。

 インドはガソリン価格上昇、金融引き締め策による金利上昇やクレジットの審査厳格化、頭金割合の増加などによりガソリン車販売が減少。マネサール工場の労働争議による生産減もあり、9.2%減となった。

 インドの不振について同社の鈴木修 会長兼社長は「世界中の景気がこうだから、いつまでもインド(の好調)が続くわけではない。世界の傾向の中でインドもようやく世界と同じになったと認識している」「(現地法人の)マルチスズキは1983年の生産開始以来、28年間ずっと上り調子で、下がったことがなかった。この程度の政策をやっていれば伸びていくと、多少過信があったと思う。何の理由であれ下がったということは、本人達の今後のために非常によかったのではないか」「労務政策のミスもあった。全部マイナス要因が出てきたということはマルチ100年の計の中ではよかったのではないか」と不振を前向きに捉える発言をした。

 インドでの不振の原因は、低所得者層のユーザーが多い小型車が、金融引き締め策の影響をもろに受けたこととし、その対策として「台数やシェアにこだわるのではなく、単価を年々上げていくのが重要」と、単価の高いミドルクラスのクルマを伸ばしていく方針を明らかにした。通期のインドでの見通しは「よくて前年並みの120万台、悪ければ100万台くらい」した。

 なお営業利益は前回予想よりも247億円、61.8%もの増となった。増益要因は諸経費減で250億円、減価償却費減で149億円、原価低減で71億円の計470億円。一方減益要因として売上構成変化386億円(うち130億円は原材料費値上がり)、為替換算影響が114億円、研究開発費像が11億円があり、差し引き41億円の減益となった。

 竜洋地区での災害対策引当金175億円の特別損失も計上しているが、GM株売却益などで純利益も予想より20億円増となった。

 通期予想は売上高2兆6100億円(前期比0.1%増、以下カッコ内同じ)、営業利益1100億円(2.9%増)、純利益500億円(10.7%増)で据え置き。下期の為替レートを1ドル80円から75円に、1ユーロ110円から105円に見なおしたうえで、タイ洪水の影響が不透明としての予想。

 タイ洪水に関して鈴木会長は、現地工場に影響はないものの、日本の四輪車生産に影響がある可能性を指摘。「11月末までは間違いなく生産を続けていけるが、12月以降については見通しにくい」と述べ、「タイの影響は正直言って皆目分からない。だからあらゆる手段を考えて置かなければならない。予断を許さないので、予測をしないで調達に邁進すること以外ない。1週間ごとに傾向を発表する」とした。

 またフォルクスワーゲンとの提携解消については「交渉は続けなければならないが、進んでいない」とした。

(編集部:田中真一郎)
2011年 11月 8日