アキバの常設スロットレーシングコース「外神田一丁目サーキット」
イカ娘フェラーリの特典フィギュアを公開


 東京・秋葉原に、海洋堂が開設した「ワンフェスカフェ」がある。同社は大阪に本社をもつ造型メーカーだが、秋葉原には同社製品のショールーム兼販売店舗として秋葉原駅前のラジオ会館に「ホビーロビー東京」を構えていた。しかし、ラジオ会館の建て替え決定を機に、ホビーロビー東京は近隣ビルに仮店舗として移設。ほぼ同時期に、秋葉原カルチャーZONEとして改装された旧LAOX ザ・コンピュータ館のビル地下に「ワンフェスカフェ」をオープンさせた。

「外神田一丁目サーキット」のコース全景。コースには立体交差の部分もある。同時に四台のスロットカーでレースが可能
秋葉原カルチャーZONE 地下1階ワンフェスカフェ内
営業時間:11時~22時

 同社によれば「ワンフェスカフェ」は、500m2を超える床面積の枠組みだけを用意して、その中に物販や飲食などのテナントが入居する。モノづくりやフィギュア、ガレージキットをテーマに、情報やモノを提供する人、それを受ける人、参加者みんなで作り上げていくワンダーフェスティバル譲りのスタイルで、「アンテナショップ+カフェ+イベントスペース+いろいろ」と盛り沢山の内容を常設で行おうというプロジェクトになるとのこと。

 今回紹介する「外神田一丁目サーキット」は、秋葉原カルチャーZONEの地下フロアにあるワンフェスカフェ内に常設される、スロットレーシングのコースだ。

 蛇足ながら解説すると、スロットレーシングは1960年代に一大ブームとなったホビーの1つで、モーター駆動で動くスロットカーをサーキットコースに走らせるもの。サーキットには1台ごとにスロット(溝)とスロットの両側に電極が用意されており、スロットカーの底面にある接点ブラシを通じて電力が供給される。手元のコントローラーにあるボタンの押し加減で供給電圧を調整し、スロットカーに内蔵されているモーターの回転数を制御することでアクセル操作をする仕組みだ。コースにはスロットがあるのでスロットカーはそのラインに沿って走行するが、コーナーなどでスピードが速すぎると容易にコースアウトする。アクセルワークがそのまま走行テクニックとなる。

 1960年代には街中の模型店などでこうしたスロットレーシングのコースが用意されているところもあった。子供達はそれぞれ自分のスロットカーを持ち寄ってプレイする。店側ではコースを時間貸ししたり、新しいスロットカーをはじめ関連パーツを販売したり保守したりすることで利益を得るという仕組みである。単純なようだが接点ブラシを磨くだけでスピードが劇的に改善したりするのも面白いところ。

 時代とともにそうしたコースは次第に姿を消したが、ホビーとしては何度かの小さなブームを経て現存する。基本的な部分は変わらないが、時代にあわせたテクノロジーも取り入れて進化を続けている。ワンフェスカフェ内に設置された「外神田一丁目サーキット」も一見はノスタルジーだが、走行しているスロットカー自体はスロットレーシングとしては新しいテクノロジーも取り入れている。

 例えばスロットカーのリア(駆動輪)側にマグネットを設置して、コースへのグリップを高めることもできる。このマグネットを上下に微調整することで初心者用にも上級者用にも対応が可能というわけだ。スロットカーは店内でも販売されているほか、貸し出しも行われているので気軽に楽しむことができる。

 コースの利用料金は、5分間で100円。現在は、平日の11時から13時、20時から21時、土日祝日は11時から12時までサービスタイムとして無料で利用できるとのこと。未経験者はとりあえず、こうした無料のサービスで試してみるのもよいだろう。前述したとおり、スロットカー自体も貸し出してくれる。

 ワンフェスカフェ内では入居テナントによって車両本体やパーツの販売も行われている。秋葉原らしく、いずれはユーザーが痛車ペイントをほどこしたスロットカーを集めた「痛車スロット選手権」などのレースも企画中とのことだ。

コースは5分100円の時間貸し。時間貸しというスタイルは1960年代からある伝統の仕組み。現在はサービスタイムとして無料で利用できる時間帯もある
走行中の様子。コースは1/32となっているが、1/43のスロットカーも走行できる。実際に見るとかなりのスピードで疾走していく。アクセルワークがポイントコントローラー。引き金になってる部分の引き加減でコースへ供給される電圧が微調整され、それがそのまま走行速度につながる
椅子は昔の小学校風。ワンフェスカフェの座席やテーブルはいずれもこうしたノスタルジックなものが使われている販売されるスロットカーのサンプル。フォーミュラカーから一般車輌までさまざま

イカ娘フェラーリの個人スポンサー向け特典リボルテックを公開
 ワンフェスカフェ自体は2011年9月中旬より一部テナントの入居が始まってプレオープン。10月末にはすべてのテナントが揃い、秋葉原カルチャーZONEのグランドオープンにあわせて現在の営業形態になっていたが、メディア等に向けた明確な告知を行う機会がこれまでなかったということで、海洋堂の主力製品のひとつ「リボルテック」シリーズの新製品発表をかねて、12月2日~4日までさまざまなイベントが行われた。

 1つは「リボルテック四社合同展」。メーカーである海洋堂とディストリビューターの三社(ユニオンクリエイティブインターナショナル、ケンエレファント、ホビーストック)が、2012年上半期に発売を予定している新製品を発表展示した。以前は秋葉原UDXにある東京アニメセンターで「リボルテックEXPO」として開催されていたイベントがスライドして開催された形になっている。

 また、来たる2012年は、海洋堂が初めて正式に版権を取得して発売したガレージキット「海底軍艦・轟天号」から30年の節目にあたるということで、ガレージキットメーカーとしての海洋堂30周年記念イベントとして「ガレージキット30年史」も併催された。ワンフェスカフェ内には、海洋堂のガレージキットをはじめ、同じ大阪に拠点を構えていたライバルメーカーであるゼネラルプロダクツ(ガイナックスの前身)のガレージキットもあわせて展示されていた。12月2日の夜には、海洋堂の代表取締役である宮脇修一氏とガイナックス取締役本部長、武田康廣氏によるトークイベントも行われている。

海洋堂の宮脇センム(現在の役職は代表取締役だが、専務が通り名)と、「怪傑のーてんき」ことガイナックスの武田康廣氏(左)によるトークショーLMP MORTORSPORTの第二期個人スポンサー特典として提供される「リボルテック イカ娘」でゲソ。君も個人スポンサーになってみなイカ?

 「リボルテック四社合同展」では、今年のSUPER GTシリーズのGT300クラスを文字どおり“侵略”した「侵略!イカ娘」のリボルテックも初公開された。このリボルテックは市販されるわけではなく、「PACIFIC NAC イカ娘フェラーリ」のエントラントであるLMP MORTORSPORTの第二期個人スポンサー特典として提供されるもの。イカ娘の着るワンピースは着脱可能で、ワンピースをはずすと水着姿になる。フィギュアの可動部位は全16箇所で、リボルテックの特徴であるリボルバージョイントは関節部分等に10個使用されている。また(髪の毛のようにみえる)10本の触手は、軟質の素材を使用することでさまざまなホーズに対応可能となっているという。原型制作は海洋堂のトップ原型制作者であるボーメ氏が手がけている。

 今シーズンのSUPER GTでは、GT300クラスでグッドスマイルレーシングの初音ミク号が悲願の初優勝からシーズン優勝までを一気に駆け抜けた。初音ミク号の個人スポンサー向け特典フィギュアは、グッドスマイルカンパニーが手がける可動式のフィギュア「Figma(フィグマ)」。いっぽう痛車チームとして、イカ娘とともにその筋に一気に知名度を高めたLMP MORTORSPORTの個人スポンサー向け特典フィギュアは、可動式フィギュアとしてのライバルである海洋堂の「リボルテック」シリーズを採用ということで、なかなか考えられている。

 LMP MORTORSPORTによる2011年シーズンの第2期個人スポンサーの受付は2012年2月5日までを予定。イカ娘リボルテックがもらえる個人スポンサーコースは5,000円からとなる。申し込みの詳細はLMP MORTORSPORTのオフィシャルサイトを参照していただきたい。個人スポンサーへのイカ娘リボルテック送付は、2012年3月26日以降順次行われるものと発表されている。

ワンフェスカフェ内に設営された「ガレージキット30年史」のコーナー海洋堂の青春時代と題されたコーナー。ラピュタのロボットやナウシカのガンシップに加え、ウルトラ警備隊のアンヌ隊員が美少女フィギュアとして1984年にすでに存在している
ガレージキットもう1つの雄「ゼネラルプロダクツ(ガイナックスの前身)」の作品群も展示の一角を占める。現在のワンダーフェスティバルは海洋堂が主催者となっているが、当初はゼネラルプロダクツが主催しており、その後開催運営を引き継いで現在へと至る
可動する仏像という新ジャンルが2012年2月からスタート「リボルテック タケヤ」シリーズ第一弾となる「多聞天」。12月3日には薬師寺東京別院の僧侶を招いたトークショーも開催された阿修羅は2012年4月発売予定。2009年に東京国立博物館で開催され大きな話題をよんだ「国宝 阿修羅展」で販売された阿修羅像のフィギュアも海洋堂による原型制作

(矢作 晃)
2011年 12月 19日