NEXCO中日本「第4回 SA・PAメニューコンテスト」開催
談合坂SAが2度目のグランプリ

決勝に進出した9チームの料理長

2012年1月23日開催



 NEXCO中日本(中日本高速道路)のグループ会社である中日本エクシスは1月23日、「第4回SA・PAメニューコンテスト」の決勝戦を都内で開催した。談合坂SA(サービスエリア)上りが2度目のグランプリに輝いた。

9つのレストランが決勝進出
 NEXCO中日本管内のSA・PA(パーキングエリア)にある33のレストランが、設定されたテーマに沿ったメニューを開発し、競うことで、SA・PAのレストランの品質向上を図るイベント。2008年に第1回が開催されて以来、北陸道・有磯海SA(下り)、中央道・談合坂SA(上り)、東名高速・上郷SA(下り)がグランプリに輝いている。

 今回は2011年11月23日~12月18日に予選を開催。33のレストランが開発した新メニューを実際に販売し、その売上と、試食審査によって、4ブロック(東京、名古屋、八王子、金沢)から、次の9つのレストランが決勝に進出。会場の東京調理師専門学校で調理した料理を、審査員が試食した。

 審査員は服部学園理事長の服部幸應氏、フードジャーナリスト(元「3分間クッキング」チーフプロデューサー)の中村壽美子氏、NHK出版「きょうの料理」テキスト編集長の湯原一憲氏、食生活ジャーナリストにして中日本エクシス 事業開発チーム主観の加藤貞仁氏、そして中日本エクシスの勝美雄次社長だ。

道路エリアメニュー価格
東名高速海老名SA(下り)旬魚の特選舟盛り御膳
~しゃぶしゃぶ仕立て~
1,580円
東名高速牧之原SA(下り)“ほっこり”里山 冬の膳
~シャモとじねんじょの競演~
1,780円
東名高速上郷SA(下り)暖かさ求めた焼カレーの
ひつまぶし
1,500円
中央道談合坂SA(上り)甲斐路 里山の愛 物語1,680円
長野道梓川SA(下り)四季彩御膳
あづみ野めぐり
1,800円
名神高速養老SA(上り)信長公の美濃周遊膳1,500円
名神高速EXPASA多賀(下り)近江牛のカットステーキと
冬野菜のポトフ膳
1,580円
北陸道尼御前SA(上り)加賀百万石おもてなし膳
冬の陣「暖」
1,870円
北陸道有磯海SA(下り)UOZU小町スーパーミラージュボウル1,500円
海老名SA(下り)の「旬魚の特選舟盛り御膳 ~しゃぶしゃぶ仕立て~」。旬のマグロやハマチを刺身としゃぶしゃぶで食べる。ご飯にかかっているしらすは湘南産。しゃぶしゃぶの後は綾瀬産の卵でとじた雑炊も。松の木が立った舟盛りで「見た目のインパクト勝負」(鳥谷部料理長)牧之原SA(下り)の「“ほっこり”里山 冬の膳 ~シャモとじねんじょの競演~」。牧之原産の自然薯によるとろろご飯と御前崎産の「一黒しゃも」の肉の鍋に、牧之原の黒はんぺんの変わり揚げを添えたもの。黒はんぺんの変わり揚げにはすった自然薯、駿河湾の桜えびと地海苔を乗せてある上郷SA(下り)の「暖かさ求めた焼カレーのひつまぶし」。奥三河の地鶏と愛知の大和芋、と長芋を乗せたドライカレーと、三河湾の蛸の煮物を三河の赤味噌で味噌おでん風にしたもの。ドライカレーはそのままで食べるほか、だし汁をかけてひつまぶし風にすることもできる
談合坂SA(上り)の「甲斐路 里山の愛 物語」。上野原の郷土料理「大月おつけだんご」と甲州麦芽ビーフのすき焼きをメインに、上野原産辛味大根の生姜煮、上野原産の卵と生湯葉、上野原の長寿食「せいだのたまじ」(小さいジャガイモの煮っころがし)などをセットにしたもの梓川SA(下り)の「四季彩御膳 あづみ野めぐり」。安曇野の地粉で打った蕎麦をメインに、信州サーモンの刺身、信州黄金シャモのつくね、信州産舞茸の天ぷらなどを添える。デザートは信州牛乳プリンと信州産りんごのケーキ養老SA(上り)の「信長公の美濃周遊膳」。滋賀県の赤こんにゃく、戦場の携帯食「兵糧丸」をイメージした「きのこがんも」など、織田信長ゆかりの食材を使ったメニュー。食前ドリンクの赤い酢は織田信長が赤ワインが好きだったことから。岐阜産の蓮根は織田家の家紋をイメージ
EXPASA多賀(下り)の「近江牛のカットステーキと冬野菜のポトフ膳」。近江牛のほか、滋賀県産のじゃがいもや玉ねぎを使用している尼御前SA(上り)の「加賀百万石おもてなし膳 冬の陣「暖」」。ブリを能登産天然塩麹で漬けたものとカニ、五郎島金時芋を陶板焼きで食べる。サイドディッシュは能登豚の角煮、源助大根のふろふき、加賀さくらたまごの温泉卵、金沢の福光屋酒造の酒粕を使った粕汁など。野菜は地元農業高校の生徒が育てたもの有磯海SA(下り)の「UOZU小町 スーパーミラージュボウル」。立山町の蓮根を混ぜたご飯に新湊の白エビ、富山の名水ポーク、魚津稲盛ファームのさくら玉子を乗せたミラージュボウルがメイン。ミラージュは富山湾の蜃気楼のこと。富山産のブリの漬け、ブリのガレット、魚津の人参や富山の白ネギのわっぱ蒸しなどを添える

 

メニューに必ず添付されるお持ち帰りレシピ。これは談合坂SAのもの。このほかに食材の由来や食べ方を説明する栞を付けるチームが多かった

四季のメニューを審査
 コンテストは毎回、異なったテーマを設定しているが、今回は「地域の四季の移り変わり」。季節ごとの旬の地元食材を活用したメニューなので、ベースとなるメニューを春夏秋冬の季節に応じてアレンジして構成する。

 会場で提供するのは「冬」のメニューになるが、このほかに春、夏、秋のレシピも提出、審査の対象となる。

 もう1つ審査の対象があって、それは料理と一緒に提供される「お客さま向けかんたんレシピ」。地元の食材や食文化について理解を深めてもらう“お土産”として添付されるもので、提供されるメニューに含まれる料理のどれかを、家庭でも作れるように説明したレシピが付く。このレシピの分かりやすさなども、審査されるのだ。

 11時45分、東京調理師専門学校の調理室で、決勝に進出した9つのチームが調理を開始した。各チームとも、55分で審査員の試食用する5食のメニューを完成させる。その間、審査員が調理しているところを回って、食材や調理法などについて各チームの料理長に質問し、その後試食審査に移った。

各チームとも、東京調理師専門学校の調理室で試食用メニューを作り、出来たてを供する
調理場の脇には、使っている食材や料理をアピールするディスプレイも
審査員が調理場を回って食材などをチェックし、料理長に質問した
試食審査

 

表彰式

「SAの個性を活かす方向性を示した」
 試食審査の結果、グランプリは談合坂SA(上り)の「甲斐路 里山の愛 物語」に与えられた。

 審査員の服部氏は「あの値段でコスト計算をすると、なかなかできないものもお出しになっていて、大変な工夫をされているなと思った。郷土料理というものを意識されているので、地域独特のものをうまく活かしているなと感じた。グランプリを取られたのはもっとも」と談合坂SAの料理を講評した。

談合坂SAの坂本信之料理長。第2回のコンテストでもグランプリを取った強豪チームだ地元産の野菜をメインとした談合坂SAの食材のディスプレイ
自然薯をする牧之原SAチーム

 このほか、審査員特別賞も選出された。審査員特別賞は3つのメニューに与えられる予定だったが、協議の結果、急遽4つに増やされ、牧之原SA(上り)の「“ほっこり”里山 冬の膳 ~シャモとじねんじょの競演~」、EXPASA多賀(下り)の「近江牛のカットステーキと冬野菜のポトフ膳」、尼御前SA(上り)の「加賀百万石おもてなし膳 冬の陣「暖」」、上郷SA(下り)の「暖かさ求めた焼カレーのひつまぶし」が選ばれた。

 審査員の中村氏は牧之原SA(上り)の「“ほっこり”里山 冬の膳 ~シャモとじねんじょの競演~」について、「自然薯というよい食材に恵まれた。ご飯は十六穀米で健康にも気を使っている。また、揚げ物に自然薯の皮を入れるなど、捨てるところを上手に使っていた」と講評した。

EXPASA多賀の食材ディスプレイ

 EXPASA多賀(下り)の「近江牛のカットステーキと冬野菜のポトフ膳」を講評したのは、審査員の湯原氏。「近江牛を焼いて食べる方法と、煮るのと2つの楽しみ方ができるのがよかった。つけあわせの野菜がどれもしっかりした味だった。今後はぜひとも棒状に切るステーキではない、しかも噛みごたえのある方向性を探っていってほしい」と述べたほか、添付されるレシピにも料理テキストの編集長として「ポトフのレシピに“近江牛の代わりにソーセージを入れてもいい”と書いて、で気づきを促しているのが、レシピを家庭向きにしてくれている。アイデア感がとてもよかった」とコメントした。

尼御前SAは地元農業高校とタイアップして野菜を調達

 尼御前SA(上り)の「加賀百万石おもてなし膳 冬の陣「暖」」については加藤氏が「シェフが農業高校の生徒さんの作った野菜を積極的に取り入れ、SAで紹介している。単に地元の産品を扱うのではなく、地元の方々と友好を深めながら自分の料理を向上させているところに感心した。地元の食材をよく勉強している。昔のように全国どこのSAに行っても同じものが出てくるのを払拭して、それぞれの個性が活かされる大きな方向性を示している」と絶賛。

 続けて「冬のメニューにトマトやししとう、ふきのとうのような夏や春の野菜が入っているのはどうか。本来の季節のものがおいしいし栄養もある。もうすこし細やかな神経を」と、これは尼御前SAを含む全参加者に向けての注文もつけた。

エスビー食品が運営する上郷SA(下り)はカレーにこだわり、第3回のコンテストではグランプリを取っている。カレーにとろろとだし汁という組み合わせが高評価

 上郷SA(下り)の「暖かさ求めた焼カレーのひつまぶし」は、勝美社長が「グランプリと3品の特別賞を決め、終わるときにどうもあのカレーがいいアイデアで、このままにしておくのはどうかと議論し、アイデア賞的な意味を兼ねて特別賞を増やした。カレーもこういう食べた方があるのかと感心した」と述べた。

(編集部:田中真一郎)
2012年 1月 25日