SUPER GTシリーズが岡山で開幕。GT300クラスはAudi R8-LMS ultraがデビューウイン
SUPER GT第1戦岡山【GT300編】

デビュー戦を優勝で飾った、11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)

2012年4月1日決勝開催



 4月1日、SUPER GTの今シーズンの開幕戦となる2012 AUTOBACS SUPER GT第1戦「OKAYAMA GT 300km RACE」の決勝レースが岡山国際サーキット(岡山県美作市)で開催された。GT300クラスは11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)が終盤でトップに立ち、新投入したAudi R8-LMS ultraのデビュー戦を優勝で飾った。

 今年のGT300クラスは新車の投入が目立つ。外国車ではAudi R8、Mercedes-Benz SLS AMG GT3、国産車ではBRZ、GT3仕様のGT-R、プリウスが参戦し豪華な顔ぶれでシーズンを戦うこととなった。開幕戦にエントリーしたマシンは25台となった。

Audi R8-LMS ultraMercedes-Benz SLS AMG GT3BRZ
GT3仕様のGT-RプリウスGT300参戦ドライバー

開幕戦にエントリーしたマシンとドライバー

号車マシン(ドライバー)
0号車GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)
2号車エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(高橋一穂/加藤寛規)
3号車S Road NDDP GT-R(関口雄飛/千代勝正)
4号車GSR ProjectMirai BMW(番場琢/佐々木雅弘)
5号車マッハGoGoGo車検Ferrari458(玉中哲二/植田正幸)
11号車GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)
15号車ART TASTE PORSCHE(ティム・ベルグマイスター/土屋武士)
20号車Racerbook Audi R8 LMS(マイケル・キム/野田英樹)
21号車ZENT Audi R8 LMS(都筑晶裕/シンディ・アレマン)
22号車R'Qs Vemac 350R(和田久/城内政樹)
27号車PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ(山岸大/井口卓人)
30号車IWASAKI MODAクロコ apr R8(岩崎祐貴/坂本雄也)
31号車apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)
33号車HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)
43号車ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)
48号車DIJON音々CALLAWAYワコーズED(高森博士/密山祥吾)
52号車GREEN TEC & LEON SLS(竹内浩典/黒澤治樹)
61号車SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也/佐々木孝太)
66号車triple a Vantage GT2(吉本大樹/星野一樹)
85号車JLOC Exe ランボルギーニ RG3(坂本祐也/加納政樹)
86号車Verity BOMEX ランボ RG3(山下潤一郎/松田秀士)
87号車JLOC ランボルギーニ GT3(山西康司/山内英輝)
88号車マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学/青木孝行)
360号車RUNUP CORVETTE(田中篤/菊地靖)
911号車エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)

 決勝前日に行われた予選は短時間に急変する天候に翻弄され、予選Q1で有力チームが脱落する事態となった。昨年のチャンピオンマシンを2012年仕様にアップグレードした4号車 GSR ProjectMirai BMW(番場琢/佐々木雅弘)は開始早々にスピンをし22位。そのスピンを避けようとしてコースアウトした2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(高橋一穂/加藤寛規)は23位と後方に沈んだ。

 予選1位は911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)、2位は33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)とポルシェ勢がフロントローを独占、注目の1台11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)が3位に入りアウディの実力を垣間見せた。4位、5位はランボルギーニ、国産車のトップはこちらも注目の31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男/嵯峨宏紀)となった。昨年のチャンピオン0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)7番手のポジションから上位進出を狙う。

 82周(GT300クラスは実質78周)の決勝レースは14時にスタート。フロントローのポルシェ2台が先行するが、ポールポジションの911号車 エンドレス TAISAN 911(横溝直輝)が1コーナーで制し順位をキープ、2位33号車 HANKOOK PORSCHE(影山正美)、3位11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也)が続いた。

GT300クラスのスタート。ポルシェ2台に争いは911号車がトップをキープ1周目のヘアピン。911号車、33号車、11号車と続く

ランボルギーニ同士の争いは残念な結果となった

 4位、5位も予選順位どおりにランボルギーニの争いとなったが、この2台は同チームながら激しくコーナーで競り合い、5周目のダブルヘアピンの進入で5位の87号車 JLOC ランボルギーニ GT3(山内英輝)が4位の88号車 マネパ ランボルギーニ GT3(織戸学)のインに強引に飛び込もうとするが接触し、88号車 マネパ ランボルギーニ GT3がスピン、コースアウト。87号車 JLOC ランボルギーニ GT3にもドライブスルーペナルティが課せられるという残念な結果となった。

 上位陣はトップの911号車 エンドレス TAISAN 911がやや後続を引き離し、2位は3位接近戦。3位の11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSが7周目に2位に浮上しトップを追う展開となった。この時点でトップ2台の差は3秒、その差はすぐに縮まり12周目には0.5秒差となるがその後は1~3秒差で中盤まで展開した。

911号車は後続を引き離した11号車が2位に浮上逃げる911号車を追う11号車

 ランボルギーニが脱落し4位のポジションは3号車 S Road NDDP GT-R(関口雄飛)、5位には31号車 apr HASEPRO PRIUS GT(新田守男)との争いを制した0号車 GSR 初音ミク BMW(片岡龍也)となった。31号車 apr HASEPRO PRIUS GTは序盤は戦闘力の高さを見せたが10周目にマシントラブルでピットイン。50分のピット作業の後コースに復帰するがその後もピットインを繰り返す結果となった。

スタートでは31号車、0号車、3号車が争う0号車が31号車を抜いた

 国産勢で最も注目された61号車 SUBARU BRZ R&D SPORT(山野哲也)は予選8位からスタート。前半は8位のポジションをキープし上位陣のピットインで一時は3位までポジションを上げるが46周目にマシントラブルでピットイン、リタイヤとなった。

61号車はスタートでは52号車を抑え9位途中まで快走を続けた61号車白煙を上げピットイン、リタイヤとなった

 後方から追い上げを見せたのは予選で23位に沈んだ2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電だ。昨年まではエースドライバーの加藤寛規選手が前半の2/3で順位を上げ、後半の1/3をオーナーの高橋一穂選手が担当する作戦だったが、今年は逆の戦略となった。

 25周目までステアリングに握った高橋選手が18位まで順位を上げ、ピットイン後に加藤選手が怒濤の追い上げを見せた。ピットインで21位まで落ちた順位を30周目に19位、36周目に16位、39周目に14位、43周目からは毎周順位を上げ47周目には9位まで浮上した。

スタートは360号車と22位争い序盤は4号車との18位争いが続いた66号車を抜き12位に浮上

 2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電を上回る勢いで追い上げたのは43号車 ARTA Garaiya(高木真一)だ。予選でタイヤにフラットスポットを作りタイヤ4本交換を申請しピットスタートとなり最後尾から追い上げを開始した。後続集団に追いついてからはほぼ毎周のように順位を上げ10周目に16位、20周目に12位、25周目に10位まで浮上した。ピットイン後も勢いを継続、40周目に8位、47周目に7位まで順位を上げて見せた。

13位の27号車に一気に迫る43号車86号車を抜き12位に浮上

 レース後半、トップ争いのピットイン後の差は8~10秒。残り20周あたりで2位の11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(平中克幸)はラストスパートをかけた。59周目に8.7秒あった差を62周目に5.8秒、66周目に3.3秒と縮め、残り10周でテール・トゥ・ノーズの争いとなった。

 残り8周、バックストレートでトップの進入で11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSが911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔)に並びかける。直線スピードでやや勝るポルシェが続くヘアピンのイン側をキープするが、11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSがアウトから併走。インアウトが逆転するリボルバーで11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSが先行しついにトップ座まで上り詰めた。

残り8周でトップに立ち、すぐに911号車を引き離す11号車そのままチェッカーを受け開幕戦を勝利した

 GT300クラス唯一ダンロップタイヤ装着車である11号車 GAINER DIXCEL R8 LMSはそのまま逃げ切り、Audi R8のSUPER GTデビュー戦を優勝で飾った。田中哲也選手、平中克幸選手のコンビは2009年の第8戦オートポリス以来の勝利となった。

優勝した11号車の田中選手(左)と平中選手(右)GT300クラスの表彰式

 2位はレースの大半をトップで走り続けた911号車 エンドレス TAISAN 911。終盤の33号車 HANKOOK PORSCHE(藤井誠暢)との争いに勝った0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝)が3位に入り表彰台を獲得した。後方から追い上げた43号車 ARTA Garaiyaは6位、2号車 エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電は7位でレースを終えた。

 上位の最終順位は、1位 11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)、2位 911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)、3位 0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)となった。

順位号車マシン(ドライバー)
1位11号車GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)
2位911号車エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)
3位0号車GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)
4位15号車ART TASTE PORSCHE(ティム・ベルグマイスター/土屋武士)
5位33号車HANKOOK PORSCHE(影山正美/藤井誠暢)
6位43号車ARTA Garaiya(高木真一/松浦孝亮)
7位2号車エヴァンゲリオンRT初号機アップル紫電(高橋一穂/加藤寛規)
8位30号車IWASAKI MODAクロコ apr R8(岩崎祐貴/坂本雄也)
9位21号車ZENT Audi R8 LMS(都筑晶裕/シンディ・アレマン)
10位27号車PACIFIC NAC イカ娘 フェラーリ(山岸大/井口卓人)

 このレースの模様はテレビ東京系列で毎週日曜23時30分からの「SUPER GTプラス」(BSジャパンでは毎週日曜10時30分から)で放送される。次戦は富士スピードウェイ(静岡県小山町)で5月3日、4日行われる。

優勝した11号車 GAINER DIXCEL R8 LMS(田中哲也/平中克幸)
2位の911号車 エンドレス TAISAN 911(峰尾恭輔/横溝直輝)
3位の0号車 GSR 初音ミク BMW(谷口信輝/片岡龍也)

(奥川浩彦)
2012年 4月 6日