ボルボ、自動運転技術「SARTRE」の走行実験を公道で実施 「現在販売しているクルマとの違いは、車車間通信を行うワイヤレスネットワーク機能のみ」 |
ボルボ・カー・コーポレーションは5月29日(現地時間)、同社がプロジェクトの一員として参画する自動運転技術「SARTRE(Safe Road Trains for the Environment)」を用いた走行実験を、スペイン バルセロナ郊外の高速道路で実施したと発表。走行実験は大成功を収め、「実用化に向けて大きな一歩を踏み出した」と言う。
このプロジェクトはドライバーが運転中に仕事や読書、ランチなどができるといった、より快適な環境を提供することや、交通安全の向上、渋滞緩和といった目標も掲げている。プロジェクトにはイギリスのリカルド、スペインのアプルス・イディアダ、ロボチカ、ドイツのアーヘン工科大学車両研究所(IKA)、スウェーデン国立研究所(SP)、ボルボテクノロジー、ボルボが参画し、共同事業として進められていると言う。
バルセロナ郊外で行われた走行実験では、XC60、V60、S60と1台のトラックで構成された隊列が、先導車の後ろを自動運転で追随するというロードトレイン形式で行われた。
各車両は同社が採用しているカメラやレーダー、レーザーセンサーといった既存の安全システムを搭載し、先導車や追従車をモニター。さらにワイヤレス通信を追加することで、追従する各車両は先導車の加速度、ブレーキ、方向性を正確に監視してその動きを模倣すると言う。各車両は6mの間隔が開けられ、85km/hで走行した。
同社でSARTREプロジェクトマネージャーを務めるリンダ・ワールストローム氏は、2009年から始まったプロジェクトを振り返り、「この期間中、我々は沢山のことを学びました。自動運転はサイエンスフィクションに過ぎないと思われるかもしれませんが、実際のところ、すでに技術は実現可能なところまで達しているのです。純粋に概念的な話をすれば、自動運転は問題なく機能し、将来、ロードトレインをさまざまな場所で見かけるようになるでしょう」と述べる。
また、道路インフラの整備変更や、クルマに高額な部品を追加するといった変更を行うことなくSARTREを機能させることが重要であることから、「プロジェクトの一環として開発されたソフトウェアを除いて、現在ショールームで販売されているクルマとの違いは、車と車との間で通信を行うワイヤレスネットワーク機能のみ」と説明している。
(編集部:小林 隆)
2012年 5月 29日