テレノアコネクション、M2Mソリューションを紹介
日産「リーフ」の海外向け仕様などに採用例

テレノアコネクション副社長 フレデリック・リジェストロム氏

2012年5月30日開催



 スウェーデンのテレノアコネクション(Telenor Connexion)は5月30日、スウェーデン大使館において記者会見を開催し、同社のM2M(Machine-to-Machine、機械間同士のコンピュータ通信)のソリューションに関する説明会を行った。

 日本においては、日立建機、日産自動車などを顧客に持つソリューションカンパニーで、自動車や産業機器など同士が自動で通信を行い、業務の効率化や利用者の利便性向上を実現するソリューションを自動車ベンダーや機器ベンダーなどに提供している。

 テレノアコネクションではすでに日産のEV(電気自動車)「リーフ」の米国以外の海外仕様に対して、同社のM2Mソリューションをテレマティックスのシステムとして提供している。グローバルに利用できるSIMカードや機器に初めから組み込むeSIMなどの提供は、欧州のように国境をまたいで利用されることの多い自動車に最適なソリューションだとアピールした。

ボルボカーズ、ルノー、日産、日立建機などで採用
 テレノアコネクションは、スウェーデンに本拠地を置くグローバル企業だが、その母体はノルウェーの通信会社であるテレノア(Telenor)である。テレノアの一部門としてスタートしたが、今は親会社をしのぐほどの規模になっている。世界中の通信キャリアを参加に収めており、その子会社およびパートナー通信キャリアとのローミングなどにより、グローバルに通信サービスを行っている。

 テレノアコネクション副社長 フレデリック・リジェストロム氏によれば「弊社のシステムはボルボカーズのOnCallと呼ばれるシステムに採用されるなどすでに多数のM2Mで採用されている。ドライバーはスマートフォンを利用してエアコンのスイッチをリモートコントロールできたり、燃料残量を確認したりなどが可能になっている」と述べ、ルノー・日産アライアンス、欧州のPND(Portable Navigation Device)メーカー、オムロンヘルス、などへの採用例を説明した。

テレノアコネクションの提供するM2Mソリューション。サーバーだけや、回線だけではなく、回線もサーバーもまとめて提供する。かつ傘下のキャリアやローミングパートナーを活用して複数国で利用できる1枚のSIMカードで複数国をサポートすることができ、技術サポートなどを含め、すべて提供する
サービスはパートナー企業とも協力して提供される。例えば、Sierra Wirelessは通信モジュールの企業顧客リスト。自動車メーカーではボルボカーズ、スキャニア、日産の名前が見える

 テレノアコネクションでは回線、デバイス、サーバーなどバックエンドのシステムまで含めて一体で顧客に提供している。リジェストロム氏は「我々は複数の国にまたがっても通信サービスを含めて一体でソリューションを提供できる。このため、ドライバーはどこの国にいってもサービスを受けられないということはない」と述べ、特に欧州のような地域で強みがあると説明した。

 日本のように島国にいるとあまり気がつかないが、1つの大陸に複数の国がある場合、通信キャリアは各国で異なっている。しかし、現在は欧州の経済統合により、自動車は国境を越えて欧州内を移動できるようになっており、国境を越えるたびにSIMカードを交換するというのは面倒だし、仮にローミングするとしても、決して安価ではないコストがかかることになる。テレノアコネクションを選択すれば、低コストでかつ1枚のSIMカードで済むため、利用者の利便性が非常に高いということなのだ。

高い成長が予想されるM2M市場、日本国内のメーカーへの売り込みを加速
 テレノアコネクションは、2010年に日本に支社を設立し、現在国内の自動車メーカー、建設機器ベンダーなどに対して売り込みを行っていると言う。特に日本市場は急成長を遂げており、日産のリーフ以外にも、日立建機の重機に採用されており、機器の状態などをネットワークを介して確認することに使われている。

ルノーと日産にはEV向けのM2Mソリューションを提供している。リーフ向けのソリューションは、日本と米国以外の地域向け(日本国内ではNTTドコモのシステムが利用されている)ボルボのテレマティックスOnCallのシステム構築にも利用されている。欧州のPNDメーカーにも採用例がある日本では、日立建機の重機にもM2Mソリューションが採用されており、遠隔地から重機をモニタリングしたりすることができる

 マーケティング&パートナー・マネージメント部 部長 グウェン・ビヨンスタド・ラーソン氏は「欧州やロシアではテレマティックスの搭載が法律で義務づけられることが決まっており、今後自動車やその他の分野を含めてM2Mの成長性は高いと予想されている」と述べ、製品輸出を行うメーカーの多い日本市場に対して、同社のM2Mソリューションを積極的に売り込んでいきたいと説明した。

マーケティング&パートナー・マネージメント部 部長 グウェン・ビヨンスタド・ラーソン氏今後もM2Mの市場は成長することが予想されている
2020年にはM2Mで接続される機器は120億台に成長すると考えられている欧州やロシアでは法律でテレマティックの搭載義務づけが2015年あたりから開始されるので、自動車へのM2M搭載が本格化することになる

(笠原一輝)
2012年 6月 1日