ZMP、Windows Azureを利用した「Robo Car」を公開
次世代自動車技術開発プラットフォームと位置づけ

ゼットエムピー「Robo Car MV」

2012年6月29日公開



 ZMP(ゼットエムピー)は6月29日、日本マイクロソフトのクラウドプラットフォーム「Windows Azure」の技術者向けイベント「Go Azure」会場内で、同プラットフォームを利用した「Robo Car MV」を公開した。

 Robo Car MVは次世代自動車技術開発のための研究開発用超小型電気自動車として2011年に発売された車両で、価格は288万円から。主に自動車部品の開発メーカーや大学などの研究機関向けに販売されている。

 Windows Azureはマイクロソフトが開発したクラウドアプリケーションプラットフォーム。クラウド環境を利用してWebサイト開発や仮想マシン運用、SQLデータベース、仮想ネットワークなどなどさまざまな機能を利用することができるもの。

 今回公開されたRobo Car MVは、Windows Azureを利用して自動車開発に必要な情報をクラウド上に展開し、データ処理をするというものになる。

Windows Azure技術者向けイベント「Go Azure」日本マイクロソフト デベロッパー&プラットフォーム統括本部パートナー&クラウド推進本部 業務執行役 平野和順氏Windows Azureの概要
クラウドを利用した自動車として紹介されたiPadを利用した運転のデモクラウド経由で取得可能な車両情報。速度やエンジン回転数、加速度センサー、ジャイロなどさまざまな情報を取得可能

 このRobo Car MVは、CAN(Controller Area Network)に対応し、車両には人や自動車、障害物などの距離情報を取得するためのステレオカメラ「RoboVison」や、車両の四隅に搭載され、死角となるエリアの障害物やその相対速度などを検知するセンサー「OpticalFlow-Z」などを搭載。通信モジュールは現時点では3G及びWi-Fiに対応しているが、将来的には車車間通信などで利用されるものにも対応可能。前方を走行する車両からWi-Fi経由で車速情報を受け取り、それに基づいてアクセル、ブレーキ操作を自動制御しながら前方車両を追随するという実験も行われていると言う。

 これらの情報をクラウド上に展開することで遠隔地からリアルタイムで車両情報をモニターできるほか、次世代自動車開発において想定される機材や情報量の増大などにも対応が容易であり、車載機材を最小限に抑えられることもメリットであると言う。

 iPadを使った運転機能も備え、車両から送られる障害物情報などを見ながらハンドルやアクセル操作などができる。


Robo Car MVをiPadを使って操作する様子

 現時点では類似するシステムとしてスバル(富士重工業)の「EyeSight(アイサイト)」などがあるが、本システムは自動運転や安全運転技術の開発などを視野に入れたITS(高度道路交通システム)の研究開発用プラットフォームとしても展開していく予定。なお、同社ではトヨタ自動車のプリウスをベースとした次世代モビリティ研究開発用プラットフォーム「Robo Car HV」の販売も開始している。価格は1200万円から。

Robo Car MV運転席Robo Car MVのフロント部分。左右に「OpticalFlow-Z」を搭載。中央にあるのはレーザーレンジファインダー
レーザーレンジファインダーで路面上の障害物を検出可能車両の四隅に搭載されている「OpticalFlow-Z」。車両の死角をサポートする
車両上部に搭載された「RoboVison」。穴が複数あるのは実験環境に合わせてステレオカメラの位置を調整可能にするためiPadでの操作画面。画面上部にある緑色の半月状のマークは「RoboVison」に写った障害物を表し、画面右下の赤い円は「OpticalFlow-Z」が検出した障害物を表している

(清宮信志)
2012年 7月 4日