【F1日本GP開幕直前】日産、レッドブル・レーシングとのパートナーシップ説明会
レッドブル・レーシング代表、クリスチャン・ホーナー氏がF1日本GPの意気込みを語る

レッドブル・レーシングチーム代表のクリスチャン・ホーナー氏(左)と日産自動車 執行役員の村上秀人氏

2012年10月4日開催



 日産自動車は10月4日、グローバル本社において、F1チームであるレッドブル・レーシングとのパートナーシップ説明会を開催した。この説明会にはレッドブル・レーシングチーム代表のクリスチャン・ホーナー氏が出席し、今週末のF1日本グランプリへの意気込みなどを語った。

 説明会には、ホーナー代表のほか日産自動車 執行役員の村上秀人氏や、日本GPで同チームの輸送などに「NV350キャラバン」を提供することから、NV350キャラバンの開発責任者である八木則彦氏らが出席した。

 レッドブル・レーシングは、昨年からルノーおよび日産とのパートナーシップを結んでいる。さらに今年の4月からは、日産のLCV(小型商用車)事業本部がレッドブル・レーシングチームの公式サプライヤーになり、同チームの2012年F1シリーズにおける輸送ニーズに応えるため、30台以上のLCV(小型商用車)を提供している。

NV350キャラバンのレッドブル・レーシングサポートモデル
こちらはNV350キャラバン ライダー(プレミアムGX)
日産グローバル本社にはベッテル選手が使うレーシングスーツ、グローブ、シューズ、ヘルメット(すべて予備)が展示されている

日産自動車 執行役員の村上秀人氏

 説明会の冒頭、挨拶を行ったホーナー代表は、「F1を運営するのは難しく、パーツ、機材、スタッフを(正しい時間と場所に)動かさなければならない。こうした中で、日産のLCVとの関係を構築できたことに非常に嬉しく思う」と述べた。セバスチャン・ベッテル選手は鈴鹿で2009年、2010年に1位を獲得し、2011年は3位となるも総合優勝を果たしており、同チームにとって愛称のよいコース。そのことから「日本GPは私にとってホームレースのように考えている」とホーナー代表は表現するとともに、「日本のファンの方々に会え、そして日産グループからこうしたサポートを受けることで、特別なイベントになる。現在ベッテルはアロンソと29ポイント差があるが、他のマシンとともに素晴らしいパフォーマンスを繰り返したい」と、日本GPへの抱負を述べた。

 一方、村上氏はLCV事業の概況について触れた。同社は2016年までに「業界をリードする小型商用車メーカーになる」ことを目指しており、市場占有率トップとなる日本(45%)をはじめ、同社のLCV事業の柱となるメキシコで40%、南アフリカで15%超、中国および中東で2桁の市場占有率であることを紹介。また、2012年度以降も新車投入を加速させると述べるとともに、「新車を投入するだけではLCVのセールスを広げていけない。サービスネットワークをより充実させていかなければならない」と述べ、現在日本で展開する、一般車の販売網の中から商用車も得意とするプロショップ(日産LCV認定店)を世界でも展開し、よりサービスの拡充を図っていくとした。

日産は2011年度にLCVのグローバル販売100万台を達成幅広いLCVを展開するLCV事業の柱になる市場は日本、中国、メキシコ、南アフリカ、中東
2012年度以降もLCVの新車投入を加速させる日産LCV認定店は、2011年度に前年比10%増となる1251店舗まで増加同社のLCVをアピールするため、レッドブル・レーシングの活動を世界中でサポートする

 以下、記者とホーナー代表との質疑応答を記載する。


──今年から日産自動車が公式サプライヤーとなりましたが、ご自身の日産の印象と、サポートカー「NV350キャラバン」の印象を聞かせて下さい。
ホーナー代表:日産は素晴らしいメーカーで、技術の深さを持っているという印象。LCV事業とのパートナーシップは非常に重要なものだと思っている。NV350キャラバンについては、効率的で、安全で、そして見た目も大変素晴らしいと思う。チームメンバーもNV350キャラバンの運転を楽しんでいる。

──現在ベッテル選手がポイントランキング2位につけており、過去の戦績を見るとベッテル選手は鈴鹿に強い印象を受けます。代表自身は鈴鹿サーキットにどのような印象を持っていますか。またどのようなレース展開を想像していますか?
ホーナー代表:ベッテルは日本で人気があるということで、日本でドライブすることを非常に好んでいる。今年、どういう成績になるか分からないが、サポートしていただき、見守っていただきたい。鈴鹿サーキットは本当に素晴らしいサーキット。チャレンジングなレイアウトで、ドライバーにとって試練になるかもしれないが、皆が鈴鹿に来て走りたいと思っている。(レッドブル・レーシングは)過去によい成績を残しているので、今週末もシンガポールGPと同じくよいレースをしたい。アロンソとの29ポイント差を埋めたい。

──イタリアGPでベッテル車が新型オルタネーターのトラブルを起こしました。シンガポールGPでは旧型を使いつつ新型のテストを行ったようですが、日本GPではどちらを使うのでしょうか。
ホーナー代表:確かにオルタネーターはうまくいかなかったが、しっかり是正しているので今週末に確認したい。

──NV350キャラバンをプライベートで使うなら、どのような使い方をしたいですか?
ホーナー代表:私は3匹の犬を飼っていて、犬を乗せて動くのに便利かもしれない(笑)。非常に汎用性のあるクルマで、販売台数も好調とのことなので、各市場でも期待できるのではないか。

──日本人で起用してみたい選手はいますか?
ホーナー代表:最近では小林可夢偉選手は素晴らしい印象だ。(日本人選手には)いつも注目しているが、特にフォーミュラ3、GP3/2などには注目しており、次代を担う若いドライバーが登場することに期待している。

──ルノーにはレッドブル・レーシングとのコラボレーションモデルがありますが、日産とのコラボレーションモデルはあるのでしょうか。
ホーナー代表:バッテリー技術など、レッドブル・レーシングと日産の間に技術交流はすでにある。また、日産が持つ豊かな資源、こういったものはチームにとって有益なもので、素材、シミュレーション、車両ダイナミクスなど、日産以外からは得られないような素晴らしい技術を得られるので、実りの多いパートナーシップだと考えている。

──日産で好きな現行モデルは?
ホーナー代表:素晴らしいモデルがたくさんあるが、インフィニティのFX50は素晴らしいし、GT-Rのファンでもある。GT-Rは価値のあるパフォーマンスを発揮するので、大変ファンタスティックなクルマだと思う。

(編集部:小林 隆)
2012年 10月 4日