自動車関連団体が、取得税/重量税の廃止を訴え
過重な税負担が経済・雇用に影響、販売400万台割れの試算も

自動車関連団体の幹部が勢ぞろいして自動車諸税簡素化を訴えた

2012年10月29日



 日本自動車連盟(JAF)、日本自動車工業会(自工会)など自動車関連21団体で構成する「自動車税制改革フォーラム」と全日本自動車産業労働組合総連合会(自動車総連)が29日、都内で会見を開き、自動車関係諸税の簡素化・負担軽減を訴えた。

 この会見は、2011年11月に引き続き2回目。税制改革議論の本格化する年末に向け、自動車関係諸税の簡素化を訴えた。

 趣旨は前回同様に「自動車取得税、自動車重量税の廃止」「ガソリン税、軽油引取税の旧暫定税率廃止」「ガソリン税に消費税がかけられるTax on Taxの解消」。特に今回は、2014年からの消費税引き上げまでに、自動車取得税/重量税を確実に廃止するよう、強く求めた。

過重な税負担が市場を縮小、国内販売400万台割れも
 自動車取得税/重量税廃止を訴える理由は、自動車の取得・保有・走行に9種類8兆円もの税がかけられており、欧米諸国と比べ3.6~50倍の負担となっていることと、課税の根拠が失われていること。

 過重な税負担は、公共交通機関が少なくクルマが生活必需品となっている地方では特に負担が大きいことや、JAFによるユーザーアンケートでは98%が自動車の税に負担を感じ、それを理由に購入を躊躇していることにつながる。自動車取得税/重量税が現状のまま消費税が10%に引き上げられれば、自動車購入時の税負担は15%に及び、国内販売に打撃となる。国内の自動車販売台数は現在500万台を切っているが、現状のまま消費税が引き上げられれば、自工会の試算では400万台を大きく割り込むとしている。

 また、国内販売の減少は、円高などにさらされている自動車業界が国内での生産を維持できなくなり、雇用にも影響を及ぼすとしている。

 課税の根拠は、自動車取得税/重量税が道路整備のための特定財源から、他の用途にも使える一般財源になったことで、失われたとしている。また、自動車取得税は消費税と、自動車重量税は自動車税/軽自動車税と2重化税になっていることも問題としている。

 日本自動車工業会(自工会)の会長であるトヨタ自動車の豊田章男社長は「(自動車取得税/重量税の廃止で)地方財源がなくなるという話もあるが、財源不足をすべて自動車ユーザーにかぶせるのはいかがなものか。自動車ユーザーは打ち出の小槌ではない。自動車を優遇してほしいと言っているのではない。不公平な税制を早い段階で解決していただけないかと申し上げている」と訴えた。

 また自工会副会長である三菱自動車工業の益子修社長は、自動車取得税/重量税の廃止によりエコカー減税が廃止されることに触れ、「環境性能に優れた自動車の普及にはインセンティブが必要。普及促進を後押しする税制度の整備が不可欠」として、自動車取得税/重量税の廃止後の、グリーン税制の拡充を求めた。

右からテリー伊藤氏、大村愛知県知事、豊田社長

「クルマは家電と違う」
 会見には、大村秀章 愛知県知事が「東京滞在30分」というスケジュールを縫って来場。大村知事は岩手、宮城、静岡、三重、広島、福岡、大分の各県知事とともに、「自動車諸税の抜本的な見直しを求める緊急声明」を同日に発表している。

 趣旨は自動車税制改革フォーラムと同様で、自動車関連諸税の過重な負担による国内市場の縮小が、地域経済や雇用に影響を及ぼすことに懸念を示しており、地方への代替財源の確保を前提に自動車取得税/重量税を廃止すること、自動車税の環境適応車への優遇措置を拡充することを求めている。

 大村知事は「3党合意において、自動車取得税/重量税は、消費税が8%になるまでに抜本的な見直しをして結論を得ることになっている。10月5日の全国知事会では、自動車取得税を固持すべきという意見に断固反対し、徹底的に戦うと申し上げた。この年末までに必ず決めてもらいたい。(自動車取得税/重量税を廃止する)これが最大で最後の機会」と述べた。

 また、演出家のテリー伊藤氏もユーザー代表として登場。「普段、あまり会話がないが、クルマの中では景色が変わるので会話が弾むという家族に出会った。クルマは洗濯機や掃除機や冷蔵庫とは違う。クルマの中で愛を語ることも、プロポーズすることもできる。家電とは違う特別なもの。クルマを持たないということは、日本の文化が消えて行くということ」と主張した。

【お詫びと訂正】記事初出時、人物名に間違いがありました。お詫びして訂正します。

(編集部:田中真一郎)
2012年 10月 29日