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ミシュラン、デュアルパーパスバイク用タイヤ「アナキー・ワイルド」体感試乗会

さまざまな知恵とノウハウが凝縮され、ブロックパターンと思えないオンロード走行性を実現

2016年3月9日 開催

 日本ミシュランタイヤは、デュアルパーパスバイク用タイヤ「MICHELIN ANAKEE WILD」(ミシュラン アナキー・ワイルド)を3月から順次発売している。そのアナキー・ワイルドのオンロード・オフロードでの性能を体感できるプレス向け試乗会が、GKNドライブライン ジャパン プルービンググラウンド(栃木県栃木市)において3月9日に開催された。

プレミアムデュアルスポーツ車種の「アドベンチャー」ユーザーがターゲット

アナキー・ワイルドのブロックの傾斜や、ブロック間のブリッジが分かるカット。ブロックパターンとしてはスピードレンジも高い

 アナキー・ワイルドはオン・オフロード利用の両立を目指しながらも、耐久性や安全性、ウェット性能を追求したブロックパターンを採用するデュアルパーパス車用タイヤであり、日本ミシュランタイヤではオン・オフロード利用比率を50%ずつのユーザーを表す「アドベンチャー」にカテゴライズしている。

 なお、既に販売されている「MICHELIN ANAKEE III」(ミシュラン アナキー・スリー)は、オン・オフロード利用比率を90%:10%とした「トレール」。「MICHELIN Pilot Road 4 Trail」(ミシュラン パイロットロード・フォー トレイル)はオンロードユース100%の「ツーリング」と設定している。

日本ミシュランタイヤ株式会社 執行役員 2輪事業部長 梅村誠氏

 日本ミシュランタイヤ 執行役員 2輪事業部長 梅村誠氏は「今までの大型トレール向けタイヤ2ラインアップに、アナキー・ワイルドが加わることでお客様の選択肢は増える。アナキー・ワイルドは、オフロードを楽しみたいが、そのスポットまでのオンロードも楽しみたいライダー向けのタイヤである」と語った。

 また、梅村氏は「アナキー・ワイルドは、オフロードを楽しみたいライダーがオンロードでの走行性能を犠牲にすることがない」と話し、「ルックスでも、自分はオフロードを楽しんでいることをアピールできるタイヤだ」とコメントした。

さまざまな路面に適合したパターンと、最適化されたブロックによる優れたトラクション性能

日本ミシュランタイヤ株式会社 2輪事業部 マーケティングマネージャーの山田寿一氏「アナキー・ワイルドは、オン・オフ問わず優れたトラクション性能を持ちながらも、優れたハンドリング性能を実現している」と語っていた

 続けて、アナキー・ワイルドの概要について、日本ミシュランタイヤ 2輪事業部 マーケティングマネージャーの山田寿一氏は、まず「このタイヤはレースタイヤではなくオートバイを楽しむためのもの。ウェットグリップ、ハンドリング、乗り心地、耐摩耗性も含めて、ミシュランが提唱する“ミシュラントータルパフォーマンス”の証である」と話した。

 トレッドブロックについては「フロントは回転方向に対し優れたブレーキングとステアリング性能を実現できる配慮、リアは優れたトラクション性能を生むために、縦方向の力に対し最適なコンタクトパッチを実現している」と話した。

 また、トレッドパターンについては「最適化されたブロック配列により、走行中の石噛みの抑制、ミシュランオフロードタイヤのトレードマークでもある“M-ブロック”、ブロックとブロックの間にブリッジを配置することでブロックの剛性を高め、オンロード路面でのコーナーリング性能を向上させていることは前後とも同じではあるが、フロントはトレッドショルダー部のブロック配置(イン/アウト)の最適化により、優れたハンドリング性能を実現し、リアは緩やかな曲線に配列したトレッドブロックが、オフロード路面で優れたトラクション性能を発揮する」と説明した。

アナキー・ワイルドについて示したスライド
モーターサイクルタイヤアドバイザーである山中陽氏、「車両メーカーの指定空気圧はオンロード基準なので、オフなら少し落としてみるのもいいと思う」とコメント

 また、モーターサイクルタイヤアドバイザーで、「REIRA SPORTS」(福岡県北九州市)の代表である山中陽氏が、ラリータイヤの設計などの経験からオフロードタイヤに必要なグリップ確保のための要素などについて解説。「触ってもらえば分かるが、柔らかさがすごく出ている。オフロードだけを考えるとラジアル構造である必要はないが、オンロードでのスタビリティーも担保するためにはラジアルであるほうがよいので、ラウンドショルダーのプロファイルなども、かなり工夫して開発されたと思う」と話した。

 さらに「アナキー・ワイルドで走ったのは今朝が初めて。高速周回路でもロードタイヤと変わらないスタビリティーは秀逸。ブロックの配列と高さ、特にブリッジが効いている。オン・オフのバランスが織り込まれている」と印象を語った。

排水性、排泥性の高さが観ていて分かる体感試乗会

 体感試乗会が始まる時間にはけっこうな降雨となってしまったので、筆者は試乗を断念して他参加者の走行シーンを見学した。コースについてはGKNドライブライン ジャパン プルービンググラウンドのWebサイトに記載があるので参照していただきたいが、1800mの周回路での高速走行、アップダウンも含めた砂利道、ハンドリング路などが用意されていた。

 今回の体感試乗の参加者はオートバイ関連の編集者や記者が多いこともあるが、強めの雨の中でも観ていて不安になることはなかった。「セーフティー」「耐摩耗性能」「ライディング・プレジャー」の向上を掲げるミシュラントータルパフォーマンスの、今後の進化も楽しみである。

高速周回路の走行。タイヤの排水性が高いからだろうか、けっこうな量の雨だったが、思ったよりも水の巻き上げが少ない印象
ハンドリング試験コースの周回。写真では分かりづらいが、かなりバンクさせてもグリップレベルを外れることはなさそうだ
低μ路でのブレーキテスト。ABSが動作するようなアクションでも不安定な姿勢になることもなく、しっかりと停止
砂利道を走行。加速中でも、さほど後ろには排泥されていないのが視覚でも分かる

(酒井 利)