試乗記

日産の新型「リーフ」(第3世代)公道試乗 リアルワールドで乗った美点と課題

2025年10月に受注を開始した新型「リーフ」(第3世代)に公道で試乗

航続可能距離685kmのトップグレード「B7 G」に試乗

 SUVスタイルへと移行した3代目「リーフ」をいよいよ公道で試す。テストコースでの印象はわるくはなかったが、乗り心地がハードだった「アリア」をベースとしたと聞くと「ホントに大丈夫?」と気になっている同業者は多数。

 そこで日産が準備したステージは千葉県成田市の空港周辺を巡ることだった。この辺りは荒れた路面が多く、そこをあえて走らせてジャッジせよという。これは自信の表れなのか!?

 与えられた車両はトップグレードのB7 G(B7は78kWhバッテリ搭載)というもので、235/45R19サイズのタイヤ&ホイールを装着。これで乗り心地自慢だというからすごい。ちなみに新型リーフは航続可能距離702km(WLTC)というのが話題だったが、それはB7 Xというグレードでタイヤ&ホイールは215/55R18。すなわちB7 Gのタイヤ&ホイールは当然ながら太く重くなっており、航続可能距離は685kmとなってしまう。やや見劣りするが、冷静に考えればたった17km差。旧型のトップグレードは60kWhバッテリ搭載のe+で最大で450kmだったことを考えれば相当な進化といっていい。

クロスオーバースタイルに一新した新型リーフ。今回試乗したのは78kWhのバッテリ容量を持つ「リーフ B7 G」。価格は599万9400円だが、新型リーフは全グレードで令和6年度補正予算「クリーンエネルギー自動車導入促進補助金」の対象モデルとなっており、129万円の補助金が受けられる
ボディサイズは4360×1810×1550mm(全長×全幅×全高、プロパイロット 2.0装備車の全高は1565mm)、ホイールベースは2690mm。フロントでは6つの丸みを帯びた長方形で構成されたシグネチャーランプと一文字のセンターLEDアクセントランプを、リアまわりではII三(ニッサン)パターンがあしらわれたLEDリアコンビネーションランプ(3Dホログラム)を採用
Gグレードでは19インチアルミホイールを標準装備。タイヤは「e.SPORT MAXX」(235/45R19)をセット。サスペンションはリアにマルチリンク式を採用するとともに日本の道路環境に合わせて専用のサスペンションチューニングを施した
インテリアではフラットなフロアと開放感のある足下空間を実現。インストルメントパネルは横に広がるフローティングデザインによって落ち着いたミニマルな雰囲気を演出する。ステアリングにはグレードによって減速レベルを調整できる回生ブレーキコントロールパドルも備わる
メーターまわり。ドライブモードセレクターを備え「ECO」「STANDARD」「SPORT」「PERSONAL」から選択可能
Google搭載のNissanConnectインフォテインメントシステムを搭載。「Googleマップ」「Googleアシスタント」「Google Play」に対応し、多彩な情報とエンターテインメントにシームレスにコネクトできる。ナビゲーションが「Googleマップ」になり、Googleアカウントを同期することで充電スポットを予測したルート検索やお気に入りの場所や保存したルートなどを表示できるとともに、NissanConnect サービスアプリ機能の「ドア to ドアナビ」によって、充電残量を考慮して必要な充電を加味したルートを乗車前からナビゲーションに共有し、乗車後スムーズに出発することも可能
前後シート。Boseパーソナルプラスサウンドシステム(10スピーカー、運転席用アナウンス)搭載モデルはフロントシートのヘッドレストにスピーカーが備わる
新型リーフでは日産初の調光パノラミックガラスルーフ(遮熱機能付)を採用。電子調光技術によりボタン1つでガラスの透明度を変えられ、遮熱機能も持たせている

 さて、いよいよ試乗開始と思ったが、まず配られたのはカギではなくスマートフォンだった。Nissan Connectアプリを体験して欲しいとのことで、アプリで想定したルートを設定。説明会会場からそれをクルマに送信。エアコンをあらかじめ起動させておく、なんてこともできた。実際に乗り込めば複雑なルートを設定する必要もないし、空調は整えられていて快適だった。

今後の発展に大いに期待したい1台

さっそく東関東自動車道の120km/h区間で「プロパイロット2.0」などを試してみた

 走らせてみるとなかなかリニアで振動もなく超スムーズだ。アクセルは敏感すぎずに応答。BEVだからとインパクト重視にならず、あくまで使いやすさを求めた結果がそこにある。モーターは磁石を6分割し位相をずらしたスキューローター(斜め構造配置)を使うことで、モーターそのものの回転振動を抑えたことも効いているのだろう。

 さらにモーター、インバーター、減速機を一体化した3-in-1 EVパワートレーンを使用しつつ、それを載せるメンバーも開口を小さくし、マウントブラケットを短く高剛性にしたことで振動を抑えリニアな応答にも役立っている。いざとなれば最大トルク355Nmをきちんと受け止める。

 結果として高速道路の加速車線などでは自由自在。本線への合流もイッキに行なう俊敏さが備わっているから扱いやすい。ちょっとスポーティに加速をした後はプロパイロット2.0を使ってハンズオフドライブだって可能になる。両腕を下ろしてリラックスしながら120km/h巡行も可能。車線維持の仕方にも安心感があり、決してフラつくようなことなく、また制御が途切れることもなく駆け抜けてくれるところが好感触だった。

途中のパーキングエリアで急速充電も実施。なお、新型リーフでは充電ポートに接続する「AC外部給電コネクター」を使えば、ドアをロックした状態でも1500Wの電力を使うことができる。また、室内と荷室に合計2つの100V AC電源(1500W)を搭載し、合計で最大1500Wの電力が使用可能

 ただ、気になるところがいくつかある。それは西日に向かって走っている際、ダッシュボードからの照り返しがかなりあったことだ。ダッシュボードを真っ平にし、光沢ある質感にしたことで、まるでベテラン女優バリに顔が照らされる。もしもオービスに撮影されたらシワが飛んで良いかもなんて。ソコは気にしないからテカらない質感にして欲しいところだ。もう1つはドアガラスから聞こえる風切り音が目立っていたことである。遮音ガラスを使っていないらしいが、ほかが静かになりすぎているのだから、その辺りにはコストをかけたほうが良いと感じる。

 高速道路を降り、いよいよ荒れたワインディング路に突入する。乗り心地についてはタウンスピードでも高速道路でもしなやかかつフラットに走りなかなか良いなと思っていたが、果たして荒れた路面はどうだろう?

 走ってみるとそんなシーンでも見事なまでに入力をいなしていくから感心するばかり。これはシートのウレタン密度を30%もアップさせたほか、ピストンスピードの速い領域において減衰力を下げて突起ショックを低減。さらにはリアサスメンバーブッシュの前後方向には空間を開け入力をいなしている。けれども走りもなかなか。車体ねじり剛性86%、リアマルチリンクサス横剛性66%それぞれ引き上げており、さらにラックアシストの電動パワステを採用することで、これまたリニアに応答するシャシー性能も備えているからうれしい。

荒れた一般道でもフラットに走ってくれ、後席の乗り心地も良好。またNissanConnectインフォテインメントシステムの使い勝手がよく、ヘッドレストに備わるスピーカーからカーナビの音声案内がしっかり聞こえるのが◎だと感じた

 ただ、あまりに動くようになったサスペンションのせいなのか、今度はリアのアライメント変化が気になってくる。荒れた路面になるとリアが横方向に動くようなクセがあり、そこが収まらないかとも思えた。コレ、聞けば現在のマルチリンクのリンク数をさらに増やすか、減衰力を引き締めて動かさなくすれば改善できると聞いたが、コストも乗り心地も両立しようと思うといまの落としどころなのだろう。振動も音もないとアレコレと気になるのも事実。やはりBEVって色々と難しそうだ。

 とはいえ、それ以外は概ね納得なのも事実。お求めやすいB5仕様もいよいよラインアップしたし、今後の発展に大いに期待したい1台だ。

今回のB7グレードに加え、55kWhバッテリを搭載したB5グレードの受注を1月29日に開始。価格は「B5 S」が438万9000円、「B5 X」が473万8800円、「B5 G」が564万8500円。B5グレードの一充電走行距離は最大521km(WLTC)とし、B7グレードの518万8700円(B7 X)から約80万円低いスタートプライスを実現している
橋本洋平

学生時代は機械工学を専攻する一方、サーキットにおいてフォーミュラカーでドライビングテクニックの修業に励む。その後は自動車雑誌の編集部に就職し、2003年にフリーランスとして独立。2019年に「86/BRZ Race クラブマンEX」でシリーズチャンピオンを獲得するなどドライビング特化型なため、走りの評価はとにかく細かい。最近は先進運転支援システムの仕上がりにも興味を持っている。また、クルマ単体だけでなくタイヤにもうるさい一面を持ち、夏タイヤだけでなく、冬タイヤの乗り比べ経験も豊富。現在の愛車はユーノスロードスター(NA)、MINIクロスオーバー、フェアレディZ(RZ34)。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。日本カー・オブ・ザ・イヤー選考委員。

Photo:高橋 学