【インプレッション・リポート】
「フォルクスワーゲン ポロTSI」長期レビュー

第9回:花粉の季節が終わってフィルター交換してLED室内灯を作ってみた
Text by 正田拓也


今月もポロは順調。1枚目の写真が色あせて見えるのは砂ホコリがかぶっているせい

 いよいよ暖かくなってきた。気温が高くなるにつれてポロの燃費がよくなり、右足の動きに集中して走れば20km/Lに近い燃費を実現できそうになってきた。しかし、燃費悪化の最大の原因である冷房を使いたくなる夏は、もうすぐそこまで来ている。

 また、震災の混乱のせいか、3月に入ってからは季節をあまり感じることなく、5月の連休まで通りすぎていったように思う。春先の一大イベントである花粉対策も、気分的に今年の春は花粉すら感じる心の余裕がなかったのだろうか、筆者はあまり苦しくなかった。

 そこで、思い出したように気になったのがポロのエアコンフィルター。どんなフィルターを使っているのかということと、納車から10カ月経って花粉シーズンを過ぎてフィルターがどうなっているのかも調べてみた。

特段の手入れをしてない表面は、雨が降ってもまだ撥水性を保っている

暖かくなって都心部の移動でも13km/L台
 震災直後はあまりクルマを使わなかったのだが、4月になるとポロに乗る機会が増えてきた。ガソリン価格が一時的に落ちついたことあり、ふつうの生活を取り戻す意味でも今までどおりの乗り方をするようにしている。

 4月に入って気温が20度くらいの日であれば、区間では18km/Lを超える燃費を記録するようになってきた。ポロの燃費は条件によって大きく左右されるので、近場の移動を繰り返すとすぐに悪化してくる。都心部の移動ではだいたい区間燃費で13km/L台を記録するようになってきた。

 また、5月の連休は遠出こそしなかったものの数十km圏内のドライブを何度か繰り返したことで、満タン法でも15km/Lを超える燃費を記録している。近場のドライブでの燃費悪化は、ショッピングセンターなどの目的地の駐車場渋滞などが主な理由で、それがなければさらによい燃費を記録したと思われる。

 低燃費化の一部ではあるが、前回タイヤを交換してから、Nレンジによるコースティング(惰性走行)の伸びが大きく変わったように思える。今までは惰性走行中にNレンジに入れても大きな変化はなかったが、ミシュランのエナジー・セイバーにしてからは、Nレンジに入れた瞬間に加速するような錯覚を覚えるほどの転がり抵抗の小ささを感じている。

給油日走行距離(km)給油量(L)燃費(km/L)
2011/3/921416.4113.04
2011/4/2352037.3113.94
2011/5/964942.3015.34

 維持費関係では、5月に入って自動車税の請求書が送られてきた。エコカー減税のうち購入時に恩恵を受けられない自動車税が減額されている。その金額は約半額となる1万7500円。ポロの排気量は1197ccなのでそもそもの自動車税のランクが低く、来年以降はずっと3万4500円だ。

 1.2リッターTSIエンジンのパワーは1.8リッター相当という人もいるが、実際に1.8リッターのエンジンを積んでいたら年間3万9500円なので余計に5000円かかることになる。パワーを得ていながら自動車税は安い。こんなところにもダウンサイジングエンジンのメリットが現れている。

平日に都内中心部を走行しても、この程度の燃費が可能になった交換から約3カ月が経過したミシュラン・エナジーセイバー。性能も良好だ自動車税の請求書がやってきた。エコカー減税のおかげで今年は1万7800円

花粉シーズンが過ぎてポーレンフィルターを交換
 例年、春先は花粉症に悩まされるのであるが、今年は混乱の中で時期を迎えたこともあり、花粉と対決しているような意識は薄かった。感じる余裕があまりなかったのかもしれないが、駐車場に止めているポロを見ると、黄色い粉が積もっているようにも見えていたので、それなりに飛んでいたのだろう。

 そこで、ポロのポーレンフィルターを交換してみようと思い立った。現行モデルのポロのフィルターはエアコンから出る風はすべてフィルターを通る構造である。外から入ってくる空気だけを濾し取るのではなく、内気循環でもすべてフィルターを通るようになっている。

 そのため、いつでもクリーンな風が出てくる半面、フィルターに室内の綿埃などのゴミがたまりやすくなる。外気のみのフィルターで構わないと考える人もいるが、筆者はすべてフィルターを通すほうが好みである。

 交換はとても簡単で工具も必要ない。助手席の足下にフィルターがあるのだが、止めている2個の押さえをずらし、カバーを外したら下に引き抜くだけとなる。

 交換するフィルターの部品番号は「6Q0 819 653 B」、純正部品で5145円だった。サードパーティ製の適合までは調べられなかったが、同じパーツを使っていると思われる旧型ポロ用の活性炭入りタイプはあまり変わらない価格だったこともあり、大事をとってディーラーで純正部品を購入した。

 納車から10カ月、1万km未満での交換なので、外した古いフィルターを見ても大きなゴミは付着しておらず、目をそむけたくなるような状態にはなっていなかった。新旧フィルターを比べるとうっすらと全体的に変色していることもあり、フィルターの効果は十分に発揮しているようだ。

 このまま使い続けて、どれだけ持つのか分からないが、2~3万km走行まで放置すると埃の堆積も増えてエアコンの風量も落ち込むほどになるだろう。実際、同じような仕組みのエアコンではフィルター詰まりによる風量低下の話はよく聞く。

 交換した後の変化であるが、それほど詰まってないために特に変化は感じられなかった。ただ、汚れたフィルターからきれいなフィルターに交換したことよる気分的な満足度は高い。

 実際には1万km未満で交換する必要はないと思われるが、交換する必要がなくても点検はとても簡単なので、大掛かりな洗車のついでにフィルターを外して状態を確認するくらいはしたほうがよいのではないだろうか。

ポロで使うポーレンフィルター。正規ディーラーでオーダーするとフォルクスワーゲングループの各ブランドロゴがついた純正パッケージに入って来るフィルターは助手席の足下にある横長の黒い樹脂にストッパーが2個所ついているストッパーを内側にずらすとフタが取れてフィルターが下に取り出せる
フィルターが激しく汚れているかもしれないときは、車内にゴミが落ちないように何か敷物を使うとよいだろう外したフィルターのフタと、フィルター本体隙間を広げてみるとゴミが結構溜まっている
新品と今まで使っていたフィルターの比較ハメこむときは指定の方向を間違えないようにフィルターを元の場所にしたら交換作業は完了だ

真っ白で明るい室内灯のLED化
 震災以後、節電が求められている。クルマの節電は電力不足には関係ないが、わずかではあるが燃費に影響があるので、やらないよりはやったほうがよい。

 今回交換した室内灯のLED化は、どちらかというとエンジンを切ったときの節電となるが、エンジンをかけたときのバッテリー充電負荷の低減のほか、室内灯を使い続けるためエンジンをかけてアイドリング状態にするということがなくなるなど効果は高いはずだ。ちなみにLED化による消費電流の差はグッズレビュー(http://car.watch.impress.co.jp/docs/series/minigoods/20100409_359324.html)にあるとおり、市販品でもおよそ5分の1程度まで減らすことができる。

 また、室内灯の色合いの変化という点でもLED化のメリットがある。例えば、白いシャツにお茶をこぼした場合、電球色では汚れがわかりにくいが、白色のLED照明なら白とシミのついた場所がよくわかり、夜間の車内でも染みの拭きとりや掃除がしやすいという利点がある。特に子供を乗せる機会が多い人は実感するだろう。

 そこで、今回LED化するにあたっては色合いを重視して、最新のLEDパーツを使って自作することにチャレンジしてみた。自作するメリットはLEDを自由に選べることと、室内灯のライトハウジングに最適化したものを作れること、場合によっては低コストになるかもしれないことだ。

 ポロの室内灯に使っている電球はフロントがT10のウエッジタイプが3灯、リアが長さ35mmの両口金タイプ。W数はいずれも5Wだ。

 これを白色LEDの老舗である日亜化学工業製のもので自作してみる。日亜のLEDといえばクルマのLED照明愛好家に人気が高く、青白いことが多い一般的な白色LEDと違って純白に近い色合いの光が得られることが人気の理由でもある。

 最初に作ったのはリア用のもの。これはクルマ用のLEDとしては定番の日亜の“雷神”こと「NSPWR60CS-K1」の150度タイプ。せっかくなら明るいほうがよいと思い、3個直列×2列の6個で作成、左右に1つずつなので合計12個と非常に明るい室内灯となった。計算上の消費電流は90mAなので、元々の5W電球から比べると1/4程度になる。

 次にフロント用を作るにあたっては加工とメンテナンス性を考え、元々のウェッジ球に近い形状のものを作ることにした。日亜の「NSDW570GS-K1」という砲弾型LEDを3個直列に接続したものだ。このLEDを使うのは初めてだったので3個では不安だったが、予想を大幅に超える明るさだった。計算上の消費電流は48mAなので、元々の5W電球の約1/8しか使わないことになる。

室内灯は手前からユニットごとはめ込んであるので外す取り外したフロント側リア側もこじるように外すととれる
フロントの裏側使われているのはウエッジタイプの5Wフロントのレンズは外れるが、何度もやると透明プラスチックを割ってしまいそうだ
リアは透明プラスチックを外さないと電球交換できない構造。ツメを外して内側から押し出すリアの構造LED自作に使うパーツなど。基板はできればガラスエポキシ製が望ましい
フロント用に作ったLED。砲弾型3個に75Ω分の抵抗を直列し、絶縁に接着剤を流し込んだだけの手抜き構造裏側から電球を交換する。LEDは極性があるので事前にテスターでプラスとマイナスを調べて油性ペンなどで書いておくと便利だ
LEDを入れたフロントの室内灯ユニット。黄色い部分でわかるリア用のLED。6個は多かった……こちらも3個ずつ直列にしてそれぞれに100Ωを直列にしただけ
念のため、絶縁用の厚紙を貼りつけておいて、室内灯に装着。ちなみに手前がマイナス。中心側がプラスだったLEDを入れたリア側

 かかった費用はLEDの購入費と少々の部材。抵抗や基板や金具を入れても4000円でお釣りがくる程度となる。今回は「LED PARADISE☆エルパラ(http://www.led-paradise.com/)」さんでLEDを揃えた。

 実際に夜間に使用してみると、外から室内が丸見えなほどに明るくなって、少し恥ずかしい。今まではリア用は走行中に点灯させても視界にほとんど影響がなかったが、影響があるほど明るくなってしまった。助手席用のマップランプも明る過ぎるような気もする。やり過ぎたと反省し、機会があったら抵抗値を増やすなど明るさを調整する改造をしようかと思っている。こういう微調整ができるのも自作のメリットでもある。

露出、カラーバランスを固定して撮影。もともとのフロント側の室内灯LEDに交換後
もともとのリア側の室内灯LEDに交換後

カタカタ音発生中! 対策求む!!!
 ポロはおおむね順調だが、順調であればあるほど細かな点が気になってくるというのは仕方がない。

 昨年秋から発生しているエンジンルームからのカタカタ音だが、Dレンジで停車中にブレーキを強く踏んだアイドリングの回転数が600rpmほどになると発生する。ディーラー整備工場で詰め物をしていただいてからは改善したものの、また音がするようになってしまった。

 もしこのカタカタ音がなければ、ポロの静粛性はどんなに高かったかと思うと残念でならない。この音はかなりの確率の個体で発生するらしいのだが、フォルクスワーゲン グループ ジャパンからは正式な改善策は出ていないようだ。

 エンジンルームなどの温まり具合によっては音がしないときもあり、そのときは「ストール発生か?」と慌ててしまうくらいポロのアイドリングは振動なく静か。このままだとせっかくの特長がなくなってしまうようで本当に残念だ。ちなみにストールは前々回の1度きりで、その後はまったく発生していない。

 なお、しばらくリポートしていなかったが、カーナビは一時的に借り物の2DINのAVNをハメ込んでみたりしたが、原稿の仕上がり直前に「CAR NAVITIME」の大掛かりなバージョンアップが行われ、CAR NAVITIMEに戻した。できれば少し走った後にリポートしてみたいと思う。

カタカタ音が出ているのはエンジンルームのこのあたりディーラーで詰め物をたくさんしていただいたが、完治していない
アップデートが完了したCAR NAVITIME。夜は自動的に黒い画面に変わっている地図カラー自動切り替えという項目が増えているバージョンアップ前はこのような表示が出ていた。本体でダウンロード予約番号を取得する必要がある
CAR NAVITIMEのバージョンアップ前に一週間ほど2DINナビを試用。すっきり収まり、自律航法の正確さは捨てがたいものの、自分には通信ナビの便利さのほうが合っているようだ確か2009年のポロ発表の際にいただいたマグカップ。ポロ納車のあたりから使っていたが、最近欠けができた。ポロに不吉なことが怒らなければ良いが……

インプレッション・リポート バックナンバー
http://car.watch.impress.co.jp/docs/news/impression/

2011年 5月 23日