トピック

最高速度アップ!! 新東名110km/h区間を最新プラグインハイブリッド車のBMW「530e iPerformance」で体感

疲れ知らずのドライブで一気に「あいち航空ミュージアム」へ

 2017年初めの登場から、これまで何度かBMW「5シリーズ」に乗る機会があるが、その仕上がりのよさには感心させられてばかり。また、夏にはドイツに行ってBMWの工場を見学する機会があり、その際にも製造途中のホワイトボディをナマで見ることができ、ここまでやっているのかと感心せずにはいられなかった。だからこそ、5シリーズ、ひいてはBMWは、これほど素晴らしい走りを実現していることを思い知った次第である。

 そんな5シリーズのなかで、まだ少ししか乗れていなかったプラグインハイブリッドの「530e iPerformance」を拝借して、日帰りでちょっと長めの距離を走ってみることにした。そこで、せっかくなので新東名高速道路で規制速度110km/hが試行されている区間を走って、もともと航空機メーカーであるBMWにふさわしく、航空機に関連のある場所に行ってみようということに。目的地は先日オープンしたばかりの名古屋の「あいち航空ミュージアム」だ。

今回使用した530e iPerformanceのグレードは「Luxury」。ボディサイズは4945×1870×1485mm(全長×全幅×全高)で、ホイールベースは2975mm
最高出力135kW(184PS)/5000rpm、最大トルク290Nm(29.6kgm)/1350-4250rpmを発生する直列4気筒DOHC 2.0リッターエンジンと、最高出力83kW(113PS)/3170rpm、最大トルク250Nm(25.5kgm)/3170rpmを発生する電気モーターを搭載。システムトータルの最高出力は218kW(297PS)、最大トルク540PS(55.1kgm)となる
充電ポートはフロント左側に設置。LEDも装着され、夜間の充電でも分かりやすいように工夫されている
お馴染みのキドニーグリルに青いラインが入るのが530e iPerformanceの特徴。新型5シリーズにはグリルシャッターも装備され、Cd値は0.22と驚異的だ
タイヤサイズは245/45 R18。ホイールは8J×18アロイ Wスポーク・スタイリング632を装着
ルームミラー上にはステレオカメラを装着
360度モニターも搭載されており、このように自車位置をぐるりと見渡すような表示も可能
プラグインハイブリッドのBMW「530e iPerformance」で、航空機に関連のある「あいち航空ミュージアム」までドライブ

 午前8時ちょっと前に、東京IC(インターチェンジ)より東名高速道路に乗る。モーターのみでスルスルと走り出して、そのまま制限速度まで軽々と加速する。あらかじめ「バッテリーコントロールモード」で設定してほぼ満充電にしていたおかげで、EV走行可能距離は28kmと表示されていたので、当面はモーターのみで走れそうだ。そのままよほどスロットルを開けなければ、エンジンがかかることはない。

 むろん、こうしたクルマが高速巡行に不向きというのは百も承知だ。本来であれば、これまた出来がよいことを確認済みのディーゼルが適任だったのだろうが、せっかく長距離を走るからこそ、どんな制御をやるのか、仕上がりはどうか、いろいろ見るべきポイントは多いはずだ。

 モードの選択は、プラグインハイブリッド関連では、エンジンとバッテリーのバランスを効率よく自動的に使い分ける「AUTO eDRIVE」、電力がある限りEV走行する「Max eDrive」、走行しながら任意の残量まで充電できる「バッテリーコントロール」の3つに加えて、走行モード関連も「EcoPro」「Comfort」「Sport」の3つが選べる。

 EcoProは、いわゆるコースティングを積極的に行なうのに対し、Comfortでは逆に回生ブレーキを強く利かせるようになる。さらに、Sportは電気ターボ的にブーストがかかったような走りとなり、メーターが赤系の色になり、タコメーターが常時表示されるなど視覚的にも走りを想起させるものとなる。ひとまずは、もっとも標準状態といえるAUTO eDRIVEのComfortを基本に走ることにした。

今回はAUTO eDRIVEの「Comfort」を基準にドライブをした
モード切替はシフトノブ右側のスイッチで可能
「Comfort」モード時のメーター
「EcoPro」モード時のメーター
「Sport」モード時のメーター

 土曜日の朝の下りということで、交通量はけっこう多め。ほどなくしてちょっと渋滞していたのだが、ACCに加えて車線の中央を維持する機能をONにしておけば、渋滞でモタついてもストレスを感じることもなく、適当な車間を保ちながら前走車についていってくれるので助かる。

 平均燃費の表示を見ていると、ガソリンをあまり使わず電気で走る割合が多いので当たり前だが、グングン伸びて、MAXで45km/Lにまでなった。走りはじめて45kmあまり走行して、EV走行した距離が30kmを超えたところで、バッテリー残量はごくわずかになり、EV走行可能距離が「1km」と表示されたところでEV走行が止まって、ほぼエンジンで走行するようになった。この1kmは、いざというときのために使い切らずに残しておくという制御ロジックになっているようで、そのまま深夜早朝に住宅地を走る場合などは、そこで必要なぶんほどはEV走行させることができるわけだ。

 もしEV走行する距離を伸ばしたければ、「バッテリーコントロールモード」を選択して、走りながらバッテリーをチャージすることもできる。バッテリーがどんどんたまっていく半面、燃費は少し落ちるのだが、30~100%で任意に設定できる目標値まできたら、再び燃費がよくなっていく。

土曜日の朝ということもあり、ナビの画面上でも下り車線は赤の渋滞表示が続く
ACCなどのスイッチ関連は、ステアリング左側に分かりやすくまとめられている
モーターとエンジンの切り替えがとてもスムーズで、気持ちよく走ることができる
「バッテリーコントロールモード」を使用すれば、走行しながら任意のパーセンテージまでバッテリーを充電することも可能

 御殿場JCT(ジャンクション)で新東名へ。ACCと車線維持機能のおかげで本当にラクに走れるし、乗り心地も上々だ。そしていよいよ新静岡~森掛川の110km/h試行区間へ。新東名は現状3車線区間と2車線区間が混在しているが、ここからは基本3車線でカーブも少なくなる。

 これまで何度かここを走ったことはあるが、110km/hになったからといって、とくだんなにかこれまでと変わった様子はない。制限速度が110km/hであることを示す標識が出ているくらいか。この区間の取り締まりが強化されたらしい話も耳にしていたのに、何も見かけないなと思っていたら、いたいた! SA(サービスエリア)の出口にパトカーがスタンバイしているではないか……(笑)。

 本来は追い越し車線の走行が禁止されているはずの大型トラックの姿があるのも従来と同じ。警察は速度よりもまずそのあたりをしっかり取り締まるべきだと思わずにいられないが……。

東名高速道路から新東名高速道路へ。表示板にもこの先の試行規制の案内が
試行区間開始のポイントは、黄色い看板で明確に表示されている
速度表示ももちろん110km/hに
ACCを110km/hに設定
試行区間は約50km。区間終了の案内は事前に段階的に表示される

 530e iPerformanceの走りで、100km/h巡行と110km/h巡行でなにか変化があったかというと、実際に10km/hの違いでどれぐらい制御が変わるのかは分からないが、心なしかよりエンジン主体の走りになったように感じられた。おそらくそのほうが効率がよいからだろう。するとバッテリーがほとんど減らなくなる。

 それにしても快適な走りだ。これほどなめらかに走れるクルマは、このクラスではちょっと心当たりがない。とりわけ530e iPerformanceでは、電気モノの音の侵入を抑えるためか、ほかの5シリーズよりも静粛性が高められているようで、それも優位性の1つだ。実際の話、エンジンが再始動しても、よほど注意していなければ分からない。

 そして5シリーズは、自らを「ビジネスアスリート」とも呼んでいるだけあって、後席の乗り心地にも配慮されている。しばらく同行者に運転してもらって後席にも乗ってみたところ、前席でも感じた快適性は後席でも変わらず。車内の会話の明瞭度も高いので、前後席間での話も弾む。

 居住空間も、身長172cm、体重65kgの筆者が座って、頭上はコブシが縦に1つ以上、膝前は2つ以上も空いているので余裕がある。また、後席のウィンドウをスモークガラスにしないのもBMW流だが、シェードが付いているので、必要に応じて引き出せばよい。いつエンジンがかかって止まったのか分からないほどスムーズなのは後席でも変わらない。音や振動に対する手当が非常に行き届いていることには感心させられる。

リアシートの快適性も高い

 530e iPerformanceは快適に走り愛知県に突入。名古屋高速道路に入り、カーナビの的確な案内に従って走り、豊山南ICで下りて一般道へ。そしていよいよ、目的地に到着!

名古屋高速道路に入り、豊山南ICで一般道へ降りる
目的地の「あいち航空ミュージアム」に到着

 オープンして間もない「あいち航空ミュージアム」は、初めての休日ということもありかなりにぎわっていた。

 建物は2階が入口、1階に出口のある特徴的な造り。入り口には黒澤明監督がレインボーカラーをデザインした飛行機の模型が展示されていた。館内に入ると、まず古いヘリコプターの模型が。これはレオナルド・ダ・ヴィンチの設計図を元に作ったもの。

入口はまるでホンモノの搭乗前ゲートのよう
黒澤明監督がレインボーカラーをデザインした飛行機の模型
レオナルド・ダ・ヴィンチが設計したというヘリコプター

 2階のフロアからは1階が見下ろせて、そこには半年前まで現役で飛行していた「YS-11」の姿も。ちなみにこの個体は現役当時、昭和天皇や愛知県の大村知事も搭乗されたそうだ。

 そのとなりには、「名機100選」と壁に書かれているとおり、まさしく100機+αの25分の1スケールの精密模型がズラリと展示されていて圧巻だ。リアル「紅の豚」の世界のような古いものから新しいものの順に並べられていて、総額なんと4億円分! 中には1機で1000万円超というものもあるそうで、ものすごく精密でよくできているのにビックリ。これは本当に一見の価値がある。ひょっとしてBMW製もあるのではと思ったら、あった!

半年前まで現役で飛行していた「YS-11」
およそ100機の25分の1スケールの精密模型が展示されている「名機100選」
BMWに関連した精密模型がないかと探してみたところ、エンジンがBMW製の精密模型を発見!

 1階には、YS-11のほかにも飛行機とヘリコプターが展示されている。囲いのなかには、なんと零戦の実機と、製造現場を再現した展示も。ほかにも飛行機が飛ぶ仕組みを学んだり、子供向けの職業体験ができるコーナーもある。

1階には零戦の実機も展示されている
飛行機が飛ぶ仕組みを学んだり、子供向けの職業体験ができたりする

 展望台に行ってみると、「自衛隊関連や個人のものも含め、いろんな生きた飛行機を感じられる」との説明のとおり、これほど近くで臨場感のある飛行機の飛ぶ姿を見られるところなんてそうそうない。ハンモックに寝そべって、ゆっくり空を眺めることもできる。

 売店で売っているものも、本格的な模型のほか、飛行機のタイヤカスさきいかまで売られていて驚いた。

 この日は撮影もあるので長居はできなかったのが残念なのだが、いつかあらためて、乗り物が大好きなウチの子供を連れて、ぜひまた来ることにしたい。

この日は雲1つない快晴
展望台では、用意されたハンモックに寝転びながら飛行機の離着陸の様子を眺める……、なんてことも
売店では本格的な模型のほかに、飛行機のタイヤカスさきいかも売られている
館内には3Dメガネをかけて楽しむブースもある
ミュージアム内のベンチは、なんと旅客機のシート!
トイレの案内もパイロットと客室乗務員に!
ミュージアムカフェで、ハーブティー+ミルクの限定メニュー「そらラテ」を発見
滑走路を見ながら、そらラテをいただく

 エンジニアリーダーの吉川潔氏に話をうかがったところ、「中部エリアは航空宇宙産業の集積地です。にもかかわらず、愛知県のもの造りというと、自動車の方が圧倒的にメジャーです。もちろんそれはよいことですが、飛行機屋さんからすると寂しい気もします。そこで、航空産業の振興に向けて次世代の人を育てるために、ここでもっと子供たちに、いろんな飛行機を見て、体験してもらおうというのが主旨です。空港の真ん中にせり出した形で作られているのもその一環ですし、これだけのものを揃えているのは世界でもなかなかありません。来場したお子さんの中から、将来この世界を担う人物がきっと出てくれることでしょう」とのことだった。

 ちなみに、なんと吉川氏もかつてBMW乗りで、しかもE30の「M3 Evo」をお持ちだったとか。スゴイ! なんだかウレシイぞ(笑)。

お話をうかがった、名古屋空港ビルディング株式会社 ミュージアム運営部 監査役 エンジニアリーダー 吉川潔氏

 帰路につく前に、ちょっと海の方へ。夕景に映えるのも、このクルマならでは。インテリアの質感が従来より格段に引き上げられているのも、新型5シリーズの魅力の1つだが、夜になるとアンビエントライトが存在感を増す。いかにナイトドライブを演出するかというのは、最近の高級車におけるメーカーのウデの見せ所だと思うが、新型5シリーズも上々の雰囲気を見せてくれる。

夕暮れの海へ530e iPerformanceでドライブ
夕闇が迫るにつれ、点灯しているヘッドライトやテールランプのデザインが際立ってくる
インテリアの照明はiDrive上で変更が可能
オプションで装着できる「Bowes&Willkins ダイアモンドサラウンドシステム」(56万円)のスピーカーも光り、夜のドライブを演出する

 こうして1日で往復820kmを走行したのだが、途中給電なしで、給油量は計55.4L、トータル燃費は14.8km/Lと、1.9t超のクルマとしてはまずまず。そしてなにより、この距離を走ってもまったく疲れ知らずだったことも、このクルマの実力を物語っている。新型5シリーズをあらためて惚れ直した1日であった。

提供:ビー・エム・ダブリュー株式会社

撮影協力:
あいち航空ミュージアム
https://aichi-mof.com/