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カロッツェリアから最新の前後2カメラドライブレコーダー「VREC-DH300D」登場! その本気をいち早く体験してみた

ポイントは「高画質」「高感度」「大画面」。洗練されたデザインに基本機能が凝縮

カロッツェリアのドライブレコーダー「VREC-DH300D」を試す

 ドライブレコーダーは、言ってみれば保険みたいなものだ。いざ、万が一のときに映像で証拠を残してくれるという安心を得るための、今や必須に近い安全装備。しかし、万全の準備をしたところでその「いざ」が起きないこともある。

 もちろん、そんな事態に遭遇しないのが一番いいに違いない。あるいは、安心を買うという意味では、最上位の高性能ドライブレコーダーにしておくのが最も無難なのかもしれない。けれど、投資に見合うリターン(安心感)のバランスを考え始めると、選ぶのがとても難しい商品の1つでもあると思うのだ。

 というようなことを考え続けて、結局ドライブレコーダーを買わずにずるずる来てしまった人間がここに3人集まった。Car Watch編集部の北村氏と、フォトグラファーの安田氏、そして筆者である。

新しいドライブレコーダーの話を聞きつけて集まった筆者(左)、フォトグラファーの安田氏(中央)、Car Watch編集部の北村氏(右)の3人

 先に筆者の事情を話してしまうと、この2月末に本田技研工業「シビック ハッチバック」が納車され、装着するドライブレコーダーをまさにあれこれ物色していたところ。しかし毎日メーカーサイトを巡って比較するも既存製品はどれも決定打がなく、選べずにいた。そんなタイミングで「カロッツェリアが新しいドライブレコーダーを出すらしい」なんて噂を聞けば、気にならないはずがない。

果たして、このシビック ハッチバックに取り付けたくなるドライブレコーダーなのか!?

 さっそく、パイオニアの方々がこっそり商品説明をしているという会議の現場へ電車で急行し(本当は新車で乗り付けたかったが、まだドライブレコーダーがないので不安だったのだ)、新型ドライブレコーダーの秘密に迫った。そして、ひと足早く実車装着された製品を体験した。結論から言えば、本気で今すぐ欲しい。5月の発売予定日が遠い未来のように感じている……。

この奥の部屋でパイオニアの方がこっそり商品説明会を開催しているらしい……

前後2カメラ、フロント370万画素の高画質はどれほどのもの?

VREC-DH300Dのフロントカメラ(左)とリアカメラ(右)

 パイオニアが今回、カロッツェリアブランドから新商品のドライブレコーダーとして送り出すのが「VREC-DH300D」だ。これがどんな機能・性能をもっているかを説明する前に、何よりもまず最初に言っておきたいのは、同製品の市場想定価格が2万6000円前後ということである。

 ドライブレコーダーでこの価格帯は、フロントカメラ1台でフルHD解像度、夜間画質にも気を使っていて、カロッツェリアブランドで少し値段が高めに設定されているかな? みたいなイメージだろうか。しかし実際は全く異なる。

実際には「こっそり」ということはなく、普通に商品の詳細を教えてくれた

 本題に入る前に少しもったいつけるような感じになってしまうが、パイオニアのマーケティング担当の方によると、VREC-DH300Dのポイントは「高画質」「高感度」「大画面」の3つだという。これらの要素のうち、ドライブレコーダーを選ぶうえで筆者が最も気にしていたのは「高画質」だ。

 万が一のときに映像で証拠を残すためのもの、という意味では、ドライブレコーダーは高画質であればあるほどいい。もらい事故や、あおり運転の被害があったことを証明する際に、相手車のナンバーまでしっかり見えるように記録できていれば、その後の処理などもスムーズに進められる可能性が高いからだ。

高画質370万画素での録画に対応するVREC-DH300Dのフロントカメラ

 一方で、ナンバーの細かいところまで見えていなくても、トラブル前後がどのような状況であったかが正確に分かれば十分だ、という考え方もある。車両の前方や左右、車室内を1台でカバーするような広視野角のカメラを搭載するドライブレコーダーがそういう目的にはマッチするだろう。

 そんななかでVREC-DH300Dは、コンセプト通り「高画質」にフォーカスしている。フロントカメラはフルHDを超えるWQHD(370万画素)の高解像度を実現し、さらにフルHD解像度のリアカメラがセットになっている。画質を追求しつつも、2カメラ構成とすることで死角を減らしているわけだ。しかも、レンズのF値はフロント1.4、リア1.8と業界トップクラスの性能なので、明るくはっきりとした映像を記録できる。

リアカメラはフルHD。前後2カメラで死角を減らせる

 370万画素の肝心の見栄えはどうだろうか。下記の実車映像を見てみよう。車間距離が数十m離れているときでも、先行車両の大きな数字を読むことができ、低速になって車間が縮まると、ナンバーのすべての文字を視認できることが分かる。信号待ちで停車している場面ではより鮮明だ。

車間がやや離れているときのナンバーの見え方(以下、ドライブレコーダーで実際に撮影した動画を静止画にした画像は、クリックするとオリジナルサイズで表示されます)
より車間が詰まったときのナンバーの見え方
信号待ちのときのナンバーの見え方
参考までにフロントカメラをフルHD画質にして撮影してみた。WQHD(370万画素)ほどではないが解像感は高く、ナンバーもしっかり見える

 リアカメラはフルHDだが、ナンバーの視認性はフロントより良好に感じるときもある。これは視野角がフロントに比べてやや狭く設定され、ズームしているようなイメージになっている影響もあるだろう。フロント・リアともに細部までしっかり描写されているのは、やはり安心度が高い。高解像度のメリットを実感する部分だ。

リアカメラの映像。ナンバーの視認性はフロントよりも高いと感じるときもある

 解像度が高い代わりに、視野角は標準的な広さといったところ。これは、あくまでも最適な画質を追求した結果だという。たとえば視野角が広すぎるとガラスの映り込みが多くなるのがネックになる。視野が広がればその分、ナンバープレートなど一番見たい部分が小さくなり、細部の視認性が低下することも考えられるだろう。

 細部まできっちり見える映像品質を実現するために、カロッツェリアはドライブレコーダーに求められる最適な画質を追求できるハードウェアの組み合わせとソフトウェアのチューニングを徹底して行なった。そうして磨き上げた高画質が最も活きるのが、この視野角だったという。

 たしかに建物のキリッと引き締まったエッジや青空の階調表現など、全体的な映像の美しさも目を引く。視野角よりも、映像としての見栄えのよさや解像感の高さがある方が、ユーザーとしては安心感が高まるうえに、満足度も高いように思う。

青空の階調が美しく表現されている
カロッツェリアの2カメラドライブレコーダー「VREC-DH300D」撮影動画【夕暮れの首都高速-フロント】
カロッツェリアの2カメラドライブレコーダー「VREC-DH300D」撮影動画【夕暮れの首都高速-リア】


夜景は自然な鮮やかさ。真っ暗闇でも見通せる驚異の暗所性能

 フォトグラファーの安田氏は、日常的にカメラを扱う仕事をしているだけに、画質はもちろんのこと、暗所における「感度」や「見栄えの自然さ」に対するこだわりが強い。「暗所性能の高さをアピールするドライブレコーダーは多いが、不自然に加工されたような映像になっているものが目立つ」ことが、不満だったようだ。

暗い場面でいかにきれいに見えるかも、ドライブレコーダーとしては重要だ

 また、ドライブレコーダーの第一の目的はトラブルの状況を記録することにあるとはいえ、時にはドライブの思い出を振り返るときの映像として使いたいときもある。頻繁に北海道を旅行する安田氏にとって、見た景色をそのままの形で残せるかどうかはとりわけ大切なポイントの1つ。暗いトンネルに入ったり、日が陰ってきたら見えなくなってしまう、ということでは、楽しいドライブの思い出も文字通り色あせてしまうため、「高感度」はドライブレコーダーを選ぶ上で重要なポイント。

 VREC-DH300Dはどうかというと、前後カメラともにハイエンドモデルに多いSTARVIS技術搭載のソニー製CMOSセンサーを採用することで、わずかな光量でも撮影可能な独自の高感度録画「ナイトサイト」に対応している。そのため、夜間であっても明るくきれいな映像を撮影することが可能となっているのだ。

前後カメラともにSTARVIS技術搭載のソニー製CMOSセンサーを採用

 下記の実車映像を確認してみると、黒つぶれしているところは少なく、鮮やかに夜の街を浮かび上がらせている。それでいて無理に色彩を強調しているような感じもなくナチュラルな見た目だ。リアカメラが捉えた後方車両のヘッドライトに注目すると、通常なら明るすぎてハレーションを起こしてしまうようなところも、しっかり抑えて見やすくしている。

夜の街の走行映像
リアカメラの映像。ヘッドライトのハレーションが少ないことにも注目
カロッツェリアの2カメラドライブレコーダー「VREC-DH300D」撮影動画【夜の街中-フロント】
カロッツェリアの2カメラドライブレコーダー「VREC-DH300D」撮影動画【夜の街中-リア】

 夜間のような全体が暗いシーンだけでなく、暗い場所と明るい場所の落差が大きいシーンも、ドライブレコーダーのようなカメラが苦手とする場面。しかし、VREC-DH300Dではトンネルの出入り口のような明暗差がある場所でも、人の目で見ている感覚に近い自然な映像として録画されている。このあたりもカロッツェリアいわく「最適なパーツ選定をしたうえで、徹底的なチューニングを施した」ことで実現したとし、VREC-DH300Dのコンセプトである「高感度」がユーザーレベルでも目に見える成果としてしっかり表れているようだ。

明暗差が大きいシーンでも、一定の見やすさを確保している
カロッツェリアの2カメラドライブレコーダー「VREC-DH300D」撮影動画【明暗場所の連続-フロント】
カロッツェリアの2カメラドライブレコーダー「VREC-DH300D」撮影動画【明暗場所の連続-リア】

 さらに、フロントだけでなくリアも「-2.0~+2.0」まで、0.5刻みで明暗9段階の露出調整が行なえる。たとえばリアウィンドウがスモークガラスになっている車種であっても、露出調整することで適切な明るさの映像で記録できる。これもSTARVIS技術搭載のソニー製CMOSセンサーを採用し「ナイトサイト」に対応したうえで、見やすさにフォーカスしてチューニングしているからこそ実現できたことだろう。

若干のスモークがかかったリアウィンドウ。リアカメラがほとんど見えないくらいだが、露出補正のおかげで明るく映せる

 下記の駐車中の映像では、ナイトサイト非対応モデルと比較してどれだけ映像に違いがあるかを確かめたものだ。ナイトサイト非対応モデルではほとんど真っ暗闇にしか見えない場所でも、VREC-DH300Dであれば全体的に明るく、しかも怪しい人物の人相まではっきりと見える。もし車上荒らしに狙われたとしても、この映像を明確な証拠として残せるのではないだろうか。

ナイトサイト非対応モデルで撮影した暗い駐車場の映像。真っ暗だが、よく見ると中央あたりにマスクをした怪しい人影が……
同じ場所をVREC-DH300Dのフロントカメラで録画したときの映像

 当然ながら、LED信号の視認性も昼・夜ともに問題なし。日中はWQHD(370万画素)の高解像度で自然な映りの景色とともに記録でき、夜間も細かいところまでしっかり見え、さらには高感度を生かして暗闇の中の駐車場での監視もバッチリ。筆者としても、アクシデントや盗難など、何かと不安が多い納車されたばかりの新車の走行記録・監視を、VREC-DH300Dになら安心して任せられそうに感じた。

LED信号も何色かがきちんと分かる

大画面3.0インチディスプレイと、使いやすさにこだわった操作性

 筆者と安田氏の2人と同じように、長くクルマに乗っていながらドライブレコーダーには手を出せずにいたCar Watch編集部の北村氏。「種類がありすぎて選べなかった」ことも理由だそうだが、多くのドライブレコーダーの「見た目の野暮ったさ」や「操作の分かりにくさ」も購入に至らなかった大きな要因だという。

VREC-DH300Dを手に取るCar Watch編集部の北村氏(左)

 分厚く、ずんぐりした形状のドライブレコーダーは、「やっぱり、ちょっと、ダサい」と感じてしまう。せっかく装着するなら、見栄えするものがいいし、できれば運転中の視界の邪魔にならないコンパクトなものがほしい。だからといって小さすぎると、画面も小さくなるうえに、とっさに録画したいときなどに操作ボタンが押しにくくなるのではないか、という不安もあった。

操作性について説明してくれるパイオニアの佐藤さん

 その点、VREC-DH300Dはかなり理想型に近いドライブレコーダーになっている、と北村氏は感じたようだ。フロントカメラを内蔵したVREC-DH300Dの本体は、今までのドライブレコーダーにはないまるでミラーレスカメラのようなスタイリッシュなデザイン。ディスプレイは3.0インチの大画面だが、GPSを取付ブラケット側に内蔵させることで、本体はかなりの薄型になっている。

まるでミラーレスカメラのようなデザイン
マットな表面処理と光沢感のあるパーツの組み合せには高級感がある
取付ブラケットにGPSを内蔵することで、本体は薄型でコンパクトになっている

 カロッツェリアが狙ったのは「緩急あるデザイン」。「緩」となるインテリアの一部としてマッチするようなシンプルでなめらかな造形の中心に、「急」となる存在感のあるカメラが“クルマの目”であることを示しているのだが、そのカメラの存在が実に自然で、さもそこにあるのが当たり前のように思わせる、違和感のないデザインとなっている。その難しいバランスを成立させるために、デザイン部分だけでも何度も検討を繰り返したのだとか。

開発途中のデザインスケッチ

 大画面を実現できたのは、これまで正面に配置することの多かった操作ボタンを本体側面に移動したことも大きい。従来製品は画面の下に操作ボタンを並べていたが、それだとどうしても本体サイズが大きくなり、デザインの「野暮ったさ」にもつながっていた。VREC-DH300Dではボタンの配置を変えるとともに、ボタンに連動する操作ガイドを縦に並べて画面内に表示することで、操作の分かりやすさにも配慮している。

3.0インチの大画面液晶ディスプレイ
実際に車両に装着されている状態だと、一段と画面は大きく感じる
画面は大きいがフロントカメラのサイズは90.5×101.9×36mm(幅×高さ×奥行き)とコンパクトなので、ドライバー側からはルームミラーにほとんど隠れ、邪魔にならない
操作ボタンを右サイドへ配置することで、大画面でありながらコンパクトサイズに
メニュー画面では右端に操作ボタンに連動する操作ガイド(写真では上から「戻る」「上移動」「下移動」「決定」)が表示される
クルマの外から見ると、“クルマの目”のようなカメラで存在感を示しつつも、コンパクトですっきりとまとまっている

 大画面になったことで、フロント・リア個別のカメラ映像を映し出すときだけでなく、ピクチャー・イン・ピクチャーでフロント・リア映像を同時表示するときも実用的だ。映像を見る必要がないときは、大きくデジタル時計を表示しておくこともできるので、インテリアとしても役に立つ。もちろん時刻はGPSから取得するため手動調整は必要なく、常に正確だ。

カメラ映像の代わりに時刻を常に表示しておくこともできる

取り付けにも工夫と余裕。駐車監視にも対応し、安心度はさらに高まる

 VREC-DH300Dのポイントとなる部分は、「高画質」「高感度」「大画面」以外にもまだまだある。たとえば車両への装着しやすさの面でも工夫が多い。

 まず、フロントの取付ブラケットに接続する電源ケーブルは、L型の端子になっている。まっすぐ差し込むI型だと、どうしてもコネクタ部が飛び出してしまいケーブルの露出が目立つが、横方向にケーブルを逃がすL型だとよりコンパクトに装着できる。ドライブレコーダーをフロントガラスの上端ギリギリに寄せたいときなどは特にメリットが感じられるはず。

ブラケットに接続する電源ケーブルはL型で、配線時に都合がよい

 もう1つ、リアは9mもの長いケーブルを採用していることも特徴だ。従来、前後2カメラのドライブレコーダーにおいては、フロントとリアを接続するケーブルの長さが不足しがちなのが課題だった。映像品質を担保するためには仕方のないところでもあるが、ミニバンやワンボックスカーのような全長の大きい車両だと、同梱ケーブルだと長さが足りず、リアカメラの取り付けが難しい、という話も聞く。

 9mもの長さがあるVREC-DH300Dのケーブルであれば、余裕をもった引き回しの方法が考えられ、より目立たず、安全性の高い取り付けが可能になるだろう。リアカメラについても、ケーブルの引き回し方に合わせて都合のよい上下向きで設置できる仕組みになっている。そのままでは映像が逆さまになってしまう可能性があるが、設定で映像の上下を反転すればOKだ。

リアカメラは配線の向きが右になっても、左になっても問題なし。設定で映像を上下反転するだけ

 オプションの駐車監視ユニット「RD-DR001」(2021年夏発売予定)を組み合わせれば、クルマのエンジンオフ後も指定時間が経過するまで、もしくは指定した電圧に低下するまで録画し続ける駐車監視機能も利用できる。VREC-DH300Dは高性能なだけでなく、一般的にニーズの高い基本的な機能もきっちり抑えている。

駐車監視ユニット「RD-DR001」
別売のパイオニア製SDカードとの組み合わせで「SDカード寿命警告機能」が使える。SDカードの劣化などで録画されていない、というトラブルを防げるだろう

ユーザーのリアルな声に耳を傾け“本当に必要とされる機能・性能”を取り入れたドライブレコーダー

 こうした性能・機能の数々は、ユーザーからの要望、口コミ、販売店の声などが元になっているのだそう。たとえばVREC-DH300Dには録画映像を再生するための専用ソフトは用意されていない。ハイエンド機種が持つ先進運転支援機能(ADAS)のような凝った付加機能もない。しかし、録画映像は汎用的な動画プレーヤーで再生できれば十分だし、ADASは最近のクルマなら標準装備されているので結局使わない、と考えるユーザーもきっと多いはずだ。

 本当に必要とされる機能・性能に絞ることで、370万画素の高解像度やナイトサイト、大画面といった重要度の高い部分をリッチに盛り込み、必要性の薄いところは大胆に削る。それによって高いコストパフォーマンスを達成している、ということが言えるだろう。デザインの度重なる検討もそうだが、「開発者による徹底した実走行テストも行なっている」という事実からも、カロッツェリアがこの製品に注ぐなみなみならぬ気合みたいなものを感じてしまう。

 発売は5月予定とのことで、その日がとにかく待ち遠しい。パイオニアの本気が見えるこのVREC-DH300Dを自分のクルマで使える日が、今からとても楽しみだ。

※撮影した製品は開発中の仕様となるため、市販時と一部仕様が異なる場合があります。