ダンロップの最新オールシーズンタイヤを試す!

出ましたっ! ダンロップのオールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」! 急な雪でも慌てない「雪も走れる夏タイヤ」です。メーカーが自信を持ってオススメする「かなりスゴい夏タイヤ」だそうですが、ホントにこのタイヤが「ツカエル」なら、愛車のタイヤ関連に新たなメリットが多々あります。

例えば突然の雪予報。夜のニュースを見ていたら「えっ、明日の朝、雪だって!」なんてコトがありますよね。クルマでの通勤や送り迎えがイキナリ不可能に。急いでスタッドレスタイヤに履き替えて……というのも夜じゃもう無理! こりゃ困った。マジ困った。

あるいはクルマで移動中に突然の雪が。どうにか目的地に到着できるか……、と思ったけど、最後の100mの道には意外なほどの積雪。けっこうアリガチです。

でも、雪の道も走れるオールシーズンタイヤなら、まずはこういう問題が解決。急な雪でも慌てず、ちゃんと走れて、問題ナシ!

道路は雪がなくても駐車場や路地には雪が残っていることも……

ほんの少しの雪でも夏タイヤだとスタックしてしまいます

そんな時でもダンロップのオールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」なら大丈夫……、なハズ

また、ドライバーによっては「スタッドレスタイヤが必要な本格雪道や氷結路を走ることはない」って人もいると思います。首都圏だと「雪は年に数回なのでスタッドレスタイヤを買うほどでもないけど……」なんて人も多いハズ。つまり「雪も走れる夏タイヤ」で十分というドライバー。そんな人にはオススメできるのかも……?

というわけで筆者はダンロップのオールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」に興味津々。しっかり雪道を走れるなら、「ALL SEASON MAXX AS1」はイロイロとメリットがありそうだゾ! と。

でも「ALL SEASON MAXX AS1」は基本的には夏タイヤ。実際どうなの、雪道イケるの? それと、オールシーズンタイヤって、やっぱり夏タイヤほどドライ路面での性能は高くないのでは? あとノイズも大きいんじゃ? と、いろいろ疑問も出てきます。

じゃあ実際にオールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」の実力を試してみるしか! ということで、2019年10月に発売されたばかりの「ALL SEASON MAXX AS1」でひと足早く雪道を走ってきましたので、以降「ALL SEASON MAXX AS1」についてレポしていきます♪

ダンロップから発売されたオールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」の実力はいかに?

「ALL SEASON MAXX AS1」はどんな夏タイヤ?

まずはオールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」について。どんなタイヤなのか?

この「ALL SEASON MAXX AS1」は、基本的には夏タイヤ。でもオールシーズンタイヤということで、雪が積もった道でも走れるように設計されています。具体的にはスノーフレークマークと呼ばれる刻印があり、国際基準で定められたシビアスノー条件に適合していて、高速道路冬用タイヤ規制時でも走行が可能です。また、雪上走行の使用限界を示すプラットフォームも搭載。雪道走行にしっかり対応しているというわけです。

雪道も走れる夏タイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」

「SNOW」「M+S(マッド&スノー)」と並んである山に雪の結晶が描かれたマークが「スノーフレークマーク」

冬タイヤとしての使用限界を示すプラットフォームもある

雪をつかむ「スイッチグルーブ」と常温でも低温でも利く「超マルチコンパウンド」で雪道でもグリップを確保

雪上ブレーキ性能は夏タイヤのエナセーブ EC204より49%も高い

それから、ウェット路面にも強くタイヤ表面のVシェイプ主溝が水膜をタイヤ側面に効率よく排水し、安定したグリップ性能を発揮します。実は夏タイヤより深溝設計になっていて、ダンロップの代表的夏タイヤ「エナセーブ EC204」と比べると「ALL SEASON MAXX AS1」の排水容積は15%もアップしています。これにより、エナセーブ EC204より10%もウェットブレーキ性能が高くなっています。「ALL SEASON MAXX AS1」は1年を通してウェット路面に強いタイヤです。

Vシェイプ主溝で、スタッドレスタイヤが苦手なウェット路面にも強い

Vシェイプのパターンを生かすため回転方向指定タイヤとなる

夏タイヤよりも深溝設計とすることで排水容積を確保している

エナセーブ EC204と比較してウェットブレーキ性能を10%向上

それから「ALL SEASON MAXX AS1」はオールシーズンタイヤなのに音が静かだそう。エナセーブ EC204と比べると、パターンノイズの差は0.3dB。夏タイヤとほとんど変わらない静かさで走れるタイヤ、というイメージです。……でもホントにぃ? 筆者的には「オールシーズンタイヤで走っているとタイヤが発する音でウルサイ」という印象がありますけど……、まあこのあたりは実際に走って検証したいところです。

もう1つ、この「ALL SEASON MAXX AS1」はライフ性能にも優れています。なんとエナセーブ EC204よりも長く使えるライフ性能があり、つまりはより長く走れて、もちろん雪上性能やウェット性能やドライ性能も長持ち。お財布にもかなり優しいオールシーズンタイヤというわけです。

ただし氷は苦手。スタッドレスタイヤのような氷上性能は期待できませんので、非降雪地域でも冬の時期に頻繁に氷点下になるようなエリアにお住まいの方は「WINTER MAXX」シリーズなどのスタッドレスタイヤを使いましょう!

センターに幅広リブを、さらにブロックをスクラム配置することで、ドライ路面でも夏タイヤのようなはしりを実現。さらに静粛性能でも夏タイヤに近い静粛性を確保

「ALL SEASON MAXX AS1」の路面適合表。雪上やシャーベットではスタッドレスタイヤには劣るが走行可能。ただし氷上は苦手

ドライ路面での走行性能をチェック! おぉ〜っと驚ける静粛性♪

早速オールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」で試走です。まずはドライ路面を走行。どんな感じで走れるのかな?

実は試乗車に最初に装着されていたタイヤがスタッドレスタイヤでした。ダンロップの「WINTER MAXX 01」。これでしばらく走った後、タイヤをオールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」に履き替えたという流れです。

ホンダ「N-BOX」に「ALL SEASON MAXX AS1」を履かせてインプレッション

で、「ALL SEASON MAXX AS1」に履き替えて走り始め、まず体感したのが「しっかり感」です。「WINTER MAXX 01」もスタッドレスタイヤとしてはかなり剛性感があってしっかりした踏ん張りが感じられます。とは言っても夏タイヤと互角とまでは……。そして雪も走れる夏タイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」には、夏タイヤならではの剛性感が感じられました。冬タイヤから夏タイヤに履き替えたときの「やっぱり夏タイヤのほうがしっかり感があるんだなあ」というあの感じを思い出しました。

そんな違いを感じつつ、「ALL SEASON MAXX AS1」で街中や高速道路を走行。街中の交差点でも車体のふらつきが抑えられて安定したグリップを発揮してくれますので、とてもスムーズに曲がれます。車線変更時も同様に頼りなさはナシ。特に高速道路での車線変更は安定感があって安心&安全。快適に走行できました。

市街地の交差点などでも頼りなさはなく夏タイヤ感覚で走れました

高速道路のレーンチェンジなども安心感があります

あと! 驚いたのが「音の静かさ」! 夏タイヤのエナセーブ EC204と比べてパターンノイズの差は0.3dBと前述しましたが、いや〜ホントに静かですわ〜。オールシーズンタイヤは静粛性に難アリ、とか言われがちですが、「ALL SEASON MAXX AS1」はその定説を打ち破っている。

やや余談ですが、筆者はいつもホンダN-VANに乗っていまして、今回乗った試乗車はN-BOX。商用車N-VANと乗用車N-BOXを比べると、スタッドレスタイヤを履いたN-BOXでも「ん〜静粛性が高い軽自動車だな〜」とか思っちゃう感じです。そして、そんなN-BOXにオールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」を履かせて走ると、「あらまあホント静かだわ〜快適に走れるわ〜」と改めて感心するほどでした。

パターンノイズが大きくなりそうな高速走行時でも静か。オールシーズンタイヤだからうるさいという印象は感じませんでした。これってスゴいかも!!

いいな、このオールシーズンタイヤ。でも雪道もしっかりテストしないとネ!

ということで、今度は雪を求めてスキー場のある山へと向かいます。あいにく雪が降ったのは数日前で、山へと続く道路はドライ路面の状態。なのである程度のペースで山道を上っていきましたが、走っている感じは夏タイヤそのもの。連続するカーブでもタイヤがグニャリとするようなことがなく、しっかり踏ん張って、ごく普通に走れる。そして静か。なかなか楽しい山岳ワインディングのドライブとなりました。

雪を求めて山へ。ドライ路面のワインディングも気持ちよく走ることができました

ステアリングを切ったときにしっかりと情報が伝わってくるので不安感がないです

積もった雪でもスタックせず、しっかり曲がるし、ブレーキもしっかり止まる!

楽しく静かにワインディングのドライブを重ねると、標高も上がってきて、ところどころに雪が見え始めます。さぁ、「ALL SEASON MAXX AS1」の雪上テスト開始です。

まずはたっぷりと雪が積もった道路脇。ほかにクルマのない駐車場に入ります。夏タイヤで入っていったら、まあ絶対にスタックしてしまうといったシチュエーション。いざとなったら牽引してもらって脱出できるよう、スタッドレスタイヤを履いた伴走車にも来てもらっています。

で、ちょっと緊張しつつ雪の中にクルマを進めると……、あれ? 全然滑る気配がない。スタッドレスタイヤのような感覚で積もった雪の中を進むことができます。これならスタックはまずしない! と自信がわいてきます。

恐る恐る雪道に入ってみると……、あれ? まるでスタッドレス感覚!! 何コレ!? スゴいかも!!

そして、試しに停止状態から少々強めにアクセルを踏んでみると……、ぐいっと加速してタイヤがしっかりと雪を捉えているのが分かる。そのままハンドルを切ってみてもしっかり曲がるしブレーキもギュッと効く。雪をしっかり噛んでグリップしている感じです。

駐車場の中なのでもちろんスピードは出していませんが、これなら街中で走るくらいの速度域であれば全然問題なさそう。このくらい雪上性能が高ければ、朝に予期せぬ積雪があったとか、目的地手前が予想以上に積雪していたという場合でも、焦ることも慌てることもなく、雪道を前進できますね〜♪

あえて滑らせるつもりで強めに加速してみてもしっかりと雪をつかんでグッと加速。これは頼もしい♪

そのままペースを上げても曲がるし止まる

雪の残った通路でペースを上げてみてもしっかりブレーキも利くし不安感はない

タイヤが雪をしっかりつかんでいるのが感じられて安心感があります

通った跡を見るとタイヤが雪をしっかりとつかんでいるのが分かります

考えてみれば、関東あたりでもけっこうあるシチュエーションです。近年アリガチな「大雪の後の街中」なんかでも、こんな感じで「駐車場だけ雪がいつまでも残っている」みたいな状態だったりします。そんな状況でも「ALL SEASON MAXX AS1」なら全然問題なさそうです。

圧雪にも強い! シャーベットも何のその! キてるぞこのタイヤ!

その後もいろいろなシチュエーションで「ALL SEASON MAXX AS1」を試しました。試すほどに「これってスタッドレスなの?」的な雪上での頼もしさが感じられたりもしました。

例えば日陰にあって雪が残るお店の駐車場。駐車場の雪はクルマに踏み固められた上にうっすら解けだしているような状態。日陰なので雪が解けきらずに残っているようです。こういう状況、関東でも雪が降った後によくありますよね。「なんでココだけこんなに雪が……」みたいな。でも「ALL SEASON MAXX AS1」だと危なげなく進めます。しっかり曲がってしっかり止まる。やるじゃん「ALL SEASON MAXX AS1」。

しっかりと踏み固められた上にうっすらと解けだしているような……、でも大丈夫♪

ほかにも、雪が残った道やシャーベット状の滑りやすい路面などを見つけては走ってみましたが、ほとんどのシチュエーションでしっかり走ってくれました。雪の高速道路などは試せませんでしたが、一般道を走るような速度域であれば、積雪があっても十分安心して走れる「ALL SEASON MAXX AS1」です。

アスファルトの上にうっすらと残ったシャーベット状態の雪。こういう状況でブレーキを踏んでみてもしっかりと制動力が働きます

こういう解けかかった状態って滑りやすいんですよね

そんなシチュエーションでも普通のペースで走っている分には不安を感じることはなかったです

ほとんどクルマが通っていないような雪道も走ってみましたがけっこうしっかりグリップしてくれて、スタックするような不安はありませんでした

それと、その翌日の早朝、街中の細い路地を走っていると、建物の日陰の部分にだけ雪が残っている状況がありました。気温が低いこともあってガッツリと踏み固められた雪はほとんど氷のツルツル状態。しかも交差点の手前。これはヤバそうなシチュエーション。前日に体感した「ALL SEASON MAXX AS1」の雪上性能と安心感は体験済みですが、たぶん凍っていそうなこの状況はさすがに不安になってきます。

交差点の手前でもあるのでかなり慎重に進んでみましたが、結果オーライ。ゆっくり走ったらちゃんとグリップして止まってくれました。

しかし、あくまで氷は苦手なので過信は禁物。ダンロップでも過酷な積雪・凍結路面での走行はスタッドレスタイヤを推奨していますし、普通の夏タイヤよりは少々優れた氷上性能はあるようですが、日頃から凍結路面が多いような寒いエリアを走るなら「WINTER MAXX」シリーズなどのスタッドレスタイヤを使うべきですね。

交通量の少ない裏路地。建物の影で一時停止の手前だけ雪が残っている状況。早朝なのでうっすら凍っているような状況でしたが、しっかりと止まってくれました

ほとんどの路面で雪が解けているのに所々に残った雪。そんなシチュエーションでも安心して走れます

ただし凍結路面はスタッドレスタイヤのようにはグリップしないので、あくまで慎重に走っています

といった感じのオールシーズンタイヤ「ALL SEASON MAXX AS1」による試走。高い雪上走行性能および雪上ブレーキ性能で、急な雪にも焦らず慌てず運転できる。またウェット性能も高く、これは一年を通して頼れる性能ですよね。ちなみに、エナセーブ EC204とこれら性能を比較すると、「ALL SEASON MAXX AS1」は雪上ブレーキ性能で49%アップ、ウェットブレーキ性能で10%アップ。ナニゲにウェット路面に強いというのは夏も冬も安心感があります。そしてこういった性能に加え、オールシーズンタイヤなのに高い静粛性がある。エナセーブ EC204に近い静かさがあるので、これまた1年を通して快適に走ることができます。

ドライもウェットも全然違和感なく走れて、さらに雪の上でも大丈夫な「ALL SEASON MAXX AS1」。スタッドレスタイヤが必須ではない非降雪地域に居住しているが、もしかしたらたまに遭遇するかもしれない雪道に備える感覚でスタッドレスタイヤを履こうかな……という場合の夏タイヤの1つの選択肢として、この「ALL SEASON MAXX AS1」はヒッジョーに有力です!

よくよく見れば、ライフ性能が高いので長く使えて性能も長持ち。1種類のタイヤを通年使うわけですから、履き替えの手間やタイヤ保管場所の問題もなく、トータルではお財布に優しいタイヤと言えると思います。とりわけ非降雪地域だけど仕事でクルマを使うとか、年に数回の雪でもクルマを走らせなければならないドライバーにとっては性能面でもコスト面でも高いバランスがある「ALL SEASON MAXX AS1」。知るほどに実用性と魅力が感じられる新型オールシーズンタイヤですので、ぜひじっくりと吟味してください♪

夏タイヤのような走り心地なのに雪道でもけっこうしっかりとグリップしてくれて、しかも静かだしライフも長くて、非降雪地域に住んでいる人にはオススメできそうです!!