2013フランクフルトショー

アウディ、「スポーツクワトロ」30周年を記念した「スポーツクワトロコンセプト」

ジウジアーロとのコラボモデル「ナヌーククワトロコンセプト」も展示

プレスカンファレンスでは「スポーツクワトロコンセプト」「ナヌーククワトロコンセプト」「A3カブリオレ」「S8」と多くのモデルが公開された
2013年9月12日~22日(現地時間)

独フランクフルト Messe Frankfurt

 フランクフルトショーでは、専用の「agora」と呼ばれる会場を設けて展示を行っているアウディ。内観は、メガシティとグリーンを融合させた先進的なイメージを採用し、アウディブランドの都会的かつ環境にも配慮したコンセプトを示している。

プレスカンファレンスの様子

 ハイライトとなった「スポーツクワトロコンセプト」は、WRCで多くの勝利を記録した「スポーツクワトロ」の誕生から30年が経ったことを記念して開発されたコンセプトカー。アウディの伝統となるクワトロ技術を受け継ぎ、パワートレーンは最新のプラグインハイブリッドを採用した伝統と革新を合わせた現代のスポーツクワトロになる。

 エンジンはV型8気筒4リッターターボで、8速ティプトロニックのトランスミッションとの間に110kWを出力する電動モーターをセット。エンジンとモーターの統合出力は、最高出力が700HP、最大トルクが800Nmと発表されている。0-100km/h加速はわずか3.7秒で、最高速は305km/hをマーク。エンジンとモーターはクラッチで切り離すことができ、EVモードでの走行も可能。

スポーツクワトロコンセプトのボディーサイズは4602×1964×1386mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2784mm。シャシーやボディーパネルはアウディの軽量化技術が導入されていて、ドアとフェンダーはアルミ製、ルーフとエンジンフード、リアハッチなどはカーボン製。そのほかもアルミと高張力鋼板を統合した軽量部材を用いることで、車重を1850kgに抑えている

 一方、フォルクスワーゲングループに参画したイタルデザイン・ジウジアーロとのコラボレーションで生まれた2ドアクーペの「ナヌーククワトロコンセプト」も初公開となった1台。

 全高は低く抑えられているが、車高は下げておらず、コンセプトとしてはクロスオーバーモデルとなる。そのため、レーストラックからワインディング、オフロード、雪道などあらゆるシーンで活躍することを想定しており、装備するアダプティブエアサスペンションは車高を3段階で設定できる。標準設定となる「ノーマル」、ノーマルから30mm低い「ロア」、ノーマルから40mm高い「ハイ」というのが、その3段階だ。

 ユニークなのはリアミッドに搭載されたパワートレーンで、なんとV型10気筒5.0リッターの直噴ディーゼルエンジンを採用。最高出力は544HPで、最大トルクは1000Nmを発生。トランスミッションは7速のSトロニックになる。

ナヌーククワトロコンセプトのボディーサイズは4541×1990mm×1337mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2710mm

 そしてプロダクションモデルのA3では、新たにオープントップの「A3カブリオレ」が加わることになった。

 ソフトトップの幌は、50km/h以下での走行シーンなら18秒で開閉することが可能という。カラーはブラックが標準でブラウン、グレーも選ぶことができる。搭載エンジンはガソリンモデルのTFSIが1.4リッターもしくは1.8リッター。ディーゼルのTDIが2.0リッター。スポーツモデルのS3は2.0TFSIを採用する。もっともベーシックな1.4TFSIは、最高出力が140HPで、5.0L/100kmという燃費性能を持つ。

 A3カブリオレは、2014年の初旬からデリバリーが始まる予定で、もっとも安価な1.4TFSIで3万1700ユーロ(9月18日時点の為替レートで約419万円)とアナウンスされている。

ソフトトップの幌を採用するA3カブリオレ。50km/h以下なら18秒で開閉可能としている
アウディブランドのフラグシップモデルとなる「A8」も新型に生まれ変わった。外観ではマトリックスLEDと呼ばれるヘッドライトが印象的で、パワートレーンも刷新。ガソリンモデルはV型6気筒 3.0リッターとV型8気筒 4.0リッターのTFSIとトップエンドのW型12気筒。さらに2種類のディーゼルエンジン(3.0TDIと4.2TDI)が用意される。加えて2.0TFSIのハイブリッドモデルがあり、こちらは6.3L/100kmともっとも燃費性能に優れたモデルとなる。写真のS8は、4.0TFSIをベースに専用チューニングを行い、最高出力を520HPまでアップ。0-100m加速は4.1秒。ボディーサイズは5140×1950×1460mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2990mmとなっている

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。