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アウディ、新型「A8」「A8 L」「S8」「A8 L W12」発表会

「マトリクスLEDヘッドライト」は9億6610万5422通りの照射パターンを用意

新型「A8 4.0 TFSI quattro」と並んでフォトセッションに臨むアウディ ジャパン 代表取締役社長 大喜多寛氏
2014年3月13日 A8/A8 L発売

2014年5月8日 A8 L W12/S8発売

A8:970万円~1240万円

A8 L:1370万円

S8:1620万円

A8 L W12:2085万円

 アウディ ジャパンは3月13日、新型「A8」シリーズの発表会を行った。「A8」「A8 L」は同日発売で、価格は970万円~1370万円。「S8」「A8 L W12」は5月8日の発売で、価格は1620万円~2085万円。

モデルエンジン変速機駆動方式ステアリング価格
A8 ハイブリッド直列4気筒 DOHC 2.0リッター直噴ターボ8速AT(ティプトロニック)2WD(FF)9,700,000円
A8 3.0 TFSI quattroV型6気筒 DOHC 3.0リッター直噴スーパーチャージャー4WD(クワトロ)左/右9,800,000円
A8 4.0 TFSI quattroV型8気筒 DOHC 4.0リッター直噴ツインターボ12,400,000円
A8 L 4.0 TFSI quattro13,700,000円
S8V型8気筒 DOHC 4.0リッター直噴ツインターボ16,200,000円
A8 L W12 quattroW型12気筒 DOHC 6.3リッター20,850,000円

 A8はアウディの車両ラインアップで最上位に位置するモデル。アウディ独自のアルミボディー技術「ASF(アウディ スペース フレーム)」、4輪制御システムの「quattro(クワトロ)」といった基本技術を採用しつつ、パワートレーンではシリーズ唯一の2WD(FF)車でもある直列4気筒 DOHC 2.0リッター直噴ターボにモーターアシストを組み合わせたハイブリッドに加え、6.3リッターのW型12気筒など5種類のエンジンバリエーションを設定する。また、ボディーではA8 L、A8 L W12などグレード名にLが付くモデルで、ホイールベースを通常モデルから130mm延長。車内スペースを拡大して居住性を高めている。

 このほか、25個のLEDでハイビームを構成する「マトリクスLEDヘッドライト」を初採用。カメラを使ったセンシングによって対向車や先行車に光を当てないよう適宜制御し、ハイビームによる明快な視界を気軽に利用しながら夜間走行できるようになっている。

 装備面では、360°ディスプレイ(サラウンドビューモニター)によって駐車時にステアリングを自動操作してくれる「パークアシスト付アウディパーキングシステム」を全車標準装備。オプションにストップ&ゴー機能付きの「アダプティブクルーズコントロール」、自動ブレーキ機能となる「アウディブレーキガード」、自動ステアリング修正機能を持つ「アクティブレーンアシスト」、歩行者や大型の動物などを検知できる「ナイトビジョン アシスタント」などを用意し、ハイエンドモデルにふさわしい先進性を手に入れている。

「A8 4.0 TFSI quattro」
「A8 L 4.0 TFSI quattro」
S8
A8 L W12
発表会では新型「A8」シリーズで注目の装備「マトリクスLEDヘッドライト」をイメージさせる光の演出が行われた

新型A8でトップエンドセグメントでの存在感をさらに高めたい

「新型A8はさらにエレガントでダイナミックなデザインに進化しました。A8は我々アウディのクラフトマンシップの粋を集めたクルマです」と語るアウディ ジャパン 代表取締役社長 大喜多寛氏

 発表会では、まずアウディ ジャパン 代表取締役社長 大喜多寛氏が車両概要などを説明。このなかで大喜多氏は「アウディは“レースは技術の実験場”と定義して、ル・マンなどいろいろなレースで技術を磨いています。エアロダイナミクスや安全性、クワトロシステム、さらにアウディ スペース フレームなどが挙げられますが、このアウディが持っている最先端の技術をA8には搭載しています。また、現在ではアウディのインテリアはいろいろな会社のベンチマークにもなっていますが、A8ではさらに進化させたデザインを車両に投入しています」と新型A8シリーズの魅力を紹介した。

 また、2000年から日本での販売を開始したA8シリーズが、世代を重ねるごとに販売台数を右肩上がりに高め、2006年~2010年の第3世代モデルでは5年間で約1300台を販売。続くモデルでは2011年~2013年の3年間で前モデルの販売台数を大きく超え、プレミアムクラスの市場で順調に成長していることをアピール。「このクルマ(新型A8)でトップエンドのセグメントで存在感をさらに高めたい」と語り、2013年度の販売台数から2割増となる650台を新型A8の販売目標にすることを明らかにした。

 続いて、独アウディのA8商品マーケティング担当であるユリアン・レンツ氏に解説がバトンタッチされ、より具体的な技術解説を実施。レンツ氏からは、内外装デザインの注目点、日本市場からの強い要望により実現したトランク容量の拡大、さらに軽量化を推し進めたASFなどを説明したほか、注目の新技術となっているマトリクスLEDヘッドライトについて、プレゼンテーション用のダミーヘッドライトを使ったデモンストレーションによって詳しく解説した。

「新型A8のエクステリアデザインに機能を持たないラインはありません」と解説する独アウディ A8商品マーケティング担当 ユリアン・レンツ氏
マトリクスLEDヘッドライトについてレンツ氏は「世界最高のヘッドライト技術といっても過言ではない」と強調

 25個のLEDハイビームを持つマトリクスLEDヘッドライトは、フロントウインドー上部に設置されたカメラセンサーによって車両前方の状況をリアルタイムで認識。ハイビームの光によって幻惑してはいけない対向車や先行車の存在と位置をチェックして、対応する位置のLEDハイビームを消灯させる機能を持つ。これにより、夜間走行時に気兼ねなくハイビームで明るい視界を確保できるようになる。既存のシェードなどを稼働させるシステムと比べてON/OFFのレスポンスが高く、照射する部分と暗いままにする部分を複雑に織り交ぜることも可能になる。デモンストレーションではペンライトを持ったレンツ氏がハイビームが照射している位置を横切ると、レンツ氏の歩く部分だけが消灯していく光景が披露された。

世界初の「幻惑防止ハイビーム」となったマトリクスLEDヘッドライト
マトリクスLEDヘッドライトの内部構造イラスト
フロントウインドーに設置されたカメラで車両前方の状況を認識してLEDハイビームを制御。このカメラはアダプティブクルーズコントロールの補助センサーとしても利用されている
レンツ氏が手に持つペンライトはそれほど明かりが強くないものだが、カメラはしっかりと認識してハイビームを部分消灯している
ペンライトを下に向けるとハイビームが点灯
幻惑防止機能の作動イメージ。最大8対象まで同時に認識可能。曲がり角などではコーナリングランプとしても機能する
25個の小さなLEDハイビームを組み合わせて使い分けることで、じつに9億6610万5422通りという照射パターンを実現。また、マトリクスLEDヘッドライトは、エンジン始動に合わせてライト類を点灯させる「ライトショー」という演出にも利用される
人間は外部情報の90%を視覚から得ているが、暗闇にとても弱く、ユーザーに最高の光を提供したいという思いが開発の動機になっているという
トランクは奥行きを103mm、高さを20mm広げ、10Lを容量拡大した530Lとなっている。ラゲッジネットはハイブリッドモデル以外に標準装備
A8 L 4.0 TFSI quattroに搭載されるV型8気筒 DOHC 4.0リッター直噴ツインターボのCEU型エンジン。最高出力320kW(435PS)/5100-6000rpm、最大トルク600Nm(61.2kgm)/1500-5000rpmを発生。大排気量のV型8気筒/W型12気筒エンジンは気筒休止システムの「シリンダーオンデマンドシステム(COD)」を採用する
アルミボディーの「ASF(アウディ スペース フレーム)」技術も徹底追求し、大柄なラグジュアリーサルーンながら一番軽いA8 ハイブリッドで1930kg、一番重いA8 L W12 quattroでも2200kgとなっており、“フルタイム4WD搭載のあらゆる競合車より軽い”としている
発表会場内にはAFSで利用されるボディーフレームの一部が展示されていた
A8 L 4.0 TFSI quattroは255/45 R19タイヤを装着
A8 4.0 TFSI quattroは265/40 R20タイヤを装着
ホイールベースを延長したモデルには車名バッヂにLが追加される
LEDリアコンビネーションランプを全車に採用
A8 L 4.0 TFSI quattroのインパネ
ステアリングは全車本革巻き
2眼式メーターの右側に300km/hスケールのメーターパネルを設定
ヘッドアップディスプレイはW12 quattroで標準。ほかのグレードはオプション設定となる
パドルシフトは全車標準装備
8速ATのティプトロニックを全車で採用する。ギヤ比なども全車共通
センターコンソールにMMI(マルチメディアインターフェイス)の操作パネルを設置。パネル右側にある1~6の数字が記載された部分はタッチパッドとなっており、オーディオなどの操作に対応する。8インチモニターはリトラクタブルタイプ
「Bang&Olufsen アドバンスト サウンドシステム」はW12 quattroに標準装備。ほかのグレードは84万円高のオプション設定
バルコナの本革シートを全車に設定。シートカラーは写真のブラックを含めて全9種類を用意している
A8 L 4.0 TFSI quattroのペダル類
3120mmのホイールベースを持つA8 L 4.0 TFSI quattroのリアシート。十分に広く見えるが、これでもフロントシートを撮影用にかなり後方に下げている状態。運転席をドライビングポジションに設定するとさらにスペースが拡大する
ロングホイールベースモデルはリアシートが大型のセンターコンソールでセパレートされ、乗車定員は4人となる
センターコンソール後方の収納スペースは、さらにトランクスルーも可能
後席のセンターコンソールにはエアコンやオーディオの操作パネル、リア電動シートの調整機能、ポップアップ式のテーブルやシガーソケットなどを備える
後席上のルーフに設定される「照明付メイクアップミラー」はロングホイールベースモデル専用装備
電動サンブラインド(リア/リアサイド)は全車標準装備
A8 L 4.0 TFSI quattroのリアドア。レザーパッドやウッドパネルなどを装着する
電動サンブラインドはリッドも備える
リア電動シートのメモリー機能スイッチはドアパネルにも設定
アームレスト部分に収納スペースを用意
ドアパネルに格納式の灰皿を設定。灰皿後方のボタンを押すと灰皿のロックが解除されて取り外せる仕組み。前後に長いので葉巻などにも対応する

(編集部:佐久間 秀)