2015フランクフルトショー

日産、コンパクトクロスオーバーとスポーツカーが融合した「Nissan Gripz Concept」世界初公開

次期フェアレディZでこのデザインを採用する可能性は?

2015年9月19日~27日(一般公開)

独フランクフルト Messe Frankfurt

スポーツクロスオーバーのコンセプトモデル「Nissan Gripz Concept」

 日産自動車は、ここフランクフルトショーの会場でスポーツクロスオーバーのコンセプトモデル「Nissan Gripz Concept(ニッサン グリップス コンセプト)」を世界初公開した。

 ロンドンの日産デザインヨーロッパと日本の日産グローバルデザインセンターが共同でデザインしたという「Nissan Gripz Concept」は、コンパクトクロスオーバーの性能と実用性、スポーツカーのワクワク感とパフォーマンスを兼ね備えたモデル。

 3月のジュネーブモーターショーで公開されたハッチバックコンセプト「スウェイ(Sway)」で採用したVモーショングリル、フロント/リアのブーメラン型ランプ、フローティングルーフ、キックアップCピラーという4つの要素を取り入れつつ、サファリラリーカー「240Z」が持つ「強さ」と、ツール・ド・フランスのロードレース用自転車が持つ「軽さ」という異なる2つの性質を備え、“コンパクトクロスオーバーというジャンルの究極の姿”を表現した。

 ボディーサイズは4100×1890×1500mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2580mmとし、同社のコンパクトSUV「ジューク」(15RS/15RX)と比べ35mm短く、125mm広く、65mm低いサイズになっている。そのエクステリアではフロントドアにガルウィングを、リアドアに後ろ開きのハーフドアを採用し、Bピラーを排除することで2+2シートへの乗り込みを容易にした。

 また、レッド・オレンジのボディーカラーをベースに、フェンダーアーチやリアエンドなどはカーボン仕上げとし、さらにAピラーなどはマットブラックに、ルーフは光沢のあるパネルを中心に両側の座席の上部に鉛のようなグレーの複合パネルを使用するなど、カラーリングも独特の仕上がりを見せている。そのほか、ライトの中にカメラを搭載することで運転シーンを録画できるといったユニークな機能も備えた。

「Nissan Gripz Concept」のボディーサイズは4100×1890×1500mm(全長×全幅×全高)、ホイールベース2580mm。サファリラリーカー「240Z」が持つ「強さ」と、ツール・ド・フランスのロードレース用自転車が持つ「軽さ」という異なる2つの性質を備えるのが特徴

 一方、エクステリア同様にインテリアでもマットグレーと深い赤みがかったオレンジの色のコンビネーションを使用。また、レース用自転車のサドルからインスピレーションを受けたシートとセンターコンソールを採用したほか、3スポークのステアリングホイールはエクステリアのタイヤ・ホイールをイメージしたもので、タイヤのサイドウォールに使用されている特注グラフィックも再現するこだわりを見せている。

 パワートレーンについては、EV(電気自動車)の「リーフ」などで得たノウハウをベースにしたシリーズハイブリッドEVシステム「Pure Drive e-Power」を搭載。リーフと同じモーターを採用し、最高出力80kW/最大トルク254Nmを発生するという。

インテリアではマットグレーと深い赤みがかったオレンジの色のコンビネーションで仕上げた。また、レース用自転車のサドルからインスピレーションを受けたというシートやセンターコンソールを採用している

 車名に「Z」の文字が入ることに加え、サファリラリーカーの240Zを彷彿とさせるカラーリング、現行フェアレディZのようなルーフラインを見るにつけ、「次期フェアレディZはSUVスタイルになるのか?」と勘ぐってしまうが、同社の専務執行役員兼チーフクリエイティブオフィサーの中村史郎氏が「このコンセプトカーは次期型として開発したものではなく、我々がコンパクトクロスオーバーというセグメントでどこまで挑戦できるか、その極限を表している」とコメントしているとおり、現時点でこのデザインを採用したモデルが登場することはないようだ。

編集部:小林 隆