【東京オートサロン2012
トヨタ/TRDやトムス、G'zのコンセプトカーを多数出展

「86」ベースのカスタムカーが人気

広いスペースに15台の車両を展示するトヨタブース

2012年1月13日~15日
幕張メッセ



 トヨタ自動車は、東京オートサロンの会場にTRD(トヨタテクノクラフト)やトムス、G'zなどの手によるコンセプトカーを多数出展した。

 昨年に引き続き最大級のスペースを持つブースに並ぶのは、話題のFRスポーツカー「86(ハチロク)」をはじめ参考出展車や市販乗用車など計15台。どのモデルも単なるドレスアップカーレベルではない仕上がりで、同社の本気度が見て取れる展示となっている。

 一般公開に先立ち行われたトークショーには木下隆之、景山正彦、飯田章、脇坂寿一の4選手が参加。例年ならここで今年のスポーツプロジェクト概要が発表されるところだが、今回は「86によるニュル24時間参戦」の公表のみ。もしかすると何か隠しダマが用意されているのかもしれないが、そこは今後の発表を待ちたいところだ。

トークショーを行った木下隆之、景山正彦、飯田章、脇坂寿一の4選手iQスーパーチャージャーの前で今年の活躍を約束ブースには物販スペースが設けられており、各種グッズが購入可能となっている

 ブースの一番人気となっているのは、TRDとトヨタモデリスタによるカスタマイズが施された2台の86。もっとも奥まった位置に展示されているにもかかわらず、常に黒山の人だかりとなっていた。それもそのはず、なんとドアを開け、自由に座れる状態になっているのだ。ノーマルモデルではないとはいえ、この状態の展示は異例中の異例。土・日曜も間違いなく大混雑が予想されるため、興味があるなら真っ先にチェックしておきたいところ。

86 MODELLISTA Version
 トヨタのカスタマイズブランド、モデリスタによるカスタマイズモデル。ドレスアップに主眼を置いており、エアロキットなどによりスタイリッシュなイメージを追求。車高もノーマルのままとのことで「かっこよくスマートに乗りこなしたい」というユーザーにはピッタリの仕様となっている。これらのパーツは一部を除きクルマの発売と同時にリリースされる予定だ。

フロント、サイド、リアのエアロキットによりイメチェンヘッドライトとリアコンビランプにはガーニッシュカバーを装着
86専用となるブラスメタリックカラーのホイールサイドビューのアクセントとなるドアモールシルバーのインテリアパネルにより上質感をアップ。ボルドーブラックカラーも用意される

86 TRD Performance Line
 一方、やっぱり走りが重要というユーザー向けとなるのがTRDバージョン。こちらは全長調整式の車高調をはじめ、モノブロックキャリパー、マフラー、タワーバーと本気走りが楽しめるパーツが用意されている。こちらも一部を除きクルマの発売と同時にリリースされる予定だと言う。

ノーマルよりアグレッシブな雰囲気に変身リアアンダースポイラーはディフューザー的な造形。マフラーもスポーツタイプを装着する下まわりにはボディー剛性を高めるメンバーブレースを装着
エンジンはノーマルながらストラットタワーバーを追加。ラジエターキャップやオイルフィラーキャップも同社のモノ
ホイールは18インチの鍛造タイプ。写真のモノブロックブレーキキットのほか、ライト層向けにスポーツタイプのブレーキラインやパッドも用意各ブランドにより発売が予定されているパーツの展示も。クルマの発売と同時にかなりのカスタマイズが楽しめそうだ
スポーツシートやシフトノブなど、インテリアパーツも豊富に用意されている

GAZOO Racing TOYOTA FT86ニュルブルクリンク耐久レース参戦車両
 もっとも奥まった位置にはニュルブルクリンク耐久レースに電撃参戦したFT86の姿も。ボディのシルエットを分かりづらくするという渦巻きパターンがちょっと新鮮。

GAZOO Racing TOYOTA FT86
室内にはロールケージが張り巡らされるほか、数々の軽量化対策が施されているが、市販車のイメージも残っている

GRMN iQ Superchargerプロトタイプモデル
 2009年に100台限定で発売されたiQ GRMNの第2弾。初代はサスペンションを中心としたリファインだったが、今度のモデルはスーパーチャージャーを装着することで、ノーマルを大きく上回る130PS/18.3kgmのスペックを実現。トランスミッションは今回も6速MTとなるが1、3、6速のレシオを変更してクロス化するとともに、ファイナル変更によりローギヤード化。よりキビキビとした走りを可能にしている。

 発売は今夏で限定数は100台の予定となっている。価格は「初代(1,972,000円)よりは高くなるものの、シグネット(アストンマーチンブランドで販売されているiQベースのOEMモデル)よりは安い」らしい。

専用バンパーやオーバーフェンダーにより精悍な印象が強まった。さらにクォーターパネルやドアパネルも専用パーツだ
写真では見えないが、エンジン前側下部にスーパーチャージャーが装着されているエンケイ製のホイールを装着。タイヤサイズは195/55 R16専用のリアバンパーはディフューザー付
専用スポーツシートをはじめレッドステッチ入りのステアリングやシフトノブなど、インテリアもレーシーな雰囲気満点

GRMN Vitz Turbo Concept
 ターボの装着によりフォーマルはもちろん、サーキット走行まで可能なオールラウンダーがコンセプト。ベース車両は日本には未導入となる豪州仕様の3ドア、1.5リッターエンジン搭載車で、ターボの装着によりなんと180PSを実現する。「コンセプト」と名付けられているが、市販を目標に開発が進んでいる。

3ドアモデル&エアロパーツ、加えてオーバーフェンダーという組み合わせはなかなかにスポーティ。このルックスだけでも人気が出そうだエンジン後方に設置されたタービンとインタークーラーを結ぶパイプがターボモデルの証し
ホイールはBBSの18インチ。タイヤは225/40 R18とコンパクトクラスのクルマとは思えないチョイスインテリアはセミバケットシートやレッドステッチ、カーボン調パネルなどレーシーなムード

MARK X G SPORTS Concept II
 昨年のオートサロンに出展されていたコンセプトモデルの進化形。よりスタイリッシュに、そして量産化を視野に入れたモデルとして製作されているのが特長だ。トヨタのFRといえば86が話題になるが、マークXだって大排気量のFR車。そこで走りの魅力を引き出すためにスポット増しやフロア下ボディを補強することで剛性をアップ。さらに15mmローダウンとなるスポーツサスペンションにより、サーキット走行が可能なレベルまでパフォーマンスをアップしている。年内の市販化を目指しており、価格はまだ検討中とのことだが、ベース車の600,000円アップ程度に抑えたいと言う。

エクステリアはすぐにマークXだとは気づかないほどスポーティホイールは鍛造の19インチ。これだけでも相当なお値段なハズ
リアバンパーはディフューザー形状。さらにアンダーカバーも専用設計による大型化が行われるホワイトカラーのメーターパネルも専用品
シートは合皮とアルカンターラのコンビタイプ。フロントシートはホールド性に優れた形状ドア内張りにもレッドステッチ

VELLFIRE G SPORTS Concept
 ノア、ボクシーに続くG'sミニバン。こちらもマークXと同じくスポット増しまで実施した本気仕様。その数はフロアやバックドアまわりなど24個所。少なく感じるかもしれないが単純に数を多くすればよいというモノではないそうで、トライ&エラーで最適なポイントを選定したという。こちらも年内に市販したいとのこと。

エクステリアは一連のG'sモデルと共通のテイストリアバンパーはやはりディフューザー形状。意外とミニバンにも似合う
ホイールは19インチの鋳造タイプ。タイヤは245/40 R19でトレッドも片側8mm広げられている金属的な風合いを持つ専用メーターパネル
シートは3列目まで合皮&アルカンターラのコンビタイプで高級感ある仕上がり。フロントは専用のスポーツシートだG'zモデルを強調するエンジンスイッチ。インパネやドアスイッチベースなどピアノブラック仕上げの部分も

GRMN SPORTS HYBRID Concept II
 昨年の東京モーターショーにも展示されていたモデル。詳しくはそちらの記事を参照して欲しい。

MR-Sをベースにハイブリッド化したスポーツモデル。コンセプトは現代版ヨタハチ
インテリアにはMR-Sの面影が残る

2000GT SOLAR EV
 トヨタ2000GTをベースとしたEV(電気自動車)。使用する電気はエンジンフードとリアガラスに搭載するソーラーパネルにより発電することで、ゼロエミッションを実現する。電池はパナソニック製でフロア下に搭載。モーターはレクサスLS 600hのモノを流用。

見た目は2000GTそのもの。いま見ても素直にカッコイイといえるフォルムだ
ボンネットフードに搭載される単結晶シリコンタイプのソーラーパネル。1日充電して走行できる距離は4kmほどとかオリジナルそのままに見える5連アナログメーター。ただし、表示内容は奥からバッテリー残量、バッテリー温度、モーター温度、インバータ水温、モーター電圧とEV用に変更されているこちらはそのままタコメーターとスピードメーター。だが、タコメーターのスケール注目。なんと最高15,000回転!
グリーンをアクセントとしたインテリア。カーペットや内張りは張り替えられているが形状は2000GTそのままバックミラーは液晶モニターラゲッジにはオーディオと思いきや、モーター回転数&車速に応じて音を出す「HALOソニック」というシステム。プログラム次第でエンジン音だけでなくさまざまな音を再生できる

TES-ERA EV
 セラをベースとしたEV。といっても、実際はキャビン部分だけで前後はパイプフレームで、サスペンションは80スープラ。モーターはレクサスRXのモノを使用し、航続距離はレースコンディションで50km。

丸みを帯びたセラと違いこちらは直線的。オーバーハングが極端に短いフォルムはEVならでは
インテリアはメーターパネルやスイッチ類のない未来的なモノ。操作はステアリング部のタブレットで行うが、データ通信は無線のため装着場所は自由に変更できる

AQUA MODELLISTA Version
 最新のコンパクトハイブリッドカー、アクアをドレスアップ。フロント、サイド、リアのエアロパーツに加え、各所にメッキを配したクールシャインキットを装着する。

エアロパーツの装着によりボリューム感をアップ
メッキパーツを効果的に配置することでラグジュアリーなムードを強調
木目パネルやメッキパーツなどを追加したインテリア運転状態に応じて変化するファンクショナルLED。ちょっと面白いギミックだ

FJ CRUISER x style Cb
 女性メンバーの企画によるドレスアップモデル。「Cb」はクールビューティの略で、大きいクルマを格好よく乗りこなす、というイメージから。インテリア、エクステリアとも色にこだわっているのが特長で、ボディカラーは完全新色となるデミタスブラック。ルーフやフェンダー部などにはグロスブラックを採用。ダーク系のツートンカラーとすることでシックなムードを演出している。

フロントグリルをはじめコーナーマーカーなど、細部まで手が加えられている
インテリアもブラウン&ブラックのツートン。メーターパネルもオリジナルだ

PRIUS α TOM'S Version
 女性や子供にもカスタマイズの楽しさを、そんなテーマで製作されたのがトムスのプリウスα。ジュエルストーンをちりばめたボディは、相当にきらびやかな印象。会場を訪れた女性から熱い注目を浴びていた。と、外観ばかりに目がいってしまうが、トムスのクルマだけにエアロはもちろん、ダンパーや強化ブレース、マフラー等々チューニングパーツも満載。走る、曲がる、止まるがきっちり仕上げられ、ワゴン&ハイブリッドでも走りが楽しめクルマとなっている。

フロント、サイド、リアとエアロが装着されている。が、ジュエルストーンの印象が強烈であまり目立たない
ジュエルストーンの総数は不明ながら「スタッフ3名で丸2日かかった」と言う

IS F CCS-R(Circuit Club Sports Racer)&GAZOO Racing LEXUS LFAニュルブルクリンク耐久レース参戦車両
 おなじみのレース車両も展示。これだけ間近で見ることができる機会はあまりない。レースファンならずともよ~くチェックしておきたい。

IS F CCS-R
LEXUS LFAニュルブルクリンク耐久レース参戦車

サイオン xB
 トヨタが発表したリストには入っていないが、サイオン xBをベースにDJ仕様にカスタマイズした車両も展示。このクルマは実際に使用されているそうで、変形ロボット的な造形は一見の価値アリ。

Cピラー以降が開いて巨大なスピーカーが現れる仕組み。アメコミチックだ
さらにDJ機材が下からポップアップ。どこでもDJブースに早変わりってワケで、実際に使用するとこんな感じに

(安田 剛)
2012年 1月 14日