東京オートサロン2013

ヨコハマタイヤ、新型スポーツラジアル「ネオバ AD08 R」などを参考出品

「ADVAN」「ADVAN Sport」のほか、タイヤ最新技術を楽しめる

ADVANカラーのスポーツイメージを打ち出した、ヨコハマタイヤブース
2013年1月11日~13日開催

 ヨコハマタイヤ(横浜ゴム)の「東京オートサロン 2013 with NAPAC」ブースは、スポーツタイヤブランドである「ADVAN(アドバン)」「ADVAN Sport(アドバン スポーツ)」でイメージを統一。昨年開催時は、低燃費タイヤ「BluEarth(ブルーアース)」の青と白のカラーリングであったのに対し、今年は黒と赤が織りなすアドバンカラーで強烈なスポーツイメージを打ち出していた。

 このヨコハマブースでは、2月から発売されるハイパワー車用フラグシップタイヤ「ADVAN Sport V105(アドバン スポーツ ブイイチマルゴ)」が中心展示となっているが、グリップ力を向上させた新型スポーツラジアルタイヤ「ADVAN NEOVA(アドバン ネオバ) AD08 R」、空気抵抗を低減するディンプル(穴)とフィンを備える「BluEarth-EV」の未発売製品を技術解説資料とともに展示していた。

ヨコハマブースのサプライズ製品「アドバン ネオバ AD08 R」。ベストセラースポーツラジアルが進化する
トレッドパターンは従来同様のAD08パターンを採用する
コンパウンドは新開発の「MSコンパウンド2R」。カーボンの配合量を増量することでドライグリップを向上し、シリカの配合でウェットグリップを確保している
アグレッシブなパターンが性能を語る
サイドウォールには「R」の文字が追加されていた
メイン展示となっていた、アドバン スポーツV105
非対称パターンを採用するV105。右がアウト側
意外とシンプルなパターンだが、ブロック形状など新たな工夫がなされている
V105のサイドウォール。低扁平のタイヤならではの美しさがある
V105の構造展示も行われていた。これはレーシングタイヤからフィードバックされた「マトリックス・ボディ・プライ」。角度のついたプライで、タイヤのねじれなどを解消する
V105装着車が展示の中心

 横浜ゴム 代表取締役社長 野地彦旬氏は、最新製品であるアドバン スポーツ V105と、初公開製品であるアドバン ネオバ AD08 Rについて解説。モータースポーツ部門をかつて担当していた野地社長は、これらの製品に注ぎ込まれたテクノロジーを熱く語った。

横浜ゴム 代表取締役社長 野地彦旬氏
同社の基本理念「心と技術をこめたモノづくりにより、幸せと豊かさに貢献します。」から語り始めた
新タイヤであるアドバン スポーツV105について解説
アドバン スポーツブランドのタイヤは、世界の数多くのパフォーマンスカーに新車装着されている
開発拠点は、新車開発でも知られるドイツのニュルブルクリンク
V105もすでに豊富な標準装着実績を誇る
WTCCなどモータースポーツのテクノロジーが投入されている
先代モデル「V103」との比較レーダーチャート。ドライ制動、ウェット制動のほかノイズを大幅に低減。プレミアムカーをターゲットとするタイヤだけに、ノイズ面にも注力されたのが分かる
新開発の「マトリックス・ボディ・プライ」を採用。モータースポーツ用タイヤと直結するテクノロジー
野地社長は、カーカスプライの繊維方向を斜めに組み合わせる技術について熱く語り始める
V105は、新開発のパターンによって接地面積の適正化も図られている。野地社長によると、昔のクルマはポジティブキャンバー(クルマの前から見てタイヤの下部が内側に傾く)だが、今のクルマはネガティブキャンバー(クルマの前から見てタイヤの上部が内側に傾く)のため、このようなパターン配置になっているとのこと
タイヤブロックも面圧の均一化を図るために、ブロックをややラウンドさせた「マウンド・プロファイル」を採用
その結果、路面の接地時に面圧が均一に発生するようになっている
さらにシリカ分散剤を初採用。より均一にシリカが分布している
サイズラインアップ
アドバンスポーツの採用例
次はアドバン ネオバ AD08 Rについて
開発コンセプト
新コンパウンド「MSコンパウンド2R」を採用
トレッドパターンは、現状のAD08パターンを継承する
アドバンブランドのスポーツタイヤラインアップ
最後に、同社が開発したEV(電気自動車)「AERO-Y(開発コードネーム)」を紹介

 同社が独自に開発したAERO-Yは、「空気」「空力」をテーマに作られたコンセプトカーで、デザイン協力はムーンクラフト、ボディーは同社航空機事業部によるCFRP(カーボンFRP)、接着剤は同社ハマタイト事業部によるもの。このコンセプト車両に、空力を考慮したBluEarth-EVが装着されている。

 このBluEarth-EVは、イン側のサイドウォールにフィンを装備し、アウト側のサイドウォールにディンプルが刻まれており、いずれも空力面でのメリットがあると言う。アウト側のディンプルは、ゴルフボールなどと同様ディンプルがあることで、空気がタイヤの側面を沿うように流れやすくなり空気抵抗を低減。イン側のフィンは、これによって渦をタイヤハウス内に発生させ、タイヤハウス前面の圧力を増加。結果、車両全体の空気抵抗が低減すると言う。

 フィンについてはタイヤハウス形状との相性もあり、具体的にどの程度低減できるか数値を示すのは現段階では難しいとのこと。ただ、このフィンは、S字、逆S字形状のものが交互に並んでおり、タイヤがたわむ剛性面や、フィンの寿命を考慮した形状になっていることから、技術的な熟成は進んでいるものと思われる。ヨコハマブースに立ち寄った際は、ぜひ実際にその先進のデザインを確認してみてほしい。

AERO-Y
BluEarth-EV
トレッドパターン
低燃費タイヤ「ブルーアース」シリーズの製品となる
アウト側のサイドウォールに刻まれるディンプル。ディンプルの直径も、外周ほど大きくなっている
イン側のフィン。タイヤ剛性やフィンの寿命などの観点からたわんだ余裕のある形状となる
フィンによるタイヤハウスの圧力変化図

編集部:谷川 潔

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