【2013ジュネーブショー】

ポルシェ、911の誕生50周年を祝う「911 GT3」を初披露

911 GT3
2013年3月7日~17日(現地時間)

スイス ジュネーブ

GENEVA PALEXPO

911 GT3のセンターコンソールに設置されたPDKのセレクトスイッチにより「スポーツ」「サーキット」の2種類のモードが選べる。サーキットではシフトアップのタイミングが高回転寄りとなる

 1963年の誕生から今年で50周年を迎えるポルシェ911。50周年という記念の年となるジュネーブモーターショーで初公開したのは、911シリーズの中でも生粋のスポーツモデル「911 GT3」だ。

 サーキット直系のスポーツモデルは、エンジン、トランスミッション、ボディー、シャシーなど多くの部分を一新し、さらなるパフォーマンスアップを果たしている。

 エンジンはカレラSの水平対向6気筒 3.8リッターをベースとしているが、共通パーツはごく僅かとしており、クランクシャフトやバルブ駆動機構、鍛造ピストンなどは専用部品となっている。新規に専用設計したバルブはエンジンの高回転化に効果を発揮していて、9000rpmというレブリミットを実現。最高出力は350kW(475PS)、最大トルクは440Nmで、0-100km/h加速は3.5秒、最高速は315km/h。

 注目の新機構としては、リアホイールの操舵角を電気機械式のアクチュエーターで動かす「リアアクセルステア」。50km/h以下ではリアホイールがフロントホイールと逆位相となることでクイックな旋回を可能にし、80km/hを超えると同位相となることで安定性を高めるというもの。サーキットのラップタイムを向上させるアイテムで、ニュルブルクリンクのタイムアタックでも効果を発揮したと言う。

 またPDK(ポルシェ・ドッペルクップリング)も専用のシステムにより制御。シフトストロークを短くしたパドルシフトと専用のプログラムにより、マニュアルモード時のシフトチェンジは100mm秒以下で反応し電光石火の変速が可能となっている。ドライバーが左右のパドルを同時に引くとPDKのクラッチが切れる「パドルニュートラル機能」も、新たに採用されたシステムだ。

 新たな駆動システムや高回転までストレスなく回るエンジンなど、生粋のスポーツモデルとしてさらなる魅力を増した911 GT3。国内での販売価格は1859万円となっている。

ワールドプレミアされた「911 GT3」。ヘッドライトなどのランプ類はすべてLED。ホイールサイズは先代よりも1インチアップの20インチとなり、タイヤサイズはフロントが245/35 R20、リアが305/30 R20
レースカーの「911 GT3カップ」も同時に発表。市販モデルの911 GT3をベースとし、カーボンやアルミとスチールの複合構造を使うことにより車重を1175kgに抑えた。先代よりも最高出力を10PSアップさせ、前後ともトレッドをワイド化することでコーナリングフォースも高めている。トランスミッションは6速のシーケンシャルタイプで、初めてステアリングホイールに装備されたパドルで変速できるようになった

真鍋裕行

1980年生まれ。大学在学中から自動車雑誌の編集に携わり、その後チューニングやカスタマイズ誌の編集者になる。2008年にフリーランスのライター・エディターとして独立。現在は、編集者時代に培ったアフターマーケットの情報から各国のモーターショーで得た最新事情まで、幅広くリポートしている。また、雑誌、Webサイトのプロデュースにも力を入れていて、誌面を通してクルマの「走る」「触れる」「イジる」楽しさをユーザーの側面から分かりやすく提供中。AJAJ・日本自動車ジャーナリスト協会会員。