フランクフルトショー 2017
【フランクフルトショー 2017】ルイス・ハミルトン選手も登場した「Mercedes-AMG Project ONE」のワールドプレミア
F1由来のパワーユニット搭載で約1000HPの最高出力
2017年9月13日 18:15
- 2017年9月12日(現地時間)発表
メルセデス・ベンツブランドの自動車を製造・販売するドイツのダイムラーAG(以下、合わせてメルセデス・ベンツ)は、ドイツ フランクフルト市で開催されている2017年フランクフルトモーターショー(プレスデー:9月12日~13日、一般公開日:9月16日~24日)の初日にあたる9月12日(現地時間)、同社ブースで記者会見を開催し、同社がF1レースで使用しているパワーユニットそのものを採用したモンスターコンセプトカー「Mercedes-AMG Project ONE」のワールドプレミアを行なった。
このワールドプレミアには、メルセデスF1チームのドライバーで、3度(2008年、2014年、2015年)のF1ワールドチャンピオンに輝いたルイス・ハミルトン選手もゲストとして登壇し、その期待感を語って聴衆を大いに沸かせた。
F1のICEに、F1由来の技術を利用したMGU-K、MGU-Hを組み合わせた1000HPのパワーユニット
今回公開されたMercedes-AMG Project ONEは、現在のF1で利用されているパワーユニットのうち、かなり乱暴にまとめるとICE(Internal Combustion Engine)だけを取り外し、そこに市販車用にリファインしたERS(エネルギー回生システム)を組み込んだパワーユニットを持つスポーツカーということになる。ICEは、まさにF1で使われている1.6リッター直噴ターボエンジンが採用されている。
これに、F1のMGU-H(Motor Generator Unit Heat、熱エネルギー回生システム)に近い排出ガスの熱エネルギーを電気エネルギーに変換する電子ターボチャージャーが組み合わされており、約90kWの出力がモーターにより実現されている。それとICEの出力を合わせると、トータルで500kWの出力をリアにかけることができる。フロントには2つのモーターが用意されており、ブレーキの熱エネルギーを回生するMGU-K(Motor Generator Unit Kinetic)によりエネルギーはリチウムイオン電池に蓄積され、それぞれのモーターで120kWの出力を実現している。これにより、リアとフロントトータルで740kW(約1000HP)の出力が可能になる。
MGU-HとMGU-Kから構成されるERS(エネルギー回生システム)こそF1に使われているものとは異なるが、F1のエンジニアも開発に参加しているとのことで、F1由来のERSが採用されており、それがF1のICEそのものと組み合わされることで、約1000HPの出力を実現しているのだ。
このF1由来のパワーユニットに、AMGが開発した8速MTが組み合わされており、最高速は350km/h、0-200km/h加速はわずかに6秒ということだ。タイヤはミシュラン「パイロットスポーツカップ2」で、フロントが285/35 ZR19、リアが335/30 ZR20になっている。ホイールにも、F1をイメージしたカーボンファイバーのセミカバーがつけられている。
Mercedes-AMG Project ONEの魅力を語るゲストは3度のF1王者ルイス・ハミルトン選手
発表会には、メルセデスF1チームのドライバーであるルイス・ハミルトン選手がゲストとして登壇し、「F1由来の技術で素晴らしいクルマ。早くドライブしたいよ」と述べて会場を沸かせ、ダイムラーAG 取締役会長 兼 メルセデス・ベンツ責任者 ディーター・ツェッチェ氏とMercedes-AMG Project ONEの魅力について語り合った。
ハミルトン選手は、先週行なわれたヨーロッパでの最終戦となるイタリアGPで、ポール・トゥ・ウィンで勝利を飾っており、それまでのポイントリーダーであったフェラーリのセバスチャン・ベッテル選手を逆転してポイントリーダーに浮上している。今週末にはF1はシンガポールに移動してナイトレースのシンガポールGPが行なわれる予定となっている。もちろんハミルトン選手もそこに参加するので、その忙しいスケジュールのなかでの登壇だけに、メルセデス・ベンツとしてもかなり力の入ったキャスティングといえるだろう。