フランクフルトショー 2017
【フランクフルトショー 2017】メルセデス・ベンツ、スマホで操作できるシェア自動車のコンセプトモデル「smart vision EQ fortwo」公開
燃料電池車のGLC F-CELL、EVコンセプト車のConcept EQAも
2017年9月13日 15:19
- 2017年9月12日(現地時間) 発表
メルセデス・ベンツブランドの自動車を製造・販売するドイツのダイムラーAG(以下、合わせてメルセデス・ベンツ)は、ドイツ フランクフルト市で開催されている2017年フランクフルトモーターショー(プレスデー:9月12日~13日、一般公開日:9月16日~24日)の初日にあたる9月12日(現地時間)、同社ブースで記者会見を開催し、同社が開発してきたコンセプトカーや新モデルを紹介した。
このなかでメルセデス・ベンツは、同社が推進するバッテリーと電気を利用した自動車のブランド“EQ”のコンセプトモデルを複数紹介。ハンドルがないレベル5の完全自動運転を実現し、街中でカーシェアリング的に利用できる未来のモビリティをイメージした「smart vision EQ fortwo」、さらには完全電動のEVのコンセプトモデルとなる「Concept EQA」、水素を利用した燃料電池と蓄電池のハイブリッドのコンセプトモデルとなる「GLC F-CELL」などを展示して注目を集めた。また、Sクラスの最新モデルとなる「S 560 e」「S 560 4MATIC クーペ」「メルセデスAMG S 63 4MATIC+ カブリオレ」などを公開した。
2022年までにメルセデス・ベンツ車はすべてのクルマがEQに対応するとツェッチェ会長
記者会見の冒頭に登壇したダイムラーAG 取締役会長 兼 メルセデス・ベンツ責任者 ディーター・ツェッチェ氏は、「今回の記者会見では未来を語りたい。我々はEQというブランドを訴求しているが、2022年までにすべてのメルセデス・ベンツ車がEQ対応になるだろう」と述べ、メルセデス・ベンツが2022年までにEQ(バッテリーと電気を利用したメルセデス・ベンツ車の総称ブランド)になり、何らかの形でバッテリーと電気により動く車両になる方針だと明らかにした。
その上で、「今年の8月までの売り上げは昨年同時期に比べて11.7%伸びるなど、ビジネスは順調に推移している。それを投資にまわしており、研究開発費は以前に比べて65%も増えている」と述べ、ビジネスが順調に推移していることで得られた利益を研究開発に回すことで、EV(電気自動車)やPHV(プラグインハイブリッド)といったEQブランドのモデル開発を加速していきたいとした。
そのEQブランドの製品として、S 560 eをフランクフルトモーターショーで初お披露目。S 560 eはPHVで、270kW(367HP)の出力を備えるV6エンジンと90kWの出力を備えるモーターから構成されており、0-100km/h加速5秒という性能を実現している。
S 560 4MATIC クーペは、345kW(469HP)の出力を備えるV8 4.0リッターエンジンを搭載し、0-100km/h加速4.6秒という性能を実現している。また、メルセデスAMG S 63 4MATIC+ カブリオレは、450kW(612HP)を発生するV8 4.0リッターターボエンジンを備えるオープンカーで、0-100km/h加速が3.5秒という性能を実現している。
ツェッチェ氏は、「我々はEVだけを提供するのではなく、従来型のエンジンやハイブリッドも同時に提供し、お客様に対して選択肢を提供する」と述べ、メルセデス・ベンツはEQブランドに象徴されるようなEVやPHVなどを提供していくのと同時に、従来型のエンジン車も提供して、顧客が自由に選べるようにしていくと説明した。
スマホで操作する、ハンドルもペダルもないシェアライド用コンセプトカー「smart vision EQ fortwo」
その後、話題はメルセデス・ベンツがスマートブランドで提供しているコンパクトカーと同じサイズのコンセプトカーに移っていった。今回のフランクフルトショーで初めて公開されたコンセプトカーが「smart vision EQ fortwo」となる。
smart vision EQ fortwoは、メルセデス・ベンツが訴求しているCASE(Connected、Autonomous、Shared、Electric、インターネット常時接続/自動運転/ライドシェア/電動化)を体現したコンセプトカー。スマートと同じような2シーターのコンパクトカーになっているが、ハンドルやアクセルといった自動車の操作に必要なデバイスは一切用意されていない。室内に用意されているのは、2つのシートとディスプレイ、そしてスピーカーといった乗客を楽しませる機器だけになっている。
というのも、このsmart vision EQ fortwoは完全自動運転が実現されており、乗客はスマートフォンで行き先を告げるだけで、すべてが完了する。あとは自動車が自動で迎えに来て、乗せて、目的地まで運ぶ。そうしたことをイメージしたレベル5の自動運転車となっている。このため、自家用というよりはUberのようなライドシェアサービス向けに位置づけられていると、メルセデス・ベンツの担当者は説明した。
なお、室内のディスプレイだけでなく、ドアや前面のグリルに相当する部分もディスプレイになっており、迎えに行く人の名前を表示して、乗るクルマが近づいてきたら分かるようになっていたり、乗ったらドアのデザインを乗員の好みに変えたりといったパーソナライズ化も特徴という。
完全電動のEVとなるConcept EQA、燃料電池とバッテリーのHVとなるGLC F-CELLも公開される
メルセデス・ベンツの記者会見では、さらに2つのコンセプトカーが公開された。それが完全電動のEVとなる「Concept EQA」、燃料電池とバッテリーのハイブリッド車となる「GLC F-CELL」の2つだ。
Concept EQAは、メルセデス・ベンツが初めて公開したEVのコンセプトカー。最大で200kWの出力を実現する2つのモーターを内蔵しており、2つのモーターによりフルタイム4WDを実現している。搭載されているバッテリーにより約400kmの航続距離を実現しており、急速充電も可能になっている。ユニークな機能としては、グリルの色をドライバーの好みで変えられるようになっている点が挙げられる。
GLC F-CELLは、GLCシリーズをベースにした燃料電池とリチウムイオンバッテリーのハイブリッド車となる。メルセデス・ベンツによれば、燃料電池とリチウムイオンバッテリーのプラグインハイブリッド車というのは世界初とのこと。GLC F-CELLは4.4kgの水素を搭載可能で、最大で437kmの航続距離を実現できるという。それに加えて、49kmの航続距離を実現できるバッテリーを搭載しており、合わせて147kW(200HP)の出力を可能にするという。ハイブリッド(燃料電池+バッテリー)、燃料電池、バッテリー、チャージングという4つのモードが用意されており、PHVのように充電プラグを利用しての充電も可能。