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メルセデス・ベンツ「Vクラス」を使用したオンデマンド型シャトルサービス「ヒルズ・ヴィア」。森ビル社員約1300名など対象に実証実験開始

森ビル、Via、メルセデス・ベンツ日本が参加

2018年8月1日~2019年7月31日 実施予定

オンデマンド型シャトルサービス「ヒルズ・ヴィア(HillsVia)」の実証実験に使用されるメルセデス・ベンツの3列シートミニバン「Vクラス」

 メルセデス・ベンツの3列シートミニバン「Vクラス」を使用するオンデマンド型シャトルサービス「ヒルズ・ヴィア(HillsVia)」の実証実験が8月1日より開始された。実証実験には森ビル、Via、メルセデス・ベンツ日本が参加。実験期間は2018年8月1日~2019年7月31日予定。

 実証実験でオンデマンド型シャトルサービスを提供するのは森ビル社員約1300名他が対象。最大乗車定員7人となる3列シートミニバン「Vクラス」を4台を導入して、運行時間は平日8時~19時30分となる。実証実験の走行エリアは、アークヒルズ、六本木ヒルズ、愛宕グリーンヒルズ、GINZA SIX、虎ノ門ヒルズ、パレットタウン周辺。

実証実験の概要

 実証実験では、まずは森ビル社員約1300名を実証実験の対象者とし、出勤時、外出時、帰宅時などの利用を通じてさまざなデータを取得し、サービスの有用性と発展性が検証される。主な検証項目としては「都心におけるオンデマンド型シャトルサービスの有効性」「街の付加価値向上の可能性」「オフィステナントの企業価値向上への貢献の可能性」という。

実証実験で使用するアプリの操作画面
取材会の試乗ルート
アプリで予約して6000か所設定されている最寄りのバーチャルバスストップまで向かう。取材会では虎ノ門ヒルズの前から出発
実証実験では外部に委託したドライバーがクルマを運転する
ドライバーはアプリが指示するルートを走行
目的地に向けて走行中、途中に乗車を希望する人が現れるとルートを変更してピックアップに向かう
六本木ヒルズに到着

 実証実験に採用したViaのサービスは、都市部に最適化した独自開発のアルゴリズムを採用。複数の乗車希望者をリアルタイムで把握し、最適な配車、最適なピックアップポイント(バーチャルバス停)の指定、最適なルートの選定をし、同方面に向かう複数の乗客の効率的な移動を可能にするという。

 Viaのサービスは、すでにニューヨーク、シカゴ、ワシントンDC、ロンドン、アムステルダムなどで導入されており、約3500万人が利用しているという。今回の実証実験に参加するメルセデス・ベンツ日本の親会社であるダイムラーもViaに出資を行ない、車両開発や合弁事業を通じた欧州でのカーシェアリングサービスを導入予定。

 同日、記者発表会が開催され、森ビル オフィス事業部 営業推進部 企画グループ 課長 竹田真二氏、Via Transportation lnc. Business Development担当 Vice President David Adelman氏、メルセデス・ベンツ日本 広報室 製品広報課 マネージャー木下潤一氏が出席した。

新しい都市のあり方、豊かな都市生活のあり方について検証するための実験

森ビル株式会社 オフィス事業部 営業推進部 企画グループ 課長 竹田真二氏

 今回の実証実験について森ビル オフィス事業部 営業推進部 企画グループ 課長 竹田真二氏は「森ビルとして新しい都市のあり方、豊かな都市生活のあり方について検証するため実験を行ないます。利用時間は平日の8時~19時30分、範囲は虎ノ門ヒルズ、渋谷、恵比寿、品川、東京駅に囲まれた約2500ヘクタールでサービスを展開します。範囲内には(乗り降りのできる)バーチャルバスストップが6000か所設定されております。実験期間は1年間、利用者は森ビル社員で開始して利用料は無料」と説明。

 今後の実験方針について、竹田氏は「実験期間中は安全運行はもとより、有効性のある実験データが得られるように台数や運行エリアを変えてみたり、森ビル社員のみですと有効性に偏りが出るので、例えば森ビルが管理するビルに入居しているワーカーや入居者を一部に加えて反応をお聞きすることを検討しています」との考えを示した。

 また、実験による検証内容について「実証実験では、どの程度社員が利用するのか、どういう理由で移動しているのか、都心におけるオンデマンド型シャトルサービスの有効性を検証します。次に、シームレスな移動により社員の働き方がどのように変わるのか、働き方改革の効果を検証します。最後にシームレスな移動により、外出頻度や施設利用数が上がるのか、街の付加価値向上の可能性を検証します」とそのポイントを示した。

記者会見では実証実験はライドシェア事業に参入を目的としたものでなく、不動産価値向上に向けた取り組みとの位置付けを強調した
森ビルがViaのシステムを選んだ理由

Viaのサービスと他社のライドシェアサービスの違い

Via Transportation lnc. Business Development担当 Vice President David Adelman氏

 実証実験で使用されるViaのサービスについては、Via Transportation lnc. Business Development担当 Vice President David Adelman氏が説明。他社のライドシェアサービスとの違いについて、Adelman氏は「既存ビジネスと提携」「レギュレーション内で活用」「地域や業界、ビジネスごとにカスタマイズ可能」「パートナーのブランドで事業展開」といった特徴が示された。

 また、Adelman氏は「私たちが何をしたいかと言うと、クルマの数を減らしたいということで、私たちのライバルは1人乗りで移動しているクルマです。アメリカでは通勤をする人の75%が1人でクルマで移動している実態があり、そこを3~6人で移動することで、混雑緩和でありCO2排出削減もできる、こういったことを日本の東京でも行なっていきたい。私たちが提供するのはテクノロジーでなく生き方と言えるかもしれません。いま自分の息子は3歳ですが、アメリカで16歳になると運転免許を取得することができます。しかし、自動運転が当たり前になると、もしかしたら運転することを勉強しないかもしれません。次世代のためにみんなが手を携えることで、混雑を緩和して持続可能で住みやすい町を実現することに貢献できるかもしれません」と将来についての考えを述べた。

Viaの会社やサービスについて説明するスライド

独ダイムラーは経営戦略の中でシェアリングサービスを1つの柱に

メルセデス・ベンツ日本株式会社 広報室 製品広報課 マネージャー 木下潤一氏

 メルセデス・ベンツ日本 広報室 製品広報課 マネージャー木下潤一氏 木下氏は「われわれメルセデス・ベンツ日本の親会社であるダイムラー社は、経営戦略の中でシェアリングサービスを1つの柱としております。その取り組みの1つとして、効率的で持続可能なオンデマンドライドシェアの実現に向けてVia社に出資している関係で、今回のプロジェクトに参加させていただくことになりました」と明かすとともに、実証実験で使用する3列シートミニバン「Vクラス」について紹介。「広い室内空間、荷物の積載性能、高いインテリアの質感、高い走行性能安全性能を備えるVクラスは今回のプロジェクトに最適なクルマ。この取り組みを通して、さらにたくさんの方にメルセデス・ベンツに乗っていただきたいと思います」と述べた。

Vクラスの製品特徴

 質疑応答ではライドシェアを規制する日本の規制について意見を聞かれ、Adelman氏は「現在の状況はよく理解していて、そういった規制の中で行動していきたい。日本でこの実験を行なうのは、日本で何ができるのかを模索する部分があり、この実証実験をする間にも法律や時代が変わるかもしれない、あるいはこの実証実験が別の見かたを提供することに貢献するかもしれない。私たちはこれからも、共に働くコラボレーションとして進めていきたい」との考えを述べた。