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ホンダ、新型「プレリュード」内装初公開 ホワイト×ブルーで上質さと高揚感を追求したなど開発陣が解説

2025年4月2日 公開
今秋発売予定の新型スペシャリティスポーツモデル「プレリュード(プロトタイプ)」

新型プレリュードは無動力飛行機の「グライダー」をイメージ

 本田技研工業は4月2日、今秋発売予定の新型スペシャリティスポーツモデル「プレリュード(プロトタイプ)」のインテリアを世界初公開した。また、今回の公開に合わせて事前撮影会も行なわれ、開発陣がコンセプトや思いを語っている。

 ホンダの現行(11代目)「シビック e:HEVモデル」に続き、新型プレリュードの開発責任者も務める山上智行氏は、「これからカーボンニュートラルや本格的な電動化時代を迎えます。また、プレリュードというネームにヘリテージなイメージを持つ人もいるかと思います。ただし、過去に囚われた焼き直しではなく、歴代モデルのよさをしっかり学んで継承しつつ、現代にふさわしい形で進化させることにチャレンジすることで、ホンダらしい持続可能な次世代FUNの提供を目指しました」と語る。

新型プレリュードの役割

 また、ターゲットユーザーに関しては、「昔のプレリュードをよく知っているジェネレーションX世代はもちろんですが、プレリュードは先代モデルが終了して30年近く経っているため、現代のジェネレーションZ世代とは、ちょうど親子の関係ぐらいになります。そこでX世代が昔を懐かしむのではなく今の時代の新しいことを、Z世代の若い人は昔のいいところを、お互いに学びあいながら高めあい、世代を問わず共感しあって可能性を無限に広げていけることをイメージしています」と山上氏。

新型プレリュードはあらゆる世代がターゲット

 クルマ作りの1つの方向性を示しているグランドコンセプトは、「無動力だけど地球(上昇気流)を味方につけると無限に飛んでいける乗り物“グライダー”をイメージしています。グライダーはクリーンな乗り物ですが、時にはすごくレスポンシブルでダイナミックなアクロバット飛行もできる多面性を持っている点も、今回のプレリュードのインスピレーションになっています」と解説。

新型プレリュードのグランドコンセプトは「UNLIMITED GLIDE」
背景パネルにも白いグライダーが遊泳している姿が描かれている

 続けて、「このグライダーが持つ、どこまでも行きたくなる気持ちよさと、一方で非日常のときめきという相反する2つのテーマを高い次元で両立していこうと考えまして、“ヘリケージ”に囚われるのではなくて色々“チャレンジ”していく。スムースでクリーンで“インテリジェント”だけど、今回S+シフトという技術を搭載していて時には“ロックンロール”のように楽しめる。そして大切な人と特別な時間を過ごせる“スペシャリティ”でありながらも、1人で乗っていても爽快に走れるといった多様性を持ち合わせる。今の流行を取り入れる部分もありますが、流されすぎてしまうのも違う。そういったバランスを取ることが、今の時代には大切なことだと考えています」と語る。また、開発チームのうち30人ちかくが、実際にグライダーに乗り、インスピレーションやイメージの共有領域を深めたという。

どこまでも行きたくなる気持ちよさと非日常のときめきの両立を目指したという

エクステリアとインテリアデザイン

 内外装については、チーフエンジニアの斎藤智史氏が解説を行なった。

時代によってプレリュードの特徴は変化しているが、「スポーツ性」と「スペシャリティ(特別感)」は共通しているという
常にその時代の最先端技術を積極的に取り入れるというチャレンジ精神も大事なポイントとのこと

 斎藤氏は、「グライダーに乗っている時のような高揚感をいかにエクステリアで表現していくかと考え、“GLIDING CROSS STANXCE(グライディング クロス スタンス)”というワードをエクステリアの方向性として定めました。続いて、そこに向けて、クリーンでダイナミックな“サーフェス”、伸びやかで軽快な“プロポーション”、ダイナミックな走りを予感させる“スタンス”の3つのキー要素を入れました」と斎藤氏。

エクステリアデザインのコンセプト

 サーフェスについては、「勢いや躍動感を表現するためにバンパーから車体側面を上がってリアに向かって絞り込まれるラインと、リアフェンダーから前に向かって落とすことで軽快感や軽さを表現したライン、この2つのラインを3次元的にクロスすることで、ダイナミックさと美しさを表現しています」と解説。

サーフェス

 プロポーションやスタンスについては、「いかに伸びやかで軽快に見えるかにこだわり、ノーズは低くそしてルーフラインに向けて極力スムースなシルエットにしました。加えて、前後フェンダーはスポーツモデルらしくしっかりと貼り出すことで安定感を付与しつつ、前後の灯体は横基調にデザインすることでワイド感のあるスタンスを表現しています」とのこと。

プロポーションとスタンス
前後の灯体は横基調にデザインすることでワイド感のあるスタンスを表現。また前後バンパー中央下部にはブルーの挿し色が入る
軽快なプロポーションを強調する大タイヤを履く。撮影車のタイヤはコンチネンタルの「プレミアムコンタクト6」で、サイズは前後とも235/40R19。ブレーキキャリパーにもブルーを採用している

 インテリアのデザインコンセプトも、グライダーからくる「GLIDING COCKPIT(グライディング・コクピット)」からなるもの。斎藤氏は、「クルマのサイズ感であったり、向いてる方向や状態がいかに分かりやすいかを追求した“行き先を誘う視界”、運転席だけではなく助手席の人にもプレリュードを感じてもらえるパーソナライズされた空間で気持ちを高めていただくという考え方を表現した“着心地フィット”、スポーツモデルらしく瞬間認知性と直感的に操作できるところにこだわった“直感スポーツHMI”という3つの要素を取り込んでいる」と紹介。

インテリアデザインのコンセプト

 具体的には、水平基調のインパネと、フロントフェンダーからドアのアッパーラインに向かって基調をつなげることで車両感覚をつかみやすくし、行く先を誘う視界を表現したほか、運転席はよりホールド性に特化させ、助手席は乗降しやすく、また包まれ感のあるシートにするなど、運転席と助手席でシートの仕様を少し変えることで着心地フィットを体現。メーターやステアリング、スイッチ類は、瞬間的に認知できて、直感的に操作できるように配慮して直感スポーツHMIに仕上げている。

フロントフェンダーの両端を盛り上げることで、コクピットからボディの端が見え、車両間隔をつかみやすくしている
直感スポーツHMIと着心地フィットの詳細

 スポーツカーの場合、戦闘機やF1のような鋭さがイメージされるが、プレリュードのテーマは、グライダーのようにもっと気持ちよく空を滑りながらどこまでも進んでいくイメージに近いという。

CNF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)にもこだわり満載

 CNF(カラー・マテリアル・フィニッシュ)は、冒頭に出たように新型プレリュードのターゲットユーザーがジェネレーションXからジェネレーションZまで、幅広い世代となっていることから、両世代へのアプローチするために「時代・世代を超えてTOKIMEKI(ときめき)をうむ」とコンセプトを提唱。

CMFデザイン

 走りへの高揚感をかき立てるコーディネートを考案し、ボディ色は爽快・ライトウェイトカラーとして、ホンダ新色のホワイトカラーを開発。また内装は、ドアを開けた瞬間に目が引きつけられるようハイコントラストコーディネートとし、ホワイト×ネイビーの組み合わせを採用している。さらにシート地には、クラシックかつモダンな千鳥格子を採用することで、懐かしいけれども新しさも感じられるインテリアに仕上げたとしている。

懐かしさと新しさが交錯する遊び心をきかせた上質インテリア

 パッケージ全体としては、スペシャリティカーであると同時にスポーティな走りも実現するほか、しっかりと荷物を積めるハッチバックなど、クーペとして十分な後席空間など、日常と非日常を両立できる多様性のある新世代のスペシャリティスポーツパッケージとしている。

パッケージデザイン
大きなラゲッジスペースと後席空間
水平基調で視界は広い
シートの座面と背中面には千鳥格子柄が採用されている
内装はホワイトとネイビーの組み合わせ
運転席のサイド部はホールド性を確保するためワイヤーが入っているが、助手席のサイド部は乗降性を高めるためにワイヤーが入ってない。また、シートクッションの柔らかさも異なるという
助手席前にはプレリュードのロゴが筆記体で刻まれている
ドアの内装も上質感のある仕上がり
大人も座れる後席
後席用スピーカーも完備
瞬間視認性を高めたというステアリングまわり
センターディスプレイにはバッテリ残量が表示されていた
エアコンスイッチまわり
シフトまわり
ペダルまわり
置き充電も完備
グローブボックス
センターコンソールにはドリンクホルダーとボックスを完備
ハッチバックを採用したことで開口部は大きい
後席は6:4の可倒式
後席を両方たためばかなりの積載容量になる
ラゲッジスペースの底面は開けられる

実物の「新型プレリュード(プロトタイプ)」を見られる!

 なお、撮影した「プレリュード(プロトタイプ)」は、東京お台場で開催されている「F1 TOKYO FAN FESTIVAL 2025」にて、4月2日、4月4日~6日の期間展示しているので、ぜひ足を運んでみてほしい。

F1 TOKYO FAN FESTIVAL 2025会場マップ