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スバル、新型「フォレスター」の特徴を紹介 購入するならどのグレードがオススメ?

2025年4月17日 発表
新型フォレスター

 スバルは4月17日、新型「フォレスター」の価格を発表した。

 1.8リッターガソリン直噴ターボ搭載の「SPORT」が404万8000円、アイサイトXを搭載する「SPORT EX」が14万3000円高の419万1000円。

 アウトドアテイストを強めたストロングハイブリッドモデルの「X-BREAK S:HEV」が420万2000円、アイサイトX搭載の「X-BREAK S:HEV EX」が27万5000円高の447万7000円。

 本革シートを選べる上質感を際立たせたストロングハイブリッドモデルの「Premium S:HEV」が448万8000円、アイサイトX搭載の「Premium S:HEV EX」が11万円高の459万8000円。

 今回のフルモデルチェンジで6代目となるフォレスター。これまでも他メーカーからの乗り換え需要や40歳以下の購入層が多いなど、スバルの中でも主力車種として販売されていたが、正統派SUVとしてデザイン、性能面ともに進化。本稿では改めて新型フォレスターの特徴をお伝えする。

SPORT EX
X-BREAK S:HEV EX
Premium S:HEV EX

買うならストロングハイブリッドモデル? それとも直噴ターボモデル?

 新型になったフォレスターのトピックはやはりストロングハイブリッドの搭載が大きなところになるだろう。だからといって、ストロングハイブリッドモデルが必ずしも“買いになる”ということでもないはずだ。

 あとで詳しく紹介するが、新型フォレスターはグレードによる装備の違いはあまり大きくない。どちらかといえば、「新型フォレスターをどのように使いたいか」で選ぶグレードが違ってくるというイメージ。

 撥水シートが標準でラゲッジにLEDランプが装着されるアウトドア寄りのX-BREAK S:HEV、オプションで本革シートやアクセサリーコンセント(AC100V/1500W)が選べるPremium S:HEV、アウトドアユースもできつつ上質さも備えるSPORT。それぞれに個性があるため、単純に「じゃあ新しいからストロングハイブリッドモデルで……」と決めてしまうのも、もったいない。

 価格差は、直噴ターボモデルの「SPORT EX」とストロングハイブリッドモデルの「X-BREAK S:HEV EX」で比較すると、SPORT EXの方が28万6000円安い。

 燃費は、SPORT EXが13.6km/L(WLTCモード)、X-BREAK S:HEV EXが18.8km/L(WLTCモード)と、約5km/Lの差はあるものの、どちらも燃料種類はレギュラーガソリン。ターボだからといってハイオクになることはない。

 走りは、先進技術を盛り込んだモーター走行で上質な走りのストロングハイブリッドモデルと、100kg軽い重量で軽快に走る直噴ターボモデル。どちらもはっきりと個性が分かれている。

 なので、“買い”のモデルは「欲しい」と思ったモデル……というなんとも締まらない結論になってしまうのだが、それだけ新型フォレスターは個性が豊かで、各グレードのキャラクターが際立っているのだ。

 加えて、新型フォレスターは個性的なアクセサリーも豊富にラインアップされているので、アクセサリーを装着すればまた違った雰囲気を演出できる。「ちょっとイメージと違うかも……」と思っても、アクセサリー次第では心にグッとくる1台になるかもしれない。

 ぜひ、このあと紹介する新型フォレスターの特徴を参考に、実際に見比べて、乗り比べて、自分の好みに合ったグレードを選択してほしい。

ADVENTURE Styleアクセサリー装着車
STI Styleアクセサリー装着車

グレードごとに個性を強めたデザイン

 新型フォレスターのデザインコンセプトは「Ready for Adventure ~いつでも冒険に出られる、頼れるGEAR~」。高い機能性や日常から非日常までフォレスターと過ごす上質な体験を想起させるデザインとして、従来モデルからの進化を感じられるよう、質感と頑丈さの追求をモチーフに、ボリュームのある堂々としたプロポーションとした。

 フロントは、グリルからヘッドライトまで造形を連続させることでワイド感を強調。上下分割タイプのフロントバンパーを採用することで、フロントマスクの厚みを表現とした。また、フォグランプを囲む造形とすることで安定性を表わしている。

 サイドはフェンダーの張り出し感を強調し、サイドウィンドウ周辺の造形に厚みを持たせることで、フロントからリアまで軸の通った力強いボディとし、走破性の高さと安心感を表現。

 リアは左右のコンビネーションランプをつなぐように高い位置に軸を配し、ボディ下部の厚みとワイド感を強調。リアゲートガーニッシュには「FORESTER」の文字を彫り込んだオーナメントを新採用することで、力強さと存在感を強調したデザインに仕上げられた。

 ボディカラーは、新色の「リバーロック・パール」を設定。ほかに、グレードによって選択できるボディカラーは異なるものの、「クリスタルホワイト・パール」「アイスシルバー・メタリック」「マグネタイトグレー・メタリック」「クリスタルブラック・シリカ」「クリムゾンレッド・パール」「サファイアブルー・パール」「デイブレイクブルー・パール」「オータムグリーン・メタリック」「ブリリアントブロンズ・メタリック」「カシミアゴールド・オパール」の計11色を設定した。

 さらに、ブラックルーフによってキャビンを引き締め、ボディの厚みを際立たせる2トーンカラーをX-BREAK S:HEVとPremium S:HEVに新設定。「クリスタルブラック・シリカ/マグネタイトグレー・メタリック」「クリスタルブラック・シリカ/ブリリアントブロンズ・メタリック」「クリスタルブラック・シリカ/オータムグリーン・メタリック」「クリスタルブラック・シリカ/リバーロック・パール」の4色をラインアップした。

 アルミホイールはグラフィックに動きを持たせるとともに、アクティブさを表現し、キャラクターを際立たせるカラーリングを採用したアルミホイールをグレードごとに設定。Premiumには19インチホイールを採用した。

 なお、アルミホイールだけでなく、フロントのグリルのバーやフォグランプベゼル、ボディサイドのドアガーニッシュなどの色がグレードごとに異なっており、それぞれの個性を際立たせている。

SPORT EX
X-BREAK S:HEV EX
Premium S:HEV EX

 インテリアはデザイン性と実用性を兼ね備えたテクスチャーや、乗員のコミュニケーションを重視したシート形状など、普段使いからアクティビティまで家族や仲間と楽しめる心地よいインテリアに仕上げられている。

 インパネにはヘキサゴンパターンを用いて、SUVらしいタフさを表現。グレードごとに色や触感の違う素材を適所に配置し、それぞれの素材を活かした立体構成で上質なインテリア空間とした。

インパネのヘキサゴンパターン

 センターコンソールは上面の位置を高くして包まれ感と上質感を表現するとともに、操作性も向上。フロントとリアそれぞれに適したデザインのドアトリムを採用することで、乗員に安心感と快適性をもたらすとした。

 シートは仙骨を押さえて骨盤を支える構造と、シートレールを直接車体に固定する構造を採用し、身体やシートそのものの揺れを抑えることで、快適な乗り心地を実現。ショルダーまわりのボリュームを削ることでドライバーがリラックスした姿勢で運転できるようにするとともに、前後席間のアクセス性を高めるシートデザインとした。さらに、Premiumは撥水ファブリック/撥水トリコットや、ナッパレザー/ウルトラスエード、X-BREAKには撥水ポリウレタン/合成皮革、SPORTにはウルトラスエード/合成皮革を採用し、グレードごとのキャラクターをより際立たせた。

 荷室スペースは、従来モデル同等の大きな荷室開口部と、6:4分割可倒式リアシートによって荷室を自由に格調することで、大きな荷物や長尺物を搭載できる必要十分なスペースを確保。VDA方式で直噴ターボモデルは512L、ストロングハイブリッドモデルは485Lの容量としている。また、荷室両サイドに荷物の固定や小物のつり下げに便利なカーゴフックや、バーやラックなどのさまざまなスバル純正アクセサリーを装着できるユーティリティナットを採用。荷室の使い勝手のよさをさらに高めた。

Premium S:HEV EXのラゲッジ。シートアレンジのパターンは全グレード共通
X-BREAKのみ撥水カーゴフロアボード(ラゲッジスムーザー機能付)が標準装備される

 新型フォレスターの共通装備として、両手がふさがっているときでもリアバンパー中央付近の下に足を入れて引くだけでリアゲートを自動で開閉することができ、スマートな荷室へのアクセスを可能とする「キックセンサー式ハンズフリーパワーリアゲート」を設定。11.6インチセンターインフォメーションディスプレイやナビゲーション機能、ETC2.0車載器キットを標準装備。12.3インチフル液晶メーターをフォレスターとして初採用して、利便性を向上させた。そのほかにも、リアクォーターに200mmのサブウーファーを搭載したハーマンカードンサウンドシステムを専用チューニングすることで、上質で臨場感のある音響空間を実現している。

グレードで装備に違いはない!

 新型フォレスターはデザインに違いはあれど、ナビやETC2.0車載器、キックセンサー式ハンズフリーパワーリアゲートなど、基本的な装備はグレードによってあまり違いはない。例えば「どうしても本革シートが欲しい」ということであればPremiumを選ぶことにはなるだろうが、オプション設定となるハーマンカードンサウンドシステムも、サンルーフも、全グレードで選択できる。

 これまでは「上位モデルではないと装備が質素」ということもあっただろうが、新型フォレスターでは装備に違いがないため、アウトドア利用なのか、はたまた上質感なのか、それとも両方のいいとこどりなのか、自分の好みや使い方でグレードを選べるようになっているのだ。

動的質感もブラッシュアップ

 新型フォレスターでは、ボディ全体の骨格部材を強固に組み立ててから外板パネルを溶接する「フルインナーフレーム構造」を採用。ボディの高剛性化と軽量化により、路面からの振動の収束性を高めた。

 フロントサスペンションクロスメンバー/リアサブフレーム/フロントシート取付部のウェルドナット形状を変更しお、ボルト締結力を面で受ける形式に変更。取付部の剛性を高め、操縦安定性と乗り心地を向上した。

 ルーフパネルとブレースの間には振動吸収性が高く、制振性に優れた高減衰マスチック(弾性接着剤)を採用。これにより、ルーフの共振により音を抑制し、車内音の収束性を向上し、快適な乗り心地を実現した。

 さらに、防音材の最適化が行なわれ、ドアガラスの板厚アップや、各インシュレーターの性能強化により、フロアまわりの防音性能を高め、高周波音を低減。車内での会話明瞭度を大きく向上させた。

 そのほかにも、フロントフェンダー後部にダクトを配置することで、ホイールハウス内の空気を排出するとともに、車体側の空気の流れを整えることで、操縦応答性と高速走行時の安定性を高めた。

ストロングハイブリッド搭載モデル

 ストロングハイブリッド専用の水平対向2.5リッターエンジンを搭載し、スバルらしい走りの楽しさと、ハイブリッドならではの環境性能を両立。PCU(パワーコントロールユニット)をエンジンルーム内に配置することで燃料タンク容量アップを実現し、航続可能距離を伸長させた。

 トランスアクスルには、駆動用と発電用の2つの高出力モーター、フロントデファレンシャルギヤ、電子制御カップリングをワンパッケージ化したストロングハイブリッド専用のものを搭載。最高出力88kWを発生する駆動用モーターにより、幅広い走行シーンでモーター駆動をメインとし、モーターが苦手な領域をエンジン駆動がカバー。発電用モーターから高電圧バッテリへの電力供給を緻密に制御することで、駆動用モーターの電力量を安定して保てるようにしている。

 ハイブリッド化しながらも、プロペラシャフトで前後輪をつなぐ機械式4WDを採用。路面状況に合わせて後輪へ駆動力を瞬時に伝え、前後輪のトルクを適切にコントロールすることで、さまざまな路面でスバルらしい優れた走行安定性を実現している。

ストロングハイブリッドモデルのエンジンルーム。最高出力118kW(160PS)/5600rpm、最大トルク209Nm(21.3kgfm)/4000-4400rpmを発生する水平対向4気筒DOHC 2.5リッター直噴エンジンと、最大出力88kW(119.6PS)、最大トルク270Nm(27.5kgfm)を発生するモーターを組み合わせる

直噴ターボエンジン搭載モデル

 日常での扱いやすさを重視し、低回転域から300Nmの高トルクを発生。アクセルを踏み込むとしっかりとした加速感が得られ、高速道路上での合流や追い越しも気持ちよく行なえるセッティングとなっている。

 また、精密な前後駆動力配分により、レーンチェンジのようなシチュエーションでの操舵初期の応答性とライントレース性を向上。路面状況の変化に対する安定性と両立させている。

直噴ターボモデルのエンジンルーム。最高出力130kW(177PS)/5200-5600rpm、最大トルク300Nm(30.6kgfm)/1600-3600rpmを発生する水平対向4気筒DOHC 1.8リッター直噴ターボ“DIT”エンジンを搭載する

世界初のサイクリスト対応歩行者保護エアバッグを採用

 安全性能に関しては、バンパービームを車両外側まで拡大するとともに、衝突サブフレームを追加する衝突安全ボディとすることで、衝突エネルギーの吸収効率が向上。ストロングハイブリッド搭載モデルでは、PCUのエンジンルーム内配置や、高電圧バッテリのリアフロア配置に対応する構造を見直し、電気関連部品の安全性にも配慮している。

 また、ステレオカメラに加えて広角単眼カメラや全側方レーダーを搭載した新世代アイサイトを装備し、プリクラッシュブレーキで対応できるシチュエーションを拡大。

 さらに、運転支援機能「アイサイトX」をフォレスターとして初設定(各グレードのEXモデル)。渋滞時ハンズオフアシストやアクティブレーンチェンジアシスト、カーブ前速度制御といった機能により、ドライバーの運転負荷を軽減し、よりスムーズな運転をアシストする。

 加えて、ツーリングアシスト作動中に、長時間のステアリング無操作状態が続き、システムがドライバーに異常が生じたと判断した場合、自動で減速・停止して、ハザードランプの点滅とホーンで周囲へ警告するドライバー異常時対応システムと、ドライバーモニタリングシステムとの連携を強化。これまでのステアリング無操作のみならず、ドライバーのわき見や居眠りでも、ドライバー異常時対応システムが作動するようになった、

 また、コーストダウン(惰性走行)や、パルスブレーキによる振動でドライバーに注意を促す機能を追加。ドライバー異常時対応システム作動によるハザードランプ点灯のタイミングを減速制御開始と同時にまで早めることで、早期に周囲の車両へドライバーの異常を知らせられるようになった。

 そのほかにも、重大な事故や車両故障が起こってしまった場合に24時間365日コールセンターとつながるコネクティッドサービス「SUBARU STARLINK」を採用。

 世界初となるサイクリスト対応歩行者エアバッグを採用。エアバッグ展開領域をAピラー後方まで拡大することで、万が一の衝突時に、歩行者と頭部接触位置が異なるサイクリストも守れるようにした。

【音量注意】スバル新型フォレスターの「サイクリスト対応エアバッグ」展開デモ【大きい音が出ます】

 なお、エンジンフード左右端とAピラー付け根部分を低くすることで、斜め前方の視界を拡大するとともに、ドアミラーを小型化することで、左斜め前の視覚を低減。運転時にフロントワイパーが視界に入らない設計とすることで、ドライバーの運転をさまたげない前方視界を実現した。後方視界はリアクォーターガラス窓肩の高さを下げることで、車線変更時などの斜め後方を確認する際の見やすさを確保。運転での基本となる視界性能に関しても作り込まれている。

4月18日時点の納期は……

 最後になるが、記事を執筆した2025年4月18日時点では、ストロングハイブリッドモデルの販売比率の方が多いらしく、納期にかなりの時間がかかるという。

 おおよその工場からの出荷時期(納車時期ではないのでご注意を! あくまでクルマが工場で完成するタイミングだそうです)を販売店に聞いたところ、直噴ターボモデルは7月ごろ、ストロングハイブリッドモデルはそれ以上になるとのこと。

 なので、「新しいモデルに早く乗りたい!」「車検が間近……」という方は、納期という面から直噴ターボモデルを選択してみてもいいかもしれない。直噴ターボモデルも新型フォレスターのよさは十分に感じられるので、後悔はしないはずだ。

新型フォレスター SPORT EX(直噴ターボモデル)