CES 2017

「CES」を運営するCTA CEO ゲーリー・シャピロ氏、トランプ新政権への期待感など示した記者会見

CTAはテクノロジーとイノベーション分野の雇用創出に100万ドルの投資

2017年1月7日(現地時間) 開催

「CES 2017」を運営するCTA(Consumer Technology Association)CEO ゲーリー・シャピロ氏

 米ラスベガスで開催されている「CES 2017」を運営するCTA(Consumer Technology Association)CEOのゲーリー・シャピロ氏が1月6日(現地時間)、海外メディア向け記者会見でインタビューに応え、トランプ新政権へ期待や自動運転に関する考えを述べた。

 1月5日に行なわれた基調講演でシャピロ氏は「私たちの業界は1500万人の雇用を支えています」と強調し、CTAがテクノロジーとイノベーションにおいて米国のリーダーシップを維持するため、新たな雇用創出に向けた5つのプログラムに100万ドルを投資すると発表。

 基調講演を受けて海外メディアからさまざまな質問が出たが、本記事では新政権への期待、自動運転に対する考え、イノベーションがもたらす社会への影響についてのシャピロ氏の考えをお伝えする。

──トランプ大統領による新政権に期待することは?

シャピロ氏:オバマ政権の時代はテクノロジーやビジネスに関しては安定性をもたらし、非常に尊敬しています。ただし、ビジネスの観点ではルールや規制が作り出され、ビジネスを失速させるカタチになっていた。我々イノベーション業界は政治的なことに関わらず変化をして適合するのが私たちの業界で、1番強いものが生き残るのではなく適応する力が強い人たちが生き残る業界です。

 (米国では)オバマ政権よりも前から新しいインフラ投資がされず、インフラが古くなっています。5G時代になると新しいブロードバンドのインフラが要りますし、高速道路や自動車道路もきちんと作り直す際にはテクノロジーを埋め込んでいく、税率も下がることを新政権には期待している。

 トランプ氏のキャンペーンでは企業の税金の下げると言っていますし、規制が緩和されることも期待する。これまでアメリカの企業は、たくさんのルールや規制に正しく適合するため、弁護士もたくさん雇って適合をしてきました、弁護士の輸出ができるくらいです(笑)。もちろん政府の規制が大切だと分かっていますが、安全啓示といって毎年のように出される規制に対応するのはビジネスの観点では難しい。

 また、トランプ新政権はビジネスリーダーを集めています。オバマ政権ではビジネスリーダーが少なく政府がビジネスに参加していませんでしたが、トランプ氏は、それを変えると言っていて大きな見方ができる人。ラスベガスにあるトランプ氏のホテルは大きいですが、政府のお金もコストを意識して使うことを期待している。

 CTAのアプローチとしては、貿易を奨励することや税金の緩和で企業がアメリカにもっとこれるようになることを要望する。例えばイギリスとの2カ国協定、TPPももう一度生き返らせること、中国との関係も大切。EUではGoogle、インテル、マイクロソフト、Facebookなどに厳しく、ハイテク企業が育っていません、アメリカ政府の役割は大きいと思います。

──自動運転が世の中にスムーズに受け入れられるには何が必要と考えているか?

シャピロ氏:テスラが人命を救うというドイツで制作したビデオがありましたが、世界では年間100万以上の人が自動車事故で亡くなっており、人類にとって人命は尊いもの。アメリカにおいては、自動車保険に余計なお金がかからない、酔っ払い運転や乱暴な運転がなくなくなる、といったことで受け入れられるのではないかと思います。新しいテクノロジーによって変化を恐れる人はいますが、1世紀前は、どういった輸送機関が欲しいか?と聞かれれば、もっと速く、餌をほしがらないもの、と言っていたのですから世の中がどう変化するのかは分からない。

──CES50年のテーマはなんであったか?

シャピロ氏:CESのテーマは1つ分野にとどまるものではなく、革新とテクノロジー、将来の人の生活を変えるものがテーマであったことは言えます。その時々のトレンドとして、現在は教育のパーソナル化や自動運転といったキーワードが出ていると思います。CESは各地域で年1回開催されていますが、我々をとりまく環境の変化は速く、トレンドもめまぐるしく変わっています。

──基調講演で話していた、変化を恐れているのは誰ですか? AIが普及することによって仕事を失う人たちですか?

シャピロ氏:今の生活水準は1000年前と比べて考えると明らかに進化していますが、失業というのは大きな問題で、仕事だけでなく、サイバーセキュリティ、プライバシーなど、業界としてはオープンなディスカッションをする責任があると思う。(シェアライドの)UberやLyFtといった新しい企業により、既存の業界にとって破壊的な企業が出てきたわけです。ただ、Uberのドライバーは仕事をしたいときに運転をする、人に会いたいからと運転していると喜ぶ人たちが多くいます。もちろん、確かに心穏やかでない、ビジネスリーダーや親としても心配なことがあります。

 失業というのは大きな問題で、昔と比べると旅行代理店に勤める人が減りましたが、商業というのは変化していくものです。将来のための教育という考えが不足していて、アメリカではフルタイムジョブが減って、パートタイムが増え大きな問題になっていますが、大学での教育は実際のビジネスの環境にあっていなく変化が必要で、これはどこの地域でも同じかと思います。

 アメリカは資本主義の国です、競争することによって改善していくのです。ただし、それが本当に好きかと言うと分かりません。