長期レビュー
福島晃の「新型アクセラ(BM)」に乗って写真を撮りに行こう!
第5回:榛名山(群馬県)-マツダコネクト(ナビPLUS)に無償バージョンアップ-
2015年7月16日 00:00
AE86を一躍、峠のスターへと押し上げた「頭文字(イニシャル)D」。その主人公である藤原拓海のホームグランドが秋名山こと、榛名山だ。この漫画が連載開始されたのは1995年、いまから20年前のこと。私はこの漫画が話題になったかなり後に、アニメを再放送で見ることになり、原作を読んだのはつい最近のことだ。ドライビングテクニックうんぬんよりも、人間模様や走りのスタイル、クルマとの対話という部分に面白さを感じた。昨年末には新劇場版(Legend1-覚醒-)が、今年の5月にはLegend2-闘走-がスクリーンで公開された。
毎回、この撮影に同行してもらっている編集部のメンバーと一緒に映画を見たこともあって、第5回の場所を榛名山に決めた。新劇場版は、声優陣を一新したことがかなり否定的な評価となっている。どちらかと言えば、私もその意見に賛同する。高橋亮介はDIO(子安武人)から承太郎(小野大輔)になっているし、高橋啓介なんかTVアニメで北条凛を演じていた中村悠一となっている。「宇宙戦艦ヤマト 復活編」で古代進を演じていた山寺宏一が、「ヤマト 2199」ではデスラーになっているぐらいの違和感だ。
差額負担じゃなくて、無償バージョンアップだった
さて、そろそろ本題に入ろう。前回、第4回をCar Watchで公開したのが4月20日。そこで私は「アクセラ」や「デミオ」のユーザーに対しても、NNG(ナビゲーション用SDカード B45C 66 EZ1)からミックウェア(ナビゲーション用SDカードPLUS G46Y 79 EZ1)へのバージョンアップを差額負担で構わないので行ってほしいと苦言を呈した。ところが、なんとその日(4月20日)にマツダから無償バージョンアップを行うという正式アナウンスがあった。
そのため、読者の方からは「メーカー発表があったのになぜ、こんなことを書いているんだ!」というお叱りのツイートもいただいた。嘘偽りなく、正直に書くが、私だけでなくCar Watchの編集部もこの事実をまったく知らなかった。だいたい4月20日というタイミングを選んだのは、私が編集しているデジタルカメラマガジンの発売日に合わせたことが理由であって、原稿はそれよりもずっと前に書いている。
だが、そんなことはどうでもいいことで、マツダが今回の件に対して誠意ある対応をしてくれたことが素直に嬉しい。前回はアクセラとデミオのユーザー代表みたいな気分になってしまい、かなり辛辣な表現をしてしまったことを、少しは(いやかなり)反省している。
私にもさっそくディーラーからバージョンアップの連絡が入ったので、週末に行くことと、Car Watchで記事にするための撮影をさせてほしいと担当者に伝えた。通常、この手のバージョンアップはパソコンを接続して行うらしいのだが、今回は非常に台数が多いため、専用のプログラミングツール(いわゆるDRT)が用意されたという。
このMDRT3をハンドルの下部、もっと具体的に言えば、ボンネットオープンレバーの下にあるコネクタに装着すると、自動的にプログラムが更新される仕組みになっている。この作業が終了した後、これまで何度も行ってきたマツダコネクトのバージョンアップと同様、USB(コンソールボックス)によるバージョンアップを行い、すべての作業が終了した。
地図データが収録されたSDメモリーカードはこれまでの4GBから16GBとなった。容量は4倍になっているので大幅に機能強化されたかと言えば、そうではない。容量の大半は音声データによるもので、従来はこの部分を軽減するために合成音を利用していたが、今回は録音データを採用している。ちなみに住所検索データは約3800万件から約4000万件でわずかに増えたが、タウンページは約800万件から約760万件と少なくなった。
主な機能強化点としては、2画面表示が可能になったこと、走行軌跡が表示できるようになったこと、地図色や文字サイズが変更できること、ルート学習ができること、MAPコードに対応したこと、踏切や一時停止などの案内表示ができること、ピンチイン/アウトに対応したこと、ダブルタップによる拡大表示などだ。逆にSDカードPLUSになったことで利用できなくなったことは、郵便番号検索、緯度経度検索、交差点拡大図、3Dビルディング、トンネルビュー、ETCレーン案内などだ。
地図表示を思考錯誤して自分好みにカスタマイズ
ディーラーですべての作業を終えて、意気揚々と新たな気分で走り出したところ、地図表示を見てはっきりとした違和感をおぼえた。まったくもって身勝手な意見だが、地図表示は以前の方がグラフィカルで見やすかったような気がしてきた。別れてしまった彼女の魅力に後で気がつくといったところだろうか。確かにいろいろと足りなかった部分はあったけど、カワイイところもあったよなぁ、などと感傷に浸っている場合じゃない。早速、自宅の駐車場で表示設定の変更をいろいろと試してみた。そこで導き出した私の結果を一例として記しておこう。
まず、最初に決めたのが文字の表示サイズ。デフォルトは「小」になっていたため、私は「大」にすることにした。大・中・小の設定で撮影したものを用意したので、どの程度がベストなのか自身で判断してもらいたい。さらに地図表示色は昼と夜でそれぞれ、5種類から選択することができる。ベーシック、ナチュラル、ビビッド、ポップ、シックがあるが、私はナチュラルが見やすいと判断した。軌跡表示が可能になったことも今回のトピックだが、こちらはブルー、レッド、グリーン、パープルの4色で、ここはデフォルトのブルーのままとした。
2画面表示も新機能の1つで、こちらは3D表示、周辺施設、VICS表示、地図縮尺操作ができる(サブ画面を地図にした場合に有効)。右画面は地図のほかに、オーディオ表示などの「マルチ」が選択可能で、この場合はオーディオやテレビ(走行時は表示できない)の情報を写し出すことができる。この機能は常時2画面表示にするというものではなく、状況に合わせて活用するのが賢い使い方だろう。例えば、スマートフォンのWi-Fi接続であれ、USB接続であれ、音楽CDであっても、それらを音楽ソースとして車内で流しているときに、曲送りや曲戻しをハンドル部で操作することがあると思う。だが、これまでは曲の表示が画面に出ないために、何曲目が再生されているのかまったく分からなかった。もちろん、画面を地図からミュージックに切り替えればよいのだが、地図から切り替えて曲をチェックして、また地図に戻すなんてことを毎回繰り返すのはとても面倒だ。そんなときに2画面表示は便利になるかもしれない。おそらく私は使わないと思うが、友人や恋人とドライブを楽しむという人は覚えておいていいだろう。
周辺施設表示は、これまでと同じく各項目で表示、非表示を選択できるが、多くをチェックすると地図が見にくくなってしまうので、私はガソリンスタンドとコンビニだけをチェックすることにした。地方に行ったときは、これにファミレスを加えようと考えている。
なお、新機能として画面を指でタッチして、画面拡大(ダブルタップ)やピンチイン(拡大)/アウト(縮小)することも可能になったが、こちらはお世辞にも使いやすいとは言えない。どちらのタッチもスマートフォンの操作とは比べようもないほど緩慢な挙動で、タッチしたところにカーソルポイントが移動してしまうので、それも煩わしい。だいたい、手元のコマンダーダイヤルを回した方が圧倒的に素早く操作することができる。
そのほかにもいろいろとメニューをチェックしてみたが、なんだかよく分からなかったのが、案内・警告音設定で選択できる「ハートフル音声」。マニュアルを読むまでは、音声データが優しい声色になるのかと思っていたが、実際にはエンジンをスタートさせると「今日は○○の日です」と教えてくれるだけというものだった。ちなみに原稿を執筆している7月9日は「ジェットコースターの日です」となる。
ところで、ナビゲーション用SDメモリーカードは3年間の無料更新(地図データは年1回更新)がサポートとして受けられることになっている。私のアクセラが納車されたのは2014年3月だから、すでに1年が経ったこととなり、あと2年が残っているわけだが、今回の無償バージョンアップは新規にSDメモリーカードを購入したことと同意と見なされ、ここから3年間の無料保証が受けられることになった。この対応は素直に嬉しい。
結局、バージョンアップをしてよかったのかと問われれば、とりあえずはよかったと言っておこう。まだ、このOSバージョン55.00.650を評価できるほど使いこなしていないというのが本音だ。あらためて今からじっくりと使ってみて、この連載でも「ここがよかった」「ここがダメだった」というリポートをしてみたい。今回はファーストインプレッションということで、この程度でお許しいただければと思う。
おそらく25年ぶりに訪れた県道33号
頭文字Dの主人公、藤原拓海のホームコースが秋名山こと、榛名山の県道33号。はっきりとした記憶があるわけではないが、ここを訪れたのは私が18歳で免許を取ったばかりのころだから、おそらく25年ぶりぐらいになると思う。別に今回は峠を攻めにいっているわけではなく、私が乗っているアクセラ 20S TouringはFRでもなく、MTでもないので、法定速度を守ってゆっくりと走ってみた。搭乗者は私を含めて4人。私以外の3名を道路脇で降ろして、峠道を走っている疾走感を写真で表現することを今回のテーマとした。ポイントは少し画面を傾けること。そうすることで、ゆっくりと走っていてもスピード感を演出することができる。加えて、対向車とすれ違う瞬間や前ボケを使うこと、流し撮りなどもアクセントになる。
だが、仕上がった写真を後で見てみたら、予想以上に傾いた写真ばかりになっていた。傾けることをみんなが強く意識してしまったようだ。あくまでも傾けることはワンポイントテクニックなので、使い過ぎには注意したい(←お前が言うなと突っ込まれそうだが)。
ヘアピンカーブでは魚眼レンズ(180°)を使った撮影にもチャレンジしてみた。藤原拓海が高橋啓介を抜き去った5連ヘアピン(実際には4連しかない)はあまりにも有名なスポットとなってしまったようで、スピードが出せないように凸凹に舗装されてしまっていた。きっと、真似をしてドリフトする恐れ知らずが後を絶たなかったのだろう。
榛名湖へと続く長い直線道路での撮影を終えて、昼食を取ることにした。ネット検索してみると日本三大うどんの「水沢うどん」があること知って、そこに向かうことにした。おそらく、讃岐と稲庭の2トップは揺るがない地位で、3番手を自称する場所はいくつもあるのだろう。
その途中、「自動車博物館」という看板が目に飛び込んできた。もしかしたら、今回の記事で紹介できるかもしれないという気持ちも手伝って、訪れてみようということになった。正式名称は「伊香保 おもちゃと人形 自動車博物館」。失礼な話、あまり期待はしていなかったのだが、かなり立派な建物で展示もバラエテイーに富んでいて、とても楽しい場所だった。後でネット検索してみると、日本最大級のアミューズメントパークで、プロが選ぶ人気観光施設 100選に12年連続で入賞していることが分かった。懐かしいブリキのおもちゃや、昭和の街並みを再現した駄菓子屋横丁、テディベア博物館、ミニ(英国車)ミュージアム、1980年代を中心としたアイドルのレコードやポスター、プロレスミュージアム、リス園、自動車博物館、チョコレートファクトリー、世界のワイン&ビール。もうなんだか分からなくなってしまうぐらいの圧倒的なボリュームを1080円(大人)で、すべてを見ることができる。
横田館長の圧倒的なマニアぶりを味わってお腹いっぱいになってしまったが、実際の胃袋には何も入っていないわけで、足早にミュージアムを後にして、水沢うどんを食べて帰路に着いた。
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