長期レビュー
福島晃の「新型アクセラ(BM)」に乗って写真を撮りに行こう!
第4回:朝霧高原(静岡県)-スピーカーをDIATONEに交換してみた-
(2015/4/20 00:00)
春だというのに寒い日が続いている。都内でも桜と雪の競演が見られたほどだ。第4回目の目的地は朝霧高原。文字通り、朝に霧が出やすいことから、その名が付けられた。広大な土地に草原が広がっており、どこからでも富士山を美しく望むことができる。今回のルートは朝霧高原を目的地として、富士山をぐるりと一周(山梨県側から静岡県側へ)してみようと考えた。訪れたのは3月上旬、数日前に雪が降ったこともあって、山梨県にはかなり雪が残っていたが、東海道に出ると雪は消え、冬から春へと季節が変わっていく様子をこのドライブで見ることができた。
マツダコネクトはどこに向かっていくのか?
本編に入る前に少しだけ、マツダについて気になっている点を書いてみたい。アテンザとCX-5がマイナーチェンジによって、マツダコネクトを搭載した。この連載でもマツダコネクトというか、ナビアプリを開発しているNNG(ハンガリー)に数多くの問題があることを、皮肉を交えて何度か伝えてきた。ところが、アテンザとCX-5、さらには新型のCX-3に搭載されているのはNNGではなく、国内メーカーのMicware(ミックウェア:http://www.micware.co.jp/)へいとも簡単に切り替えられた。ホームページをチェックすれば分かるように、トヨタマップマスター(TMI)製の地図データを利用したスマートフォン向けのナビアプリを手がけている企業だ。マツダは日本仕様に限ってのみ、このMicware製を利用、海外は従来通りNNG製を利用するとしている。SDメモリーカードの容量もNNG製が4GBであったのに対してMicware製は16GB。音声ガイダンスもイントネーションがおかしい電子合成音ではなく、TMI製ナビで利用されている肉声データが使われている。タッチパネル操作もスマートフォンでおなじみのピンチイン/アウトやフリックに対応した。
本来、マツダコネクトはリナックスで動作するシステムだから、そのような選択肢があって当然だ。客観的にはこの選択は正しいのだろう。だが、これではアクセラとデミオのユーザーは、生け贄だったと言わざるを得ない。問題はこの後のマツダの対応だ。アクセラとデミオのユーザーもファームウェアアップとMicware製のSDを購入(できれば差額対応)することで、新型ナビが使えるようにしてほしい。雑誌のインタビューでは「ユーザーの希望に添えられるように努力はしていく」と担当者が回答していたので、その期待の意味も込めて、私も声を上げてみようと考えた。
美しい樹氷と爽やかな青空の中を走る
今回のドライブは私を含めて4人。40過ぎの男4人による気まま旅である。朝7時に青梅IC(インターチェンジ)から圏央道に乗り込み、八王子JCT(ジャンクション)で中央道に接続、大月から富士吉田線にルートを変えて河口湖まで。10年ぐらい前にバスフィッシングにはまっていたことがあって、このルートは何度も走ったことがある。
インターを降りてからは国道139号をひたすらまっすぐ進んでゆく。その途中、朝日を浴びてキラキラと輝く樹氷が見えた。まずはクルマを路肩に止めて撮影をした。ここでのポイントは真横から撮影するのではなく、樹氷のラインを斜めに構図することだ(※写真参照)。比較してみると、斜めの構図の方が奥行きを感じることができると思う。さらに3人をその場所に残して、今度は樹氷の中を走る姿を撮ってもらうことにした。広角レンズを使って、まわりの景色(このシーンの場合は青空と樹氷)をしっかりと取り入れること、画面の中に占めるクルマの割合は小さくなっても構わないことをリクエストした。美しい樹氷の中を疾走する赤いアクセラ、そんな姿を思い浮かべていた。広角レンズを使うときの注意点は画面の四隅にクルマを配置しないこと、パースペクティブ効果と言って周辺が歪んでしまうため、クルマのフォルムもいびつになってしまう。横位置に構えて樹氷のラインを強調させるか、縦位置に構えて青空の爽やかな印象を強調させるかは自由だろう。
国道139号はそれなりに交通量も多く、しっかりと除雪されていることもあって、アスファルトには雪が残っていないが、脇道に入れば路面は雪で覆われている。もちろん、スタッドレスタイヤ(ヨコハマタイヤ ice GUARD 5)を履いているので安心。せっかくだから、グリップ力を確かめてみようということになり、雪道を走ってみることにした。私のアクセラは2.0リッターガソリンモデルのFFだが、まったく不安なく走ることができた。
レンズの画角(焦点距離)で写真に変化を付ける
目的地である朝霧高原に到着。富士山のまわりに少しだけ雲が出ているが、空は抜けるような青空の快晴。アスファルトで舗装された駐車場ではなく、その奥に続く未舗装の場所でクルマを止めた。この場所だとクルマと富士山のコラボレーションが楽しめる。ここではレンズの画角を変えて、いくつかの写真を撮影してみた。では、ここで読者のみなさんに質問してみたい。上に並べた3つの写真を見て、どのぐらいの焦点距離で撮影したのかを想像してほしい。答えは以下のとおりだ。
【写真A】はクルマも小さく、富士山も小さく、広大な風景が写っているのでかなりワイドで撮影していることが分かると思う。【写真B】はクルマと富士山をバランスよく画面に構成した結果だ。そして【写真C】はフロントの一部だけを切り取って富士山と組み合わせたカットである。答えは【写真A】が28mm、【写真B】が90mm、【写真C】が55mmである。【写真C】はもっと望遠だと感じた人もいるかもしれないが、実はクルマにかなり近づいて撮影している。200mmぐらいで撮影すると富士山は全体が入らず、その一部だけが切り取られてしまうことになる。何もこれはみなさんにクイズを出すのが目的ではなく、ひとつの場所でもレンズの効果を知ることで、いろいろなバリエーションの写真が楽しめるということを知ってもらえたら嬉しいと考えたものだ。
フロントスピーカーをDIATONEに取り替えてみた
実はこの撮影の少し前にアクセラのフロントスピーカーを交換した。アクセラの場合というかマツダ車の場合、スピーカーユニットは純正を選ぶか、メーカーオプションでBOSEを選ぶかの二択。私は連載1回目でお伝えしたように前者を選択した。しかし、純正がよいと思って選択したわけではなく、旧型アクセラ(BL)で搭載していたBOSEの音がどうしても馴染めなかったというのが本音。購入後にユニットを交換しようと考えていたのだが、よくよく調べてみると旧型アクセラ(BL)とはユニットサイズが違うことや、新型アクセラ(BM)に適合したインナーバッフルがないことなどもあって、そのままの状態が続いていた。ところが、久しぶりにディーラーオプションのカタログを見てみると「DAITONE SOUND SPEAKER」が追加されていた。さっそく、ディーラーで注文をして交換をすることにした。
型番は「C9M2 V6 080」というらしく、三菱電気のサイトによるとユニットの価格は2万6460円とある。マツダのカタログ価格は取り付け費が含まれているので3万8000円となる。実際に取り外した純正スピーカーは紙製でペコペコと軽く、いい音が鳴る要素は1つも見つからない。DIATONEのユニットはカーボンチューブを配合した振動板と大型のフェライトマグネットを採用しており、しっかりとした重みを感じることができる。実際に聞き比べてみると、ボーカルの定位がハッキリと聞こえるようなった印象だ。価格を考えれば、コストパフォーマンスは高いように感じている。
さらにラゲッジルームトレイも購入した。主にカメラバッグなどの撮影機材を収納することが多い場所だが、汚れた三脚をそのまま入れることもあって、マットトレイのままだと、すぐに汚れてしまう。そこで旧型アクセラ(BL)では、純正のディーラーオプションであるラゲッジルームトレイ(2万571円)をセレクトしていた。プラスチック樹脂なので、汚れをすぐに拭き取ることができるのはよいのだが、滑りやすい素材のため、カーブや急停車をすると三脚やカメラバッグがズルズルと滑ってしまっていた。ネットで調べてみると、US Mazdaの商品にカバートレイというものがあることが分かった。型番はBM004CTというらしいのだが、国内でも「USマツダ Mazda3 ハッチバック カーゴトレイ」と検索すれば、いくつもヒットする。私はAmazonから1万2800円で購入してみた。この商品がすこぶる、使い勝手がよい。Mazda3のロゴもデザインアクセントになっていてカッコもよく、裏面には突起があって滑らないように工夫されている。
撮影は14時ぐらいに終了。雪道を走ったからだろうか、車体がかなり汚れてしまったので、ガソリンを補給すると同時に洗車。沼津まで足を伸ばして「竜宮海鮮市場」なるところで、浜焼の食べ放題をいただいた。撮影時は快晴だった天気は、食事中に土砂降りとなったが、食べ終わることには晴れ間が戻り、空には虹が架かっていた。
今回の走行距離と平均燃費
走行ルート:青梅-(圏央道)-八王子-(中央道)-河口湖-国道139号-朝霧高原-沼津-(新東名道)-厚木-(圏央道)-青梅
走行距離:384.2km
平均燃費:13.2km/L
【お知らせ】本記事掲載後、マツダのほうからマツダコネクトに対する正式なサポート情報更新があり、「アクセラ」「デミオ」のナビゲーションを新開発のものへ無償交換するとの発表がありました。そちらは4月21日付けで記事にしてあります。
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