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レクサス、新型「ES」を世界初公開 日本で2026年春ごろ発売予定

2025年4月23日 発表
新型ES(プロトタイプ)

HEVの「ES300h」「ES350h」、BEVの「ES350e」「ES500e」

 レクサスは4月23日、新型「ES」を上海モーターショー(4月23日〜5月2日開催)で世界初公開した。日本での発売は2026年春ごろを予定している。

 8代目となる新型ESは、パワートレーンとしてHEV(ハイブリッド車)の「ES300h」「ES350h」と、BEV(バッテリ電気自動車)の「ES350e」「ES500e」を用意。レクサスの次世代電動車ラインアップの先陣を切るモデルとして全面刷新した。

 ボディサイズは5140×1920×1555〜1560mm(全長×全幅×全高)、ホイールベースは2950mmとなり、従来モデルとの比較では全長が165mm、全幅が55mm、全高が110〜115mm、ホイールベースが80mm、それぞれ拡大された。

 パフォーマンスでは、システム出力182kW(247.4PS)を発生するES350hで、0-100km/h加速7.8〜8.0秒、システム出力252kW(342.6PS)を発生するES500eで、0-100km/h加速5.9秒を達成。BEVモデルの航続距離(CLTCモード)は、2WD(FF)モデルのES350eで約685km、4WDモデルのES500eで約610km(目標値/19インチタイヤ装着時)となっている。

 HEVモデルでは、ES300hに直列4気筒2.0リッターハイブリッドシステムをESとして初採用し、直列4気筒2.5リッターハイブリッドシステムも新システムとして刷新。また、動力性能にさらに磨きをかけたES350hが新たにラインアップに加わり、4WDモデルも設定となった。新2.5リッターハイブリッドシステムでは、パワーコントロールユニットとトランスアクスルを一体化した「eAxle」がパワーユニットの小型軽量化に寄与しているほか、バッテリの高出力化を実現。直列4気筒2.5リッターエンジンとの組み合わせと専用の制御ロジックにより、優れた加速性能と低燃費を高次元で両立した。加えて、パワーユニットの剛性強化により、パワーユニットに起因する振動を控え、静粛性にも寄与するという。

 BEVモデルでは、約685kmの航続可能距離を実現する2WD(FF)モデルのES350eと、4WDモデルのES500eを設定。レクサスがこれまで培った電動化技術を積極的に活用しながら、専用開発を施し、刷新したTNGAプラットフォーム(GA-K)のよさを最大限に引き出すシステムを採用。加えて、BEV専用の大容量電池を床下に配置することで、低重心化と安定した走行性能を実現した。

 ES500eでは、路面や走行状態を問わず常に四輪駆動力を緻密に制御する「DIRECT4」を採用し、電動化技術が実現するより優れた操縦安定性と、運転する楽しさを両立させた。ES500eに採用する四輪駆動力システム「DIRECT4」は、車輪速センサー、加速度センサー、舵角センサーなどの情報を用いて、前輪:後輪=100:0〜0:100の間で制御し、発進加速性、操縦安定性の向上、低電費に貢献。レクサスが培ってきた電動化技術と 車両運動制御技術を融合し、ドライバーの感性に寄り添った走りを実現するという。

LF-ZC

 デザインでは、次世代BEVコンセプト「LF-ZC」のデザインに着想を得た表現に挑戦し、新型ESからはじまるレクサスの新たなデザインを体現。エクステリアは、広い後席を実現するパッケージとセダンが最も美しく見えるプロポーションの両立を追求した。

 ボディカラーは、ビジネスからプライベートまでさまざまなシーンで使えるカラーラインアップとして、新色を含む7色を設定。新色は、BEVのクリーンなイメージを表現するブルーエフェクトがハイライトに現われるソリッドライクカラー「SOU(蒼)」を採用した。

フロントは、「LF-ZC」のデザイン思想に沿って、正面でのスピンドルの造形に加え、フード面からバンパーコーナーまでを包括するエッジの効いたスピンドル形状を表現し、レクサスの独自性をさらに進化させた。低いノーズからはじまるスピンドルボディとセダンらしい水平軸のフェンダーとの高低差で表現したフロントフェイスは、大胆で低く構えた独創的な印象をもたらすとしている。また、HEVモデルでは冷却性能確保のため、 アッパー部に薄型のグリルを採用した

 インテリアでは、世界初の「Responsive Hidden Switches (レスポンシブヒドゥンスイッチ)」により物理スイッチを内装に同化させるとともに、パーソナライズされた体験価値を提供する「Sensory Concierge (センサリーコンシェルジュ)」をレクサス初採用した。そのほかにも、先進性と利便性を高めた次世代のマルチメディアや、進化した「LEXUS Safety System+」などの先進安全技術が積極的に採用されている。

Responsive Hidden Switches(レスポンシブヒドゥンスイッチ)は、人の操作をさりげなく支えることにこだわり、人の感覚や感性に寄り添う日本の美意識であるおもてなしの心を、テクノロジーを前面に出さないスッキリとしたデザインで表現した世界初の物理スイッチ。物理スイッチを内装に同化させるデザインが、シンプルな室内空間を実現。手をかざすことで機能アイコンが点灯する無から有にうつろう感覚は、機能表示と素材の融合という新しい体験価値を提供するという。アイコンは機能ごとにレイアウトされており、必要なスイッチを選びやすいよう考慮。静電タッチパネルのようにシンプルな見た目でありながら、しっかりとした押下感のあるスイッチを採用することで、押し間違いを防ぐようにデザインしている
すべての乗員に自宅のリビングルームのようにくつろげる空間を提供する「Sensory Concierge (センサリーコンシェルジュ)」は、空間と演出で魅了する世界観「パフォーミングアーツ」をコンセプトに、レクサス独自の体験価値を追求。イルミネーション、音楽、マルチメディア動画、空調、シートバックとシートクッションに内蔵するエアブラダーが大腿部から背中までを押圧するリラクゼーション機能や、ヒーターが連動して乗員の気持ちに寄り添う3つのモードで、乗員をリラックスさせたり、高揚させたりする車内空間を提供する

 新型ESの開発にあたっては「Experience Elegance and Electrified Sedan」をコンセプトに掲げ、静粛性と乗り心地をさらに向上させるとともに、ユーザーのニーズに寄り添い、あらゆるシーンで上質な移動体験を提供するセダンを目指した。

 クルマの基本素性と電動化技術を徹底的に鍛え上げることで、ドライバーとクルマが一体となり、いつまでも運転していたいと思える操縦性と、すべての乗員がおのずと笑顔になれる乗り心地と快適性を高い次元で両立することを目指したという。

 Lexus International チーフエンジニアの千足浩平氏は「新型ESでは、セダンの概念をアップグレードすることを目指しました。セダンはエンジンルーム/モーター ルーム、居住空間、トランクの3つの箱で構成されており、高いボディ剛性と低重心を実現する工学的な合理性を備えています。これにより実現する、優れた乗り心地や操縦安定性、静粛性に大きな魅力があります。さらに、新型ESでは、セダンの優位性を活かし、デザインとパッケージの工夫で機能に根差した流麗なフォルムと広い居住空間の両立を目指しました。新たに開発したTNGAプラットフォーム(GA-K)により、HEV、BEVの多様な電動車の選択肢をお客さまに提供することで、カーボンニュートラル社会の実現に貢献します。ほかにも、さまざまな最新技術を積極的に採用し全面刷新することで、これまでのレクサスのセダンにはない新しい体験を造り上げています。開発現場では、企画やデザイン、設計・評価などの機能が一堂に会する『トヨタテクニカルセンター下山(TTC-S)』で、何度もトライ&エラーを繰り返し、多岐にわたる課題を1つひとつ解決していきました。開発に関わった全員の集大成として完成させたのが、今回の新型ESです。次世代レクサスの幕開けを象徴し、上質な体験を提供する新型ESを、ぜひともご期待ください」とコメントしている。

新型ES(プロトタイプ):トランクレスな印象の流麗なフォルム、リアへと強く絞り込まれたキャビン、大胆な平面立体嵌合をテーマとするロアボディを特徴とし、タイヤの存在感を際立たせた力強いスタンスとダイナミックで切れ味のあるたたずまいを有する新世代のスピンドルボディを表現。床下へのバッテリ搭載を考慮しながら、セダンが最も美しく見える全長、全幅、全高のバランスを追求すると同時に、優れた乗降性にも寄与するデザインとした。また、セダンにおいて重要なタイヤ位置についても1mm単位で調整することで、ワイド&ロースタンスを実現
サイドでは、全高の高さを感じさせずに引き締まった印象を持たせる平面立体嵌合により、リフトアップ感と低重心なプロポーションを両立。空力性能に寄与する張り出したショルダーと、トランクレスな印象を持たせるワンモーションシルエットが、力強いスタンスを表現
リアでは、リアタイヤとトランクエンドに向けて抜ける塊の動きによりESらしい流麗さを表現。リアに向かって大胆に絞り込み、走りのよさを想起させる低重心スタンスとした。また、ボディ後方の傾斜角とバンパー平面の絞り込みを最適化し、より空力性能を向上させることで、燃費・電費性能にも貢献する
新型「ES」ツインLシグネチャーランプ(プロトタイプ):次世代の新しいデザインアイコンとして採用。内向きのデイタイムランニングランプと外向きのターンランプを組み合わせ、レクサスの独自性をさらに向上させるとともに、ターンランプとして視覚的な機能性を高めた
新型「ES」リアLシグネチャーランプ(プロトタイプ)。リアにも一目でレクサスと認識できる新しいデザインアイコンのリアLシグネチャーランプを採用。レクサスの発光ロゴと一体化した一文字のランプから、テールランプ、ストップランプ以外の機能を外に配置し統合。車両外側の低い位置に配置することで、ボディの絞りを強調しながらワイドスタンスを表現するとともに、空力性能の向上にも貢献するデザインとした
新型ESの室内イメージ(プロトタイプ):室内空間を構築するにあたり、セダンとして優れたパッケージの実現を目指した。プラットフォームの設計段階から骨格を見直し、従来型より全長を165mm、ホイールベースを80mm延長し、広々とした室内空間を確保。 また、着座位置を高く設定することで、乗降性を向上させるとともに、視点の高さがもたらす見晴らしも確保。さらに、室内空間を構成するシートやトリムなどをできる限り薄型とし、フロントやサイドのウィンドウ枠下端を低くしガラス面積を大きくすることで、開放感を得られるようこだわった。これらの取り組みにより、デザインコンセプトである「Clean Tech×Elegance」に基づき、視界のよい開放的なアッパーと人を包み込むロア部を基本構成に、シンプルでクリーンなインテリア空間を創出した
濃色調光機能付パノラマルーフ(プロトタイプ):開放的な空間づくりに寄与するパノラマルーフは、乗員のニーズに応じて瞬時に遮光できる調光機能付を採用。 ルーフセンターリインフォースメントを廃止し、開口幅を極限まで広げ、車室外との境界を感じさせない設計とした。遮熱・断熱・紫外線99%カット効果のある「Low-E ガラス」により頭上空間を確保しつつ、直射日光や紫外線が厳しい環境下でも車室内を快適に保つことを可能とした。さらに、減光効果と透過性に優れた新開発の調光フィルムを採用することで、調光時は暑さを感じにくく、非調光時にはより鮮明な景色と開放感のある室内空間を提供する
BEVコクピット(プロトタイプ):新型ESのコクピットは、12.3インチの異形液晶メーターを採用したメーターフードが高さを低く抑え、スムーズな視線移動とオープンな雰囲気を演出。質感を高める特殊コーティングを施し、スエード素材と光の演出の組み合わせより、レクサスのコクピット思想「Tazuna Concept」をより深化させた
車内空間をリビングのように使えるよう、助手席ではオットマンやバニティミラー、ダブルモニターを設定。リア席には、シートクッションに内蔵するエアブラダーが大腿部から背中までを押圧するリラクゼーション機能を搭載し、リクライニング、オットマンや助手席の大前倒しにより、さらに広がり感のある空間を創出するパッケージを設定
インテリアカラーには、新色のアオタケや高明度なホワイトを含む4色を設定。アオタケは、レクサスがモチーフにしてきたバンブーの色味をナチュラルに表現し、清楚感のあるイメージに仕上げた
ボディ構造(プロトタイプ):新型ESでは、専用開発を施し刷新したTNGAプラットフォーム(GA-K)を採用し、HEVとBEVのパワートレーンの設定を可能とした。 また、走りの味に統一感を持たせるためにレクサスがモデル横断で取り組む走りの「味磨き」の知見を取り入れながら、フロントエンド、フロア、リアエンドの剛性を強化。徹底した体幹強化により、ボディの振動を抑制するとともに、クルマの大きさを感じさせない、ドライバーの意図に忠実で素直なステアリング応答性や加速・減速レスポンスを実現
リアサスペンション(プロトタイプ):サスペンションは、フロントにマクファーソンストラット式サスペンションを採用。リアには、路面への駆動力の確実な伝達とスムーズな車両姿勢変化の両立に寄与するマルチリンク式サスペンションをESとして初採用した。サスペンションアームのブッシュ特性を改良し、より上質な乗り心地を実現。また、Dynamic Rear Steering(DRS)を搭載し、車速に応じて後輪を前輪と 逆相/同相に最大4度転舵させることで、低速域ではコーナリング時の優れた回頭性や取り回しのよさを、高速域では高い車両安定性を実現させた
新型ES(プロトタイプ)